2002.07.06 ENGLISH |
南アルプス金鉱探査センター 石川 潤一 |
はじめに TAZAWA.EXEは、岩石試料の粉末X線回折チャート (Powder X-ray Diffraction (XRD) Chart) の鉱物鑑定作業を 補助する目的で作成されました(作成言語 Quick-BASIC 4.5)。 Cu-Kαで2゚<2θ<40゚間のみに対応しています。 もともとNECのPC9801シリーズ用につくったのですが、作者が同シリーズのパソコンをほとんどつかわなくなったので、DOS/V(AT互換機)用に、書き換えました。Windowsに対応していませんが、DOS窓で使えます。 バージョンは1.01eとしますが、機能的には、入力データ図示機能を割愛するなど、前バージョンより劣っています。一方で、鉱物データのミスは多少修正しています。むりやりDOS/V用に書き換え、不要なコードも残っており紛らわしいので、今回は特にソースを公開しません。 欲しい人はこちらにご一報ください。 このソフトの特長は、格子面間隔が判れば、<面間隔モード>によりCu− Kα以外の波長のX線による回折チャートの鉱物鑑定にも有効な点です。 フリーソフトウェアとします。 コピー・使用は自由にしていただいてかまいません。ウィルスチェック等は一応実施していますが、本ソフトによって、不利益や損害が生じた場合、作者は一切の責任を負いません。 まず、以下のTAZAWA.EXEの部分をクリックして、ダウンロードしてください。 容量は、約110kbです。 |
ダウンロード TAZAWA.EXE
使用方法 まず、フォルダを新規作成してください。名前はなんでもよいのですが、ここでは、TAZAWAという名前のフォルダをつくったことにして、説明します。 作成したフォルダに、TAZAWA.EXEと、COMMAND.COMを入れてください。 COMMND.COMは、検索機能などをつかって探し、そのパソコンのOS(WindowsまたはDOS)のバージョンにあったCOMMAND.COMをコピーしてください。 まず、COMMAND.COMをダブルクリックするなどして、DOS窓をつくります。 下のようなWindowになります。最初の部分はWindowsやDOSの各バージョンや設定によって異なります。(下図はWindowsNT4.0上のDOS窓です) |
プロンプトのあと、usを入力し、USモードにしてください。(これを忘れてはいけません) |
下の図のようになります。 |
tazawa を入力すれば起動します。
起動直後、以下のようなメッセージが現れます。
鑑定結果データファイル「X.txt」がある場合、内容を書き換えてよい場合は、1を、 以前のデータに書き加えていく場合には2を、事情により強制終了する場合には、 3を入力します。1を入力すると、以前の鑑定結果が消えてしまうので、とりあえず 2を入力するのが無難でしょう。 (なお、1または 2を選択した際 X.txt に日時が自動的に書き込まれます。) つぎのような画面になりますので、Sample name=? のあとに試料番号または 試料名を入力して下さい。数字以外も可能です。この画面での試料名は「A-123」 です。 |
粉末X線チャートの各ピークについて 2theta=?
のあとに 2θの値(゜,ピークの位置)を入力して下さい。どのピークから先に入力してもかまいません。 更に 高さ=? のあとにピークの高さを入力して下さい。単位は自由です。但し、1つのチャートについてはmmならmmで統一して下さい。 |
粉末X線チャートの各ピークについて 2theta=?
のあとに 2θの値(゜,ピークの位置)を入力して下さい。どのピークから先に入力してもかまいません。 更に 高さ=? のあとにピークの高さを入力して下さい。単位は自由です。但し、1つのチャートについてはmmならmmで統一して下さい。 2θでなく、格子面間隔(d-spacing)で入力する場合には、 2θ=? のあとに -1 を入力し、 d-spacing=? のあとに格子面間隔(単位:オングストローム)を入力して下さい。 下図のように画面のバーの一部が緑色から黄色に変わり、モードが切り替わります。 高さの入力については前述のとおりです。 なお、面間隔=? のあとに -1 を入力すれば、再び 2θ入力モードに切り替わります。 |
全てのピークについて入力し終わったら、「2theta=?」または「d-spacing=?」のあとに、Enterキーのみを押すか 0 を入力して下さい。解析・鑑定を開始します。 なお、全てのピークを入力しなくとも、試しに解析・鑑定を実施し、また入力を続けることも可能です。 |
試料番号のあと、各ピークの格子面間隔(オングストローム)、2θ(゜)、相対強度(チャート中の最大ピークの高さを100とした比率)が出力され(カラーモニターでは空色)、更に、鑑定された鉱物名が出力されます(黄色)。 確認して下さい。 |
鑑定鉱物は概ね、石英→長石類→石英以外のシリカ鉱物→粘土鉱物→沸石鉱物→その他の鉱物 の順に出力されます。上図は、石英と緑泥石のみの試料についての 出力例です。 Quartz(石英)の後の、26.6>20.8は、Cu−Kαにて、石英の26.6゚のピークは20.8゚のピークに比べて高いことを示します。36.4-39.4は36.4゚のピークの高さと39.4゚のピークの高さは同じくらいの高さであるか、またはデータに乏しくどちらが高いか不明であることを示します。なお、>>という記号があれば、ピークの高さが桁違いに異なることを意味します。 以上の画面上のデータに基づいて、チャート上のピークについて高い順に印を付けて下さい。印が付かないピークや予想外に高いピークについては、本ソフトウェアだけでは鑑定できません。 ?が付された鉱物は、可能性は低いものの、含有されていることもありうるので、留意を要することを示しています。 次のチャートに進むときは 1を、入力します。 本ソフトウェアを終了するときは 3を入力してください。、 (なお、ここでは絶対に、2を入力したりしないでください。 バグのため、ハングし、ソフトが止まってしまいます *_;) ソフトウェアを終了するするために 3を入力すると下のような画面になります。 鑑定結果ファイルの名称が「X.txt」で よい場合は1を、別の名称を変更する場合には2を入力してください。 名称の変更はあとでもできるので、最初は、1を入力するのが無難でしょう。 |
もし、2を入力してファイル名を変更する場合は、ファイル名を入力します。 ただし、フォルダ内に同名のファイルがあるばあい、エラーとなりハングしてしまいますので、 充分注意してください。(下図は、akaishi.txt というファイル名にしているところです。 |
最後に以下のような画面になります。DOSプロンプトのあと、exitと入力すれば、DOS窓を終了します。
なお、X.txt 等の名称で保存したファイルは、以下のような書式です。
その他 誤差は原則として±0.26゚(粘土鉱物等はそれ以上)と大きくとっています。 ピークの数が多いと関係のない鉱物も多数出力されることになります。 出力の際以下の制約を加えています。 ・曹長石がほとんどないことが明確な場合以外、斜長石と曹長石は区別しない。 ・α−クリストバライトの第1ピークは、斜長石のピークとかちあうので、高さ が斜長石のピークに対して一定以上の比率がなければ、α−クリストバライト は出力されない。 ・同様に、例えば以下の鉱物間でピークの重複があるので、出力には一定の条件 を与えてある。 鱗珪石−石英・長石類他 緑レン石−濁沸石 モンモリロナイト−緑泥石 明バン石−緑泥石 蛇紋石−カオリン鉱物 カオリン鉱物−緑泥石 ハロイサイト−カオリン鉱物 方沸石−ワイラケ沸石 黄鉄鉱−アラレ石・角閃石 苦灰石−明バン石・長石類 斜プチロル沸石−モルデン沸石・輝沸石 方解石−束沸石・湯河原沸石・半水石膏他 ・必要最低限の共生関係の考慮も行い出力する。 ・カリ長石、カオリン鉱物、角閃石等については厳密な鉱物名の抽出までは行わ ない。 参考資料 1) American Society for Testing Materials (1941-) X-ray powder data file |