サンゴ海を荒し回る海賊の襲撃を避けるため、やたら長い航路をくねくね曲がってメルビルへ到着。
二人とも乗馬の訓練をうけているせいか、船酔いは楽だったようだ。
さっそくメルビルのエロール神殿へいくと、高位の術法はやたら高いことが判明。
ちなみに、エロールは神がみの父にして、光の神。
アセト君は生まれつき光の術法が使えます。
アイシャは、主人公にして術の才能のある父母を選ぶと、生まれつき土の術法が使えます。
土の術法は、神がみの母にしてエロールの妻(こっちの方が年上の神ですが)、土の神ニーサの力を借りる術法です。
ちなみに、「ロマンシング サ・ガ大辞典」によると、アセトくんの故郷・ローザリアはエロール教が支配的で、アイシャの属するタラール族はニーサを主神としています。
ニザムなどは穏健派なので、エロールをニーサの夫と認めているらしいのですが。
また、タラール族か、近世ニーサ教の許しがないと土の術法は販売できないらしい・・使える術法は、生まれた地域と密接に関係しているようです。
ともかく「ヒールライト」、「スターライトウェブ」を購入することにした。
「う〜ん。今夜はご飯ヌキだな・・」
お財布の中身を確認してついついため息が出るアセトくん。
いままでお金に困らない身分だっただけに、ショックも大きい。
ここはやはりRPGの王道、アルバイトするしかない。
と、いうわけで、とある酒場の掲示板を見ると・・・
「娘を探して下さい!二日前の夜中に消えたっきり帰ってこないのです。」
メルビルに宿屋は二つあるが、そのうち図書館の北方の宿屋の主人、コロンボの出した物らしい。
・・しかも礼金が出る。
ニヤリ。おもわず二人の顔に無気味な笑顔が浮かんだ。
「この張り紙は、いただいていこう」
アセトくんは鼻歌を歌いながら、丁寧に張り紙をはがし た・・
宿屋について、 張 り紙を見 せて 協力 を申し入 れると、 無表情 な 主人 の 態度が 一変した。
「どうか、今夜は、ここにとまっていって下さい!詳しいことをお話ししたいのです。」
青ざめた顔をして、早口でまくしたてる主人の様子を見ていて、なんだかかわいそうになってきたアセトくんとアイシャは、礼金二割アップはあきらめることにした。
その夜・・・
「どうせ、いつものように朝帰りだろうと思っていたのですが、いつまでたっても帰ってこないので心配しているんです。・・できの悪い娘ですが、一人娘なんです。どうか、探し出して下さい!」
と、涙ながらに語る主人の姿に、家族と生き別れになって強く心を動かされた二人は、
「ぼくたちにまかせてください!きっと娘さんは、無事でいますよ!」
「心配しないで!」
と、コロンボ(元ネタは刑事?)の手を固くにぎりしめた。
メルビルで一番怪しい所はと言えば、やっぱり下水道である。
あやしい奴らがうろついてるってうわさもあるし。
なんか、今回のプレイは下水に潜っている時間が長い。・・・王子様なのに。(笑)
下水を進んでいると、怪しげな入口を発見。
内部にはモンスターが“詰まって”いた。
12、3グループはいるらしく、その数およそ40匹。とても相手にできる数ではない。
こういうときは大将の首を取るのが基本。
それにザコにかまってよけいな戦闘回数を増やしたくないし。
目の前の敵を倒しながらひたすら十字キーの上をおし続ける。
右からも左からもちょっかいだしてくる敵がうっとおしいが、かれらのほとんどは障害物のロウソクに阻まれてこっちにこれない。
詰まってウロウロする姿はかなりマヌケ。(でもなんか、かわいい・・)
ずんずん進むと、奥には怪しげなローブの男たちが、生け贄の娘が泣きわめくのを無理矢理押さえて、あやしげな宗教儀式を行っているのが遠くから見える。
「おお、偉大なるサルーインよ!この娘の心臓を、ささげまする。」
と、 神官長らしき男が、心臓をえぐり出そうとナイフをふり上げる!
ここはサルーインの秘密神殿だったのだ!
「やめて!」
アイシャが叫ぶと同時に、アセトアルデヒドは素早く呪文を唱えた。
ナイフを持った腕を光の炎がなめる。
超高温の光の炎の直撃を受け、蒸発した腕を失ったため、神官長はおぞましい叫び声を上げた。
そして憎しみのあまり、ローブの奥から無気味な目玉がぎらりと光った。
「神を恐れぬふとどきものめ!」
と神官長が叫ぶとともに、戦闘開始である。
しかしやつらはアンデッド(不死生物)だった。
ここは聖杯の出番である。
そのうえ、運良くクリティカルヒットが連発したので、ほぼ5ターンでなさけない音とともに神官長とその配下のアンデッドモンスターが地中に退散。
戦闘画面からもとに戻ると、リーダーを失ったモンスター達は消失してしまったらしく、影も形もなくなった。
・・・もしやタラール族もこの手で消失!?
・・・・。
・・・冗談はさておいて。
戦いの末にアセトくんが気絶して倒れた娘を背負い、傷付いたアイシャが槍を支えにしながら下水を出ると、心配したコロンボが出口で待っていた。
感動の父娘再会のあと、メルビル警備隊に今回の事件を報告した。
警備隊の話では、最近変死事件が多くて困っていたらしい。
解決した者には皇帝であるフェル6世じきじきに、褒美が出る事になっていた。
というわけで、宮殿に呼び出される事になった。
フェル6世は絨毯のしきつめられた段の上で玉座に腰をおろしている。
アセトくんとアイシャの方を、他に誰かいないかというように少し見回したが、やがて残念そうに小さくため息をついて、椅子に座り直した。
段の下に整列している貴族のうち、つば広の羽根つき帽子をかぶり、左右にピンと張ったひげの男がアセト君達のほうへ威丈高な様子で、
「サルーインの地下神殿を壊滅させた働き、見事であった!ほうびをつかわす。」
と、言った。
この貴族は、アセトくんが滝に落ちた先のローバーンを治める領主、コルネリオである。
それと同時に、美しく、絹のクッションの上に置かれた金貨の入った袋を捧げ持った小姓が現れて、アセト君達の前に置くと、そそくさと立ち去った。
アセトくんが金貨をしまいこむと、皇帝自ら
「では、さがってよい。」
と、長いあごひげの奥から非常に威厳のある声を出した。