Alternative Views》 2001年2月8日

快適なスクリーン読書を支える本文用公有書体に向けてのkandata改刻作業

内田明 <uchida@happy.email.ne.jp>

2001年の3月下旬に、AppleコンピュータからMac OS X が正式にリリースされます。これには、Adobe1-4とJIS X 0213のグリフを含むヒラギノ書体がバンドルされることになっているそうです。JIS X 0213 の、ISO/IEC 10646 と Unicode への反映も、着々と進んでいるようです。

商用の0213フォントを、OSのアップグレードやWWWブラウザの多言語拡張用無料フォントのダウンロードといった手段を通じて、わたくしたち一般ユーザが手軽に入手できるようになる(であろう)時代の到来が、もう、目の前に近づいてきています。また、フリーのフォントを作る動きも、あちこちで進んでいます。2002年とか2003年、ひょっとすると2001年中に、「第3・第4水準を含むテキストをパーソナルコンピュータで読み書きすること」が、ごくフツーのことになるでしょう。

そんな具合に現在の状況を認識した上で、自分は、“Kandataの補完”を、どのように進めることができるか。どのような動機を見出すことができれば、“全グリフの作り直し”にまで立ち向かえるか。――Kandata 1.7.20001209のリリース以降、“少なくとも5年くらいはかかるであろう作業に取り組む気力を引き出せるような動機”を自らの内に探しつつ、“ラテン文字のプロポーショナル化”など、直面している幾つかの課題をどのように解決していけるかを、わたくしは、2001年1月の大半を費やして考えました。

その結果、自分自身の不満の解消を立脚点とすれば、まぁ暫くは補完作業を続けられるだろうという結論に達しました。ずいぶん長時間考えた割には、単純な結論です。

わたくしは、VoyagerのT-Timeをバージョン1.0の頃に購入し、すぐに使わなくなり、“X0213サポート”のニュースを知って再び2.2から使い始めた不良T-Timeユーザです。青空文庫の『明日の本棚』や、自分が作ってみた幾つかのテキストを眺めてみて感じた幾つかの不満は、次のようなものでした。

こうした不満を解消するための、「快適なスクリーン読書を支える本文用公有書体に向けてのkandata改刻作業」ならば、やり続けることができるんじゃないか。そう思ったわたくしは、今後のKandata補完作業を、次のように進めることにしました。

そんなことを思い浮かべながら、ゆっくりと、「快適なスクリーン読書を支える本文用公有書体に向けてのkandata改刻作業」を始めました。こうした方向を目指していることを示す第一歩が、Kandata 1.8.20010207です。

ご意見ご感想、ご指導ご鞭撻を賜れれば幸いです。