概略
円山公園から南下、ねねの道を歩くとすぐに高台寺入り口です。石段を上り、左奥に受付があります。
ねねの道という呼び名でわかる通り、豊臣秀吉夫人ねね(北政所)ゆかりの寺。夫没後に出家したねねが建立、徳川家康がかなり経済面での援助をしたといいます。
時を選べば素晴らしい静けさ
創建当初の堂宇はかなり焼けてしまったといいますが、それでも残る開山堂や、茶室は戦国時代末の様式を伝えて見応えじゅうぶん。
受付を済ませて入山すると、簡単な庭を通って、開山堂とその前に広がる池が見えます。昼、夕刻、夜間のライトアップ、極端な混雑にあわなければ、どの時刻にも光を吸い込んだ緑から、大地の落ち着きが感じられます。おそらく東山の緑と起伏から連続した土地を、そのまま活用しているからなのでしょう。南禅寺本坊でも有名な江戸初期の茶人、小堀遠州の作庭。
建物の間を結ぶ廊下も臥龍を思わせる屋根瓦が連なり、開山堂から奥に進めばやはり山を上がっていくことになります。少し上って見えてくる霊屋は、後に高台寺蒔絵として有名になる意匠を施しており、秀吉と北政所の像が安置されています。
上には茶室の、傘亭、時雨亭があります。傘亭は屋根が傘を思わせる形で、客人がそれを見ることが出来る趣向。千利休の創案と伝えられます。他では見られない形。
個人的には・・・
このお寺、1990年代半ばまでは地味ながら見応えあるところで、寺域の広さの割に上ってくる人も少なく、頻繁に訪れていました。特にあまり手をつけていない頃のライトアップは、野郎一人で何度でも訪れたくなるほどの魅力を感じました。
1990年代後半からのライトアップはイベント性を増して、枯山水をアートしてみたり、山の竹林もライトアップしたりと、ずいぶん派手になってきました。人も集まり、運営維持の経済的負担を考えれば、確かによいことかもしれません。ただ、この土地と建物が持つ、周囲のお寺にない落ち着いた風情は逆に減ってきたようにも感じられます。このあたりはたぶん、とても難しいところなのでしょう。
今なら、逆に昼間の参拝にするかも。
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