日本の年金制度を糺(ただ)そう(5)

年金制度の問題点と解決策


 年金問題を糺す会 杉内



   (前号からの続き)
   3.『厚生年金制度の抜本的な解決策』
 若い世代〔40歳以下〕に「自分が払った保険料は、老後に必ず年金で100%戻ってくる」事を約束。
(1) 今すぐ《世代間扶養》方式を止め、【積立金方式】(詳細は後述しますが)、《概念上の拠出建てによる賦課方式〔スウェーデン方式に倣う〕》に切り替えましょう。
  (a)本来、年金保険料の納付は、自分の老後の為にしているのです。しかし、厚生年金の保険料は「自分の老後の為だけに使われているのでしょうか?」。
   @前述しました「〔1980年生まれ〕や〔2000年生まれ〕の人たちが、どれだけ損をするか事例で紹介しました」が、今のシステムに固執していると、人口減少の日本の未来の世代は、年金受給額がどんどん先細り、地獄絵図そのものです。
   A年金制度は、損する世代を造っては存続できません。今の《世代間扶養》で説明し誤魔化そうという手段は通用しません。
   B「若い世代が高齢者を支えよう」と言うキャンペーン《今は4人の若者が一人の高齢者を支えているが、将来は二人の若者で支えなければならない》は止めましょう。
  (b)今年6月25日にNHKスペシャルで放送されていた「日本の これから〔人口減少社会A〕」で老夫婦と若い女性が参加者として出ていて、年金問題の不公平性を訴えていました。
   ★若い女性(29歳、仕事は事務)
    年収・手取り       270万円
    厚生年金保険料を毎月約2万円払っており、ぎりぎりの生活で保険料分を生活費に廻したいと思うことがしばしば。
   ★老夫婦(かっては、共稼ぎだった)
    其々厚生年金に入っていたので、現在は毎月40万円の年金が入ってきており、余裕があるので二人で50万円もする日本一周等のクルージングに数回/年参加している。
   ★会場には約40人位の参加者が居たが、
    ◆今の若い人に、結婚して子供を生めというが、2番目の子を産む余裕が無い。
    ◆年金でクルージングに行くという話を聞くと、高齢者を支える気持ちが萎える。
    ◆豊かな高齢者を支える資金があるのなら、子育ての方にその資金を廻して欲しい。
    ◆6万数千円の国民年金だけで、ぎりぎりの生活をしている高齢者も多い。
    ◆69歳女性。戦中・戦後を苦労して今の豊かな社会を築いてきたのだから、年金を貰うのは当然。
    【私のコメント】この世代の人は、既に自分が積み立てた分は貰い終わっており、今は100%若い世代からの仕送りで年金を貰っていることを知るべき。
    ◆人間の生存に必要な生活費の保障は必要で、人其々の置かれている経済状況に応じた支援をするべきであるが、それ以上の年金の支給は如何なものか。
    ◆年金収入を趣味・娯楽に引き当てて居る人達も結構居る。年金を何に使っているかの調査をこの放送の中で紹介していたが、「生活費80%、趣味・娯楽41%、医療費30%、交通費26%、預金22%と大分余裕のある人も居る。複数回答、マクロミル調べ」趣味・娯楽に引き当てて居る順位は2番目と高い。
    ◆この番組で、一般視聴者(13,774人に)「高齢者の為の負担増は、しかたないと思うか」と尋ねたら、約66%の人達から〔思わない〕と否定的な回答でした。年齢別に見ても、
               思う        思わない
  19歳以下         33%        67%
  20歳代          32%        68%
  30歳代          27%        73%
  40歳代          33%        67%
  50歳代          40%        60%
  60歳以上         49%        51% 
 若い人達に否定的な考え方が多いのは分るが、高齢者の半分の人々が「若い世代に、全面的に頼るのは無理がある」と理解している。

                                  (次号に続く)


                                   

戻る
 
  バックナンバー