「ふるさと千束館」完成
新建東京支部の有志が改造設計計画に参加ししてきた「ふるさと千束館」が6月20日に完成しました。
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路上生活者の生活更生施設拠点づくりの実現のために、いくつもの不動産物件を当たった中で、家主さん、地域の不動産屋がこの事業に一定のご理解をいただくことができ、やっとのこと、賃貸契約を交わしたのが99年4月中旬、その後急ピッチで打ち合わせを重ね、計画を練り工事金額を確定して工事着工に至ったのが連休明けの5月中旬。そしてこ6月末、いよいよ入居者を受け入れて運営がスタートしました。 本施設は、ふるさとの会が運営する、入居定員20名の宿泊寮で、ホームヘルパー二級を持つ専任事務員が1名、食事サポート、宿直職員等で運営しています。 計画地:東京都台東区千束 |
改造後の1階平面図 |
施設が出来るまでの経過
山谷で活動するホームレスボランティアふるさとの会は、同地域で、炊き出しを中心とした活動を続けてきましたが、東京都が簡易宿泊所(ドヤ)を対象とした生活保護を実施するようになり、ふるさとの会は、生活保護受給の相談、生活保護受給後の支援活動を実施してきました。
具体的には、寝床しかないドヤ住まいの方々のためにマンションの一室を借り上げて、食事や団らんを過ごす共同リビングを提供し、またドヤへの安否確認、配食サービスの実施などを通じて、自立支援のための様々な成果をあげてきたわけですが、同時に24時間体制ではなく、ドヤに帰宅後の飲酒によるスリップなど、問題を抱えていました。路上生活を経験して社会的孤立感を持ち、劣悪な住環境の中で暮らしている高齢者には、生活保護受給後の生活支援が不可欠です。
そしてふるさとの会の要請を受けて、97年末から、新建築家技術者集団の有志による高齢路上生活者支援のためのグループホームの計画案作成が始まりました。計画案の作成にあたっては、ボランティアの方々が、路上生活者の個々の具体的な実状、要求をよく把握していることが、プランの作成に大いに役立ち、新建のメンバーも山谷と路上生活者の現状、背景等をよく理解しながら、定期的に打ち合わせ・作業を進めてきました。また、作業の過程で、UIAの「貧困」をテーマとした国際コンペにも応募してきました。
同計画案は、リーフパンフレットとしてまとめられ、行政や関係者などが、施設の主旨や具体的イメージを理解する上で、おおいに役立ちました。
同計画案は、路上生活を経験してきた高齢者が住み続けるためのグループホームとして提案したわけすが、資金・制度面の関係から、実現に至るまでには、様々な課題をクリアしなければなりません。しかし、後に今回の「ふるさと千束館」を、木造アパートを借り上げ、第二種社会福祉事業の宿泊所として、生活保護受給者の生活訓練施設を造ることが決まりました。新建東京支部の有志が、これまでのグループホーム計画案作成の成果を生かしながら、今回の改造計画作成に携わり、今年6月完成するに至りました。