ショップス型マイク結合方式の実験
(99/8/16)


 MJ1978年9月号P175〜P184、金田氏のDCアンプシリーズNo30の記事の中に、DCマイクのマイクカプセルの結合方式が2種類検討されています(図7(a)(b))。この中で、(a)のタイプは、シンプルで良いが、この方式は成極電圧の変動がそのまま入力に加わるのでここでは採用されていません。ですが、最近のプッシュプルレギュレータ等の電源電圧安定化技術で、ひょっとするとこの方が音が良くなるのではないか?と思い、実験してみました。


CONNECTION
上図、左は通常のDCマイク、右が今回実験してみた、ショップスオリジナルのDCマイクのカプセル結合方式です。カプセルはショップスです。

実験内容は、まず、改造する前、スピーカーの前に三脚を立て、マイクの位置を確定してスピーカーから1kHzの正弦波を再生してDCマイクの出力レベルをdBmで測定します。このとき、マイクの角度に十分注意します。

つぎに、新方式に改造し、改造前と同じ場所のマイクを配置し、同じレベル・同じ周波数の正弦波をスピーカーから再生し、DCマイクの出力レベルを同様に測定し、比較したところ、簡易的実験ながら、約3〜3.5dBほど、改造後の方が感度が上昇したことが確認できました。

 つぎに音ですが、以前に録音したことのあるホールにて録音比較したところ、以前のDCマイクの比べ、明らかに細かなところまできれいに再現されています。エネルギー密度(という言い方をして良いかどうかわかりませんが)もすばらしい。

 この方式の欠点は、やはり、成極電圧の安定化に注意しなければならないこと。安定化だけでなく、成極電圧のケーブルを出来るだけ短く、さらに出来たらマイク内部の成極電圧のデカップリングコンデンサを大きくした方がよいと思います。
 また、AKGのカプセルを使う場合、マイナス電極とGNDが一緒なので、カプセルをケースから絶縁して取り付けねばなりません。また、カプセルにさわると感電の危険性があります。

 成極の安定化が条件ですが、この方式も十分すばらしい音が出ることが確認できました。


★他の回路案★ (99/8/19)

もうひとつ、チャージアンプをつかった回路を考えられます。下図にその回路図を示します。

CHARGE AMP

  この回路のメリットは、アンプ(もちろん、金田式アンプでOK)のマイナス入力端子がアンプのNFBによって低いインピーダンスに固定されているため、この端子に発生する信号振幅はきわめて小さく、マイクカプセルからアンプ迄の配線が少々延びてもf特にたいしてきわめて影響しにくいところです。
 原理としては、マイクカプセルで発生した電荷ΔQがCfに流れ込み、Q=CVの式に従って、
Vo=ΔQ/Cf ・・・・・・(1)
 の電圧出力電圧VoがCfの両端に発生します。マイナス入力端子は、仮想ショートにより、アンプのNFBによってGND電位にほぼ固定されているので、すなわち、出力端子にCfの両端に発生する電圧と同じ電圧が発生します。

 デメリットは、アンプの入力端子は、リーク電流がありますので、それを逃すためにRfをCfに並列に入れる必要があります。金田式で行くと(Rfは150MΩという事になると思うのですが)このRfとCfとで時定数が生じます。
 すると、問題はCfの値をいくらにしたらよいか・・・Cfを小さくすれば小さくするほど、(1)式より、出力電圧が大きくなる、つまり、感度が上昇します。Cfを小さくすると、今度は低域カットオフ時定数の関係でRfを大きくしなければならない・・・・そこのところ、CfとRfをどう選ぶかが問題になり、音質的な面も考えると、かなり実験が必要ではないかと思います・・・・