大  森  貝  塚 
(2007.12.11)

 
大森貝塚は大田区と品川区にまたがる縄文後期から晩期にかけての遺跡で、 国の史跡に指定されている。出土品は、多種類の貝殻をはじめとして、土器、 土偶、土板、石斧、石鏃、人骨片、鹿やクジラの骨など多様で、 これらはすべて東京大学に保存され、国の重要文化財に指定されている。

 1877年(明治10年)6月、アメリカの動物学者 E・S・モース博士が横浜から新橋へ向かう途中、 汽車の窓から貝殻が堆積しているのを発見し、間もなく日本で最初の科学的発掘調査が行われた。これが大森貝塚である。 それまで日本には考古学は存在せず、この大森貝塚の発掘調査は、日本の近代的考古学の出発点となる記念すべき出来事であった。 JR京浜東北線大森駅のホームにある碑にも、”日本考古学発祥の地”と刻まれている。


 現在、品川区側の遺跡一帯が 品川区立大森貝塚遺跡庭園となっており、 京浜東北線や東海道線の車窓から庭園の一部を見ることができる。庭園内にはモース博士像などの他に ”大森貝塚”と刻まれた記念碑があるほか、 貝層標本も保存されていて、 貝殻が堆積している様子を実際に目で見ることができる。
 大森貝塚遺跡庭園から池上通りを大井町に向かって五分ほど歩くと、品川区立品川歴史館があって、モース博士に因んだモースコーナーが設けられている。

 大田区側の遺跡にも記念碑があり、やはり京浜東北線や東海道線の車窓から見える。 ただし、刻まれている文字は”大森貝塚”ではなく、”大森貝墟”となっている。モース博士のもとで発掘に携わった佐々木忠次郎博士の手によるものである。 発掘当時は”貝塚”ではなく、”貝墟”と呼ばれたらしい。 ちなみに、1879年(明治12年)に発表された大森貝塚の調査報告書は、”大森介墟古物篇”となっている。

 興味のある方は一度行ってみてはいかがでしょうか?
 
参考資料:品川区立品川歴史館 見学のしおり
  学生社刊 大田区史跡散歩
  中央公論社刊 日本の歴史


所在地 太田区側 東京都大田区山王
品川区側 東京都品川区大井鹿島町
交 通 JR京浜東北線大森駅下車、
    山王口から徒歩5〜10分 (地図を参照)