保育の質を低下させる要因〜望ましい保育制度とは〜

保育MLでの保育制度を巡る議論のサマリーです。 あるべき保育制度を考えるため、保育制度と、保育の質を低下させる要因(リスク)とその可能性の大きさについて、まとめてみました。 辛口応援団サイドが提示した「望ましい保育制度」の概要は、以下の通りです。

  1. 運営主体の制限(現行では、社会福祉法人、財団法人、自治体のみ)の緩和
  2. オンブスマン制度の導入
  3. 保護者会と保育園相互による点検評価制度
  4. 直接入所方式
  5. 料金公定制度の廃止
  6. 現行の保育制度のうち、以下の制度
    保育園に対する補助金、最低基準、情報公開制度
なお以下の表のリスクの大きさについては、同じリスクについて大きさを比較する意味はありますが、 違う種類のリスクの比較にはまったく意味がありません。
リスクの種類   措置制 現行 望ましい保育制度
1.認可園に入れない
リスクの大きさ 大 大 小
運動系コメント 行政の怠慢 行政の保育切り捨て 極度の質の低下が起きる
辛口系コメント 構造的問題。行政は保育需要に応えるインセンティブを持たない。 保育業界への参入障壁が高すぎるため、保育園が増えない 質・量共に充実
リスク軽減法 引っ越しまたは、保育運動。 引っ越しまたは、保育運動。 引っ越しまたは、自営
2.悪質な保育を受けるリスク リスクの大きさ 大 中 小
運動系コメント 行政の怠慢 行政の怠慢 表向きだけ繕った悪質な保育が増える
辛口系コメント 構造的問題。認可園は良質な保育をするインセンティブを持たない。悪質な認可園とわかっていても措置される場合がある。無認可園には市場の失敗が起きる。 保育の質を正しく評価する仕組みがないために、大幅にはリスクは減らない 悪質な保育園は廃園に追い込まれる。
リスク軽減法 保護者会活動で園を変える。ただし、園や行政に妨害される場合有り。確実なのは、引っ越しまたは退園のみ。 情報収集によりそのような園を避ける。転園。保護者会活動で園を変える。 情報収集によりそのような園を避ける。転園。保護者会活動で園を変える。
3.閉園になるリスク リスクの大きさ 大 大 小
運動系コメント 公立および豊富な資産に担保された法人によるため、自治体リストラ以外ではまず起きない。 公立および豊富な資産に担保された法人によるため、自治体リストラ以外ではまず起きない。 営利園は閉園する確率が高い
辛口系コメント ちょくちょく起きている。 悪質な保育園ならば、閉園になる確率は高い 買収や営業権売買を可能にして、保育が継続できるようにする。
リスク軽減法 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 保護者会による運営に切り替える
4.園を追い出されるリスク リスクの大きさ 中 中 小
運動系コメント そのようなことは起きない そのようなことは起きない 手のかかる子やアトピーの子や熱心な親の子は追い出される
辛口系コメント 園が利用者に嫌がらせをして追い出す可能性がある 園が利用者に嫌がらせをして追い出す可能性がある まともな園を探して転園することが可能。園のモラルが向上するので、このようなことが起きる確率は減る
リスク軽減法 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 保護者会活動、オンブスマン制度の利用
5.障碍児等が入園できないリスク リスクの大きさ 中 中 中
運動系コメント 行政の怠慢 行政の怠慢 障碍児は追い出される
辛口系コメント 園側が嫌がる場合もある 園側が嫌がる場合もある 適切な財政補助が必要
リスク軽減法 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 保育運動 保護者会活動、オンブスマン制度の利用
6.公立園がモラルハザードを起こすリスク リスクの大きさ 大 中 小
運動系コメント 行政の怠慢および利用者の努力不足。 市場化により保護者と保育者の連携が妨げられる 市場化により保護者と保育者の連携が妨げられる
辛口系コメント 構造的問題。モラルハザードが最も起きやすいのが公立 市場化によりやや軽減 現場への分権化により、モラルハザードを防ぐ
リスク軽減法 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 情報収集、保護者会活動、オンブスマン制度の利用
7.社会福祉法人・財団法人立園がモラルハザードを起こすリスク リスクの大きさ 大 中 小
運動系コメント 行政の怠慢および利用者の努力不足。 早期教育などの望ましくない競争が起き、保育の質が悪化する。 早期教育などの望ましくない競争が起き、保育の質が悪化する。
辛口系コメント 待機児の存在、私立優先の入園措置により、市場メカニズムが極めて弱くしか働かない 待機児が多い地域では、市場メカニズムの力が弱い。 競争が「正しく」おこなわれることを保障し、モラルハザードを防ぐ
リスク軽減法 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 情報収集、保護者会活動、オンブスマン制度の利用
8.その他の園がモラルハザードを起こすリスク リスクの大きさ 大 大 小
運動系コメント 市場原理によって必然的に起きる 市場原理によって必然的に起きる 市場原理によって必然的に起きる
辛口系コメント 市場の失敗 市場の失敗 競争が「正しく」おこなわれることを保障し、モラルハザードを防ぐ
リスク軽減法 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。他に情報収集活動 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。他に情報収集活動 情報収集、保護者会活動、オンブスマン制度の利用
9.延長、夜間、休日、年末年始の保育など、利用者のニーズに合った保育サービスが受けられない リスクの大きさ 大 中 小
運動系コメント 行政の怠慢 行政の責任放棄 保育の質がおざなりにされ、保育者の負担が増える
辛口系コメント 構造的問題。保育園が利用者のニーズに応えるインセンティブがない。 待機児が多い現状では、保育園が利用者のニーズに応えるインセンティブが依然弱い 保育者の負担と利用者のニーズの間のバランスを適切にとることができる
リスク軽減法 保護者会活動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 情報公開活動および保育運動。ただし、園や行政に妨害される場合有り。 情報収集、保護者会活動。
10.低所得者が入園できない リスクの大きさ 中 中 小
運動系コメント 所得による差別を受けない 所得による差別を受けない 低所得者は安かろう悪かろうの保育に甘んじるしかない
辛口系コメント 地域によっては、親の労働時間の長い高所得世帯に、優先順位で負けて入れない場合がしばしばある。 地域によっては、親の労働時間の長い高所得世帯に、優先順位で負ける入れない場合がしばしばある。 低所得者には適切な料金軽減料金制度が必要
リスク軽減法 保育運動 保育運動 保育運動、オンブスマン制度の利用
11.保護者と保育者のトラブル リスクの大きさ 大 中 小
運動系コメント 「お客さん」ではないので、保育者と保護者の人間同士の関係が築けた。 園によっては、保護者会の結成を許さない、保護者会の人事を園が牛耳るなどの現象があったが、 これは行政側の怠慢によるものである。 市場化により保育者と保護者の関係が損なわれる。 オンブスマン制度は保育者と保護者の信頼を損ねる
辛口系コメント 保護者および子どもの位置づけが明確ではない仕組み上、泣き寝入りが多かった。 契約上の立場は保育者と保護者は同等になったが、運用上同等であることを保障する仕組みがない 保護者の立場を保障する仕組みができ、泣き寝入りせずに済む。 「オンブスマンや市場化で云々」が本当なら、保健所があるがゆえに飲食店と客は良い関係が築けないはずだ。
リスク軽減法 保護者会活動 保護者会活動 保護者会活動、オンブスマン制度の利用

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