不思議の国の冒険が繰り広げられた楽しい夏はすぎ、 舞台は厳しい冬のある日。暖炉が燃えている心地よい部屋。 イギリスのとある屋敷に住む少女アリスは、 退屈な一日を、猫達と「つもりっこ」をして過ごしていた。 しかし、彼女はそのうちに、鏡の向こうの世界に迷い込んでしまった。 鏡の国は、チェスのゲームのような世界だった。 なんとか元の世界へ戻ろうとするアリスだったが・・ |
感想
小説全体がチェスのゲームになっている、というのはよく知られています。
さて、この本では、一見訳が分からないように思えても、意味があることがあります。
例えば、白の女王が事件の起こる前から犯人を逮捕する、
という話をするくだりがあります。
よく考えてみると、結果を予想してそれを防ぐために行動することが
推理ものなんかにはよくありますよね。
でも、普段は、アリスの言うとおり、結果があってから、行動に移す。
このことは、演繹法と帰納法という数学の有名な手法に似ていると思うのは私だけでしょうか?
赤の王の見る夢といい、セイウチと大工のエピソードといい、
「不思議の国〜」より、数学・哲学的な側面が強く、
童話としてだけではなく、一般向けの数学・哲学の本としても読めると思います。
また、原作に忠実な訳本では挿絵もとても芸術的です。
このページの文章の無断転載はお止めください。