伝統ゲーム紹介


双六で振り返るNHK大河ドラマ『平清盛』

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放映日題名競技者
222012年 6月 3日「勝利の代償」後白河天皇 対 得子

保元の乱の次の回。崇徳上皇方を倒した後白河天皇(松田翔太)はくつろいだ様子で藤原信頼(塚地武雅)と双六をしている。信頼が弱いので文句を言うと、臣下の藤原成親(吉沢悠)が、それではと呼んできたのが鳥羽上皇妃で今は出家している美福門院得子(松雪泰子)。クールに後白河法皇を破る。「貴方様が帝となられましたはほんの一時凌ぎ。君臨するは己のみなどと、ゆめゆめ思いなされますな。」そう言って、得子は自陣にいる後白河の石を指で弾き飛ばし自分の石を置いて上がりとなる。ふつうは相手の石を取る時は、静かに中央に動かすだけなのだが、「あんたなんか何よ」という得子の心情を現わすために「弾き飛ばす」という女子にも公家にもあるまじき動作を行うわけである。

 信頼との双六はこの後深く考えずに平治の乱を起こす信頼の愚かさを示すため下手な展開にし、得子との双六は功者同士の白熱した展開とした。眼目は最後の「弾き飛ばし」である。ところが、である。松雪さん、自分の駒を持ったまま後白河の駒をうまく弾けないのだ。何度やっても駒は戻ってしまったり、他の駒に当たったりしてしまうのである。「あ、あたし、不器用だから…。」笑って恐縮がる松雪さん。私が調べてみると実は双六盤に微妙な段差があり、そこで駒が不自然に跳ねたりしてしまうのであった。私は一番段差のない方向を見つけ、その方向へ向けて弾くようにお願いした。結果…見事に後白河の駒は軽々と飛ばされ、自分の駒を置く得子。本放送を見てみると終始クールな得子であったが、収録の時の「あたし不器用だから…」を思い出し、つい笑ってしまう場面なのであった。

 


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