玄昉

玄昉げんぼう　＊ボウに宛てる漢字はWindowsのシステム外字。「日」偏に「方」旁。

生没年　？～746(天平18)
系譜など　阿刀(あと)氏出身。阿刀氏は物部守屋の別業があったと伝えられる阿都（河内国、現八尾市）に因み、物部氏の分流と伝えられるが、阿刀氏の史書上の初見は天武元年であり、実際は渡来系かともいう。山背国相楽郡は一族の居住地のひとつ。
略伝　若い頃義淵に師事する。717(霊亀3)年留学生として入唐、法相教学を学び、玄宗皇帝より尊崇され紫の袈裟の着用を許されたという。735(天平7)年、インド僧菩提僊那(ぼだいせんな)らと共に帰国。大量の仏像・経論を請来。この経論五千余巻はのち皇后宮職所属の写経所で書写を始められ、「五月一日御願経」と称せられ現存する。藤原四卿死後の737(天平9)年8月、僧正に抜擢され皇后宮の奥の内道場に安置される。同年末、永らく精神を病んでいた(鬱病かという)皇太夫人藤原宮子を看病し快癒させる。おそらくは在唐中に古密教の気功術などを習得したものであろう。聖武天皇・光明皇后の信頼はいっそう篤く、在唐時同様紫の袈裟を施して着せしめたという。740(天平12)年の恭仁京遷都、翌年の国分寺造立の詔などにも深く関与したらしい。「栄寵日に盛んにして、稍(やや)く沙門の行に背けり。時人これを悪(にく)む」（続紀没伝）。ところが745(天平17)年1月の紫香楽宮遷都後、行基が大僧正に任じられ、法界第一の座を奪われる。平城還都直後の同年11月、筑紫観世音寺に左遷される。翌年6月死去。『尊卑分脉』註には、大宰府観音寺供養の日、導師となり、腰輿に乗って供養していたとき、空に声がしてその身が突然消えうせた。後日興福寺唐院に首が落ちてきた、とある。『東大寺要録』によれば「忽然として空に登ること数丈、地に落ちて已に死せり。更に血と骨と無し」。『続日本紀』没伝に、当時の人々は玄昉(げんぼう)が藤原広嗣の亡霊により殺されたと噂した、とある。『元亨釈書』巻十六に略伝がある。

関連サイト：玄ぼうの胴塚（仮想大宰府博物館）
　　　　　　頭塔（奈良観光新聞）

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