日本の年金制度を糺(ただ)そう (4)

年金制度の問題点と解決策


年金問題を糺す会 杉内



(前号からの続き)
(2)これらの前提条件が崩れた場合、どういうことになるのでしょうか?
  (a)旧厚生省が過去にも提示してきた〔前提条件〕で予測が的中したものは、一切無かった。
    特に5年毎に見直した時に、出生率は〔持ち直す〕と常に言い続けておきながら、一方的に下がり放しだったが、責任を感じた発言は無かった。
  (b)【出生率等の前提条件が崩れれば】、
    〔厚生年金保険料の上げ幅を18.3%迄は14年間かけて持って行き、その後は上げないで行く〕と約束したのが反古になり、保険料率アップを続けて行き、20%の大台を越すことは時間の問題で、いわゆる泥沼にはまって行く地獄絵図しか残っていません。
  (c)言い換えれば、若い世代に全て負担をしわ寄せする訳です。この世代は、約1000兆円もの国家財政の累積残高〔地方自治体分を含む〕を押し付けられ、返済して行かなければなりません。こんな理不尽なことを、我々熟年世代は知らん振りしていてよいのでしょうか?
(3)若い世代にしわ寄せする金額は、天文学的な金額です。
  (a)若い働き手〔1980年生まれ〕が、生涯に支払う厚生年金保険料〔給料から天引き・雇用主が負担する分を含む〕の総額が6005万円に対し、生涯に年金として受け取る受給額が3965万円(資料《A》、以下資料とは私のホームページ〔http://www.sphere.ad.jp/sugiuchi/nenkin-maruzon〕に載せています)この差額が何と2040万円〔損する分〕で、率にして34%=1/3も損〔支払った本人の所に戻って来ない〕するのです。
  (b)2000年に生まれた今年5歳の子供に至っては〔これ以降に生まれてくる我々子孫は全て該当する訳〕、政府・与党が強引に可決した〔年金改正《中身は改悪》関連法〕で決めた最上限の厚生年金保険料〔18.3%〕が就職時の当初から給料天引きで徴収されるので《保険料アップは、今年以降も13年間〔毎年10月から適用〕行われるので、5歳+13年=18歳〔高卒での就職者〕》、上記より更に多くの額を損するのです。即ち、生涯に支払う保険料の総額が6737万円に対し、生涯年金として受け取る受給総額が3965万円。この差額が2772万円〔損する分〕で、率にして約42%も自分の所に戻って来ない即ち損するのです。
     自分は国民年金加入者だから、関係ないと無関心を装っていても、自分たちの孫や曾孫達が国民年金の加入者でなく、厚生年金の加入者であることを願うならば、やはりあなた方〔間接的には、国民全員が関係者になる〕全員が関心を持ち、この際考えて頂きたいのです。
  (c)我々親の世代〔45歳以上の世代〕が、若い世代〔45歳以下〕に押しつける額は、なんと450兆円という天文学的な金額です〔資料《B》に詳細記述〕。
  (d)2回目〔2005年2月3日号〕に記述しました「若い世代が厚生年金保険料は35%も上げられるのに、この世代〔2000年生まれ〕が老後に受給出来るのは、42%もカットされて58%しかない」というのは、このカット分が全て45歳以上の世代特に団塊の世代と言われている50歳代の後半以降の世代に先喰いされるからです。私はこれを『祖父母が孫の脛を齧る』と言っていますが、このことを知って果たしてこの世代〔祖父母〕がいさぎよく年金を受け取るでしょうか?
(4)厚生労働省が進めている「年金制度の維持の為の理論的主柱に《世代間扶養の必要性》」を声高に唱えていますが、そのためには〔人口が増加するか〕、〔最小限横這いで推移すること〕が必要ですが、最近の発表では「出生率は、2004年も2003年と同じ1.29で」改善は無く「世代間扶養の制度の土台は崩壊しているのに、政府〔厚生労働省〕・与党がやっきになって支えようとしている」だけです。     

 (次号に続く)

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