さて、フロンティアのイベントも底をついたので、十代コンビはニューロードを通って再び南エスタミルへ戻ってきた。
酒場によって情報収集しようとすると、女マスターがアセトくんのそばによってきて仕事をやらないか、と耳打ちした。
どうやら、国家レベルの極秘任務らしい。
アセトくんはスターソードの資金が欲しかったので、進んで依頼を受けた。
依頼主はクジャラート地方の首長、アフマドだった。
1997年に発売された『ロマンシング・サガ大全集』によればクジャラートはそもそも部族間対立が激しいところだったらしい。
私が思うに、執政者達は自分の政権を維持するため、婚姻関係や養子関係による部族間感情の緩和を行う必要があったんじゃなかろうか。
そのためエスタミル王国の愛の女神アムト信仰の教義を取り入れ、一夫多妻制をなし、ハーレム(後宮)を作るようになったと。
まあ、そんなどうでもいい考察はおいとくことにして、ともかく現首長のアフマドは、世界中の女性を我がものにしたく(収集したく)思い、奴隷商人を集め、アムト神殿にこっそりとハーレムを作ろうとしていた。
しかしこういう行動は他部族から嫁にきているだろう正妻の反感をかいそうだなぁ。
下手をするとなんか理由をつけられて正妻の一族がクーデターをおこしかねない。
しかし、ハーレムはある盗賊の活躍によって壊滅の憂き目にあった。
賊は行方をくらませ、事件はうやむやのうちに終わり、アフマドは野望を断念したのだった。
・・と、いうことはアセトくんもアイシャも(戦闘回数やその他の関係で)知らなかったりする。
さて、アセトくんとアイシャは北エスタミルにあるアフマドの館に向かった。
さて、謁見の間に通されたアセトくんとアイシャを目の前にして、アフマドは落ち着きがなさそうに早口でまくしたてた。
「実は娘がさらわれたのだ。盗賊ギルドのしわざかもしれんし、タルミッタの反対派かもしれん・・あれがなくては、ワシは生きていけんのだ!」
アセトくんとアイシャはこころよく依頼を承諾し、礼金の約束をして館を後にした。
依頼を受けた帰り、城壁ぞいに道を歩いていると、二人の人さらいが名家の娘らしき女性をさらおうとしているのが見えた。
もちろん放ってはおけない。
声をかけると、二人はすぐに襲いかかってきた。
そして戦闘に勝利すると、二人はアセトくん達が止める間もなくみずから命を絶った。
助けた女性はお礼を述べると、
人さらいの言葉にタルミッタのなまりがあった
と言い残し、帰っていった。
・・・ようするに、この事件はどうやら『タルミッタの反対派』のしわざらしいということである。
と、いうわけで、アセトくん達は助けた女性の言葉どおり、タルミッタの街にやってきた。
ここタルミッタには世界一大きい湖であるマラル湖があり、そこには水竜が住んでいるという伝説があった。
水の神ウコム信仰も盛んなクジャラートには、昔から水竜に若い娘を生け贄として捧げる儀式を執り行なっていたが、最近はその儀式も行われなくなっていた。
この街にはセケト宮殿という、首都時代のタルミッタ王宮だった六角形の建物があり、街を支配するハルーンという男が住んでいる。
(ワンダースワンカラー(WSC)版では『ルーハン』)
ところが、町の人の話を聞いてみると、ハルーンが水竜の祭りを蘇らせたらしい。
アセトくんとアイシャは、湖が一部干上がったためか、宮殿裏の隠し階段が丸見えになっていたので、そこからセケト宮殿に潜入することにした。