Yashinon-DX 45mm F1.7/Yashica Electro35

ヤシノン-DX 45mmF1.7/ヤシカエレクトロ35

Last update 28/01/2003

Yashnon-DX45mmF1.7 Yashica Electro35

【ヤシカエレクトロ35の概要】

 ヤシカ(現京セラ)のレンズ固定式レンジファインダー35mmフィルムカメラ「ヤシカエレクトロ35」(1966年発売)付属のレンズ。 4群6枚のガウスタイプでズミクロン50mmF2やロッコールM40mmF2と似た構成。
 ボディーは、フィルム手巻き上げ・ピントもマニュアルだが、露出だけは絞り優先AE。 レンズシャッターなので最高速の1/500秒まで全速でストロボに同調する。

【ヤシカエレクトロ35の外観】

 厚手のクロームメッキで丸みを帯びたフォルム。軍艦部カバーのの真鍮も厚い。 軍艦部正面右からファインダー窓・採光窓・距離計窓、少し離れて測光用窓。 軍艦部上部右手から、フィルムカウンター・巻上げレバー・シャッターボタン兼ロックスイッチ・フィルム感度設定ダイヤル ・露出警告ランプ・アクセサリーシュー・巻き戻しクランク。背面は右から、バッテリーチェックランプ・バッテリーチェックボタン・ファインダーとなっている。

 レンズ鏡筒もクロームメッキで、ボディに近い方から、ピントリング・絞りリング・AUTO/B/Flash切り替えリング、となっている。

 レンズ前面には"YASHINON-DX 1:1.7 f=45mm Yashica Japan"の銘が入っている。

ヤシカエレクトロ35

【ヤシカエレクトロ35の操作感】

 操作は至ってシンプルである。シャッターボタンを回転させてL(ロック)位置から動かす。 ピントをファインダー内の二重像を一致させて合わせる。距離に応じてファインダー内の枠が移動してパララックスを補正している。 絞りを決めて半押しすると、1/500秒を超えるときは赤いランプが軍艦部上部とファインダー内に点灯する。 このときは軍艦部に矢印で表示されているように絞りリングを右に回して絞る。 1/30秒以下の場合には黄色のランプが同じく軍艦部上部とファインダー内に点灯する。 このときは手ぶれ警告であるからぶれない自信があればそのままシャッターを押し切ってもよい。

 AEは最長180秒くらいまで機能する。シャッターボタンのストロークはかなり長い。これは上記の警告ボタンのスイッチが2段組み込まれているためだ。 現在のカメラのような半押しの感覚はない。クリックとクリックの間の中間絞りではAEで適正露出にならない点に注意が必要。

 ファインダー内にもボディにもシャッタースピードの表示はないが、上記の警告ランプを使えばおおよそのシャッタースピードはわかる。 あと、フィルム感度の設定も忘れてはいけない。このボディの場合ISO10から400までしか目盛りがないので、 最近のISO800とか1600の高感度フィルムが使いにくいのは仕方ない。

 レンズ先端のリングは通常はAUTO位置で使う。Bはバルブでシャッターレリーズボタンを押している間ずっとシャッターが開いている。 右のフラッシュマークは1/30秒固定になる。 これは、当時はストロボ(エレクトロニクフラッシュ、スピードライトとも言う)はまだ一般的ではなくフラッシュバルブ(ぷりんとごっこの中に入ってるような電球) の使用が多かったので、速いシャッター速度だとバルブが燃焼して最も強く光る前にシャッターが閉じてしまうためだ。 現在では使うことはあまりない。ストロボの場合AUTO位置でOKだ。AUTO位置だと何とスローシンクロまで出来てしまう。 このカメラはマニュアルのシャッタースピード設定はできないAE専用カメラだが、このフラッシュマーク位置では1/30秒固定になるので 1/30秒だけはマニュアル露出可能となる。

 露出計の感度分布はやや全面平均測光気味。空が大きく入るときや反射率の極端なものが大部分を占めるときは、フィルム感度設定ダイヤルを使って露出補正する。 ポジフィルムを使っても概ね適正になる。

【ヤシカエレクトロ35の電源】

 このカメラはAE専用なので電池が必要。 このカメラで使っていたHM-4Nという5.6V水銀電池は製造中止なので、(株)関東カメラサービスで発売しているアダプターを使っている。 このアダプターを使うと、LR44を4個SR44を4個CR1/3Nを2個4LR44を1個4SR44を1個2CR1/3Nを1個のいずれか6Vで使えるようになる。 LRはアルカリ電池、SRは酸化銀電池、CRはリチウム電池だ。

 電池の数が多いと面倒だし入れ間違いを起こしやすいので4LR44、4SR44、2CR1/3NまたはCR1/3N×2個をお奨めしたい。 とりわけ2CR1/3NまたはCR1/3Nはリチウムで長期保存が可能で低温に強いのでお奨めである。 ただし入手のしやすさはLR44がダントツである。コンビニでも売っている。普段は2CR1/3Nを使って、緊急時にコンビニでLR44を4個買うのがいいかもしれない。 この関東カメラ製のアダプターは電圧無変換の割には値段が高いと思う(無変換でも特に露出に問題なし)。 買うのが嫌な人は電池をセロテープでぐるぐる巻きにして銀紙でも噛ませるといいと思う(笑)。

 電池がなくてもシャッター自体は切れるが、当然自動露出(AE)は働かない。電池のないときは1/500秒でシャッターが切れていると思われる。

ヤシカエレクトロ35

【ヤシノン DX 45mm F1.7の描写】

 色味はバルサムが焼けてきているのでやや黄色いが気になるほどではない。 開放では中心の解像度は高いが極周辺部で解像度は落ちる。絞ると少しずつ改善し、F5.6で周辺まで高い解像度を保つ。 このあたりは35年以上前のレンズとはいえ最近のズームレンズにも勝る。

 ボケ味はF1.7開放ではやや背後が渦を巻く感じがあるが、F2以降は非常にきれいでなだらかなボケ方をする。 このレンズは立体感のある描写をするように思う。カリカリした感じはしないのでポートレートにも使えると思う。

 歪曲は極わずかな樽型の歪曲があるが、極周辺部以外ではほとんど気がつかない。像面もかなり平坦である。 ボディの内面反射が若干あるので逆光ではやや白っぽくなることがある。 レンズの後ろ側のボディの懐が狭く、やや艶のある塗装なのでここがよく反射するのである。 ここに植毛紙を貼るかつや消し塗料でも塗ればかなりよくなると思うがやっていない。

 このレンズの最高の性能はおそらくF5.6あたりと思われるが、個人的にはF2あたりで撮る方がきれいだと思う。 このカメラのレンジファインダーの有効基線長は長くないので開放付近では慎重なピント合わせが必要。 とはいえ、一眼レフのマット面で開放F1.4やF2でピントを合わせるのに比べれば遥かに楽だが。

【ヤシカエレクトロ35その他】

 ワイドコンバージョンレンズとテレコンバージョンレンズが別売であったようだが、焦点距離があまり変わらないのにF値が暗くなる上、描写も落ちるので人気は無かったようだ。 専用のかぶせ式フードがあったのだが、家の中で紛失してしまった。どこかにあると思うのだが(笑)。 フードが必要なときにはHamaの角型フードを使っている。

専用の速写ケースがある。黒の本革製で頑丈である。ハードケースというべきか。

【ヤシカエレクトロ35の仕様】

焦点距離;45mm/口径比;1:1.7/最小絞り;F16/レンズ構成;4群6枚/画角;51°/絞り羽根枚数;5枚/
フィルター径;55φ/最短撮影距離;0.8m/シャッター;コパルエレク#00電子制御レンズシャッター/
シャッタースピード;180〜1/500秒、バルブ、マニュアル1/30秒/セルフタイマーあり/
ファインダー;採光式ブライトフレーム付きビューファインダー/倍率;0.65倍/視野率;85%/
パララックス自動補正/露出計;Cds外光式/測光範囲;EV1〜17(ISO100)/
フィルム送り;レバー式1作動(巻き上げ角180度)/大きさ;141×82×73.5mm/重量;770g(電池別)/
電池;HM-4N(5.6V水銀電池)/1966年2月発売

【ヤシカエレクトロ35の参考文献】

アサヒカメラ1968年4月号「ニューフェース診断室第130回」:朝日新聞社

(2002年10月25日 記、2003年1月28日加筆)

■HOMEへ  ■前のレンズへ  ■レンズ一覧へ  ■カメラ一覧へ  ■BLOGへ

HaniwaのHOMEHOMEへ戻る
Copyright ©"Haniwa", Japan 2002-2003
Since 18.06.2002

Valid HTML 4.01! No ads. Better browsing