アイシャの再会、そして土の女神ニーサの励ましを通じて希望を取り戻した二人は、皇帝の奇病の解決に取り組んだ。
実はこの頃、水龍のお使いのことはプレイヤーの脳裏になんの痕跡もとどめていなかった。
クリアした後にエンディングを見て初めてお使いを忘れていたことに気づいたのであった。(笑)
と、それはさておき、二人は北エスタミルのアムト神殿へ向かった。
神官は、二つ月の神殿のことを教えてくれ、そこに入るために必要な『アムトのシンボル』を授けてくれた。
(これは赤い月の神アムトへの真の信仰の証らしい)
エリスについて聞いてみると、エリスは森の神シリルと仲が良いことを教えてくれた。
そして、シリルの神殿は世界中のどこにもないが、迷いの森が、それに一番近い場所なのだ、とも。
と、いうわけでやっぱり迷いの森にいくしかないらしい。
しかし何度森に行ってもばあさんに追い払われるだけ。
途方に暮れていると、まるで待っていたかのようにクローディアがブルエーレのパブに現れた。
仲間にしてしばらく戦闘した後、体力回復のため宿屋に泊まると、夜中に彼女の育ての親から通信が、じゃなくってテレパシーが届く。
その声で目が覚めたクローディアは、急いでまだ眠っている二人を揺り起こした。
「ごめんなさい。私は、迷いの森に帰らなければならないわ。」
そのまま去っていきそうなクローディアの声に、慌ててアセトくんは飛び起きた。
「待って!僕達もいっしょに行くよ。」
すると、クローディアは感動したように、
「ありがとう。でも、今すぐに出かけなくては・・」
「仲間だろう、僕達。」
アセトくんはそういって微笑み、アイシャが頷いた。
クローディアはやっと他人に気を許したように、安心した表情を見せた。
(極悪なゲームと呼ばれているけど、こういう所は感動モノですよね。)
三人が急いで迷いの森にやってくると、あの白髪のばあさんが簡素なベッドに横たわっていた。
クローディアが急いで彼女のそばに駆け寄った。どうやら、彼女が育ての親(名前はオウル)のようだ。
オウルは死ぬ直前、クローディアに彼女の出生の秘密をうちあけると、この先なにかあったら家の左手にある大木に聞けと言い残し、息を引き取った。
(クローディアが主人公なら、詳しい事情を聞く事ができます)
ショックさめやらぬクローディアのことを心配するアセトくんとアイシャに向かい、クローディアは
「私なら、大丈夫よ。……さ、行きましょう」
と笑ってこたえてくれた。
さて、オウルの遺言どおり、三人は家の左手にある大木へとむかった。
そしてアセトくんが代表となって、大木に向かって呼びかけた。
「神殿に入るためにエリスのシンボルが必要なんです!」
すると、森の神シリルの声が轟いた。
「なぜ神殿に行く必要がある?」
「皇帝を救うためです!」
すると、しばし待て、と言い残し、声は消えた。
その夜、大木の下でうとうとしかけた時、はっと気が付くとそばにエリスのシンボルが落ちていた。
三人はシリル、エリスに感謝すると、その場を後にした。
(クローディアが主人公ならば、ここでさらなる衝撃の真実を知ることになります)
そして、三人は二つ月の神殿へ向かった。
神殿内部は入り組んだ構造になっており、モンスターも異常に多いので、宝を手に入れようとしても、かならずお財布がいっぱいになってしまう。
しかし、最深部に隠されたデステニィストーン『ムーンストーン』を手に入れるだけなら、それを守る敵はそんなに強くないので苦労しないでクリアできる。
ともあれ、何時間もかかってようやく(プレイヤーにとっては何十分もかかったけど)『ムーンストーン』を手に入れた二人は、メルビルに戻ってきた。
その後皇帝は一命を取り留め、アセトくんたちに礼を言うため謁見の間に三人を呼び寄せた。
そして、その席でどことなく怪しげなロ−バーン公コルネリオが海賊討伐に向かうことを表明した。
このことがその後メルビルに災厄をもたらすとは、皇帝以下だれも予想していなかった。