◆◆◆ 電脳PiCARO ◆◆◆第7弾記事

(WarGamer誌第55号付録)OKINAWA  全27ターンキャンペーンリプレイ記録


敵の頼るは鉄の量 我に頼るは肉の量 嗚呼栄光の玉砕へ

 (WARGAMER誌55号)OKINAWAは、太平洋戦争の地上戦を扱ったSGの中で文句無しに、最高傑作と呼ぶことの出来る作品である。
 デザイナーの真摯な姿勢は、沖縄戦の本質を鋭く突いており、テストプレイもやりこんでいる事は、プレイしてみるとルールの疑問点が殆ど無いことで納得できるだろう。システムを簡単に説明すると、陸戦はファイア・パワー方式で、突撃戦闘は同一Hex内戦闘。作戦/戦術級陸戦で考えられる限りの細則が採り入れられており、米軍師団の疲労度とローテーション、日本軍の幕僚会議決定、日本軍陣地の指向性、砲兵支援を得るための前進観測の成否、日本軍砲迫の誤爆(米軍の戦力に加算される)、米軍の戦車・歩兵連携チェック(最良の目だと火炎放射戦車使用可)等、沖縄戦の参考文献を読めば、無くてはならないルールが目白押しである。そしてOKINAWA最大の特色が航空作戦SG(地上戦に一切影響を及ぼさないので、別SGが2セット入っていると考えて構わないほど)で、菊水航空作戦に対する米軍の航空基地制圧、日本軍も出撃する航空機の半数までしか特攻に投入できないなど、軽蔑すべきオチヤラケ特攻システムが多い中、真面目に特攻作戦を再現しようとしている姿勢に刮目させられる(1航空戦力=日本2機、米軍5機)。戦役中7回まで菊水作戦を行え、1度は大和特攻により米軍の航空戦力の半数を吸引できる(大和が沖縄に着く事は決して無い)。攻撃目標もピケットレーダー艦隊、高速空母、英軍空母(装甲甲板なので命中しても致命的損害が出にくい修正有り)、艦砲支援、上陸支援、攻略艦隊の6種類があり、それぞれ対空砲火と艦種が異なる細心さ。プレイ手順は両軍の航空作戦を解決し、天候を決定、日米両軍のそのターンにおける作戦方針をチット選択して同時に出し合い、その相乗効果を求め、両軍に与えられている砲撃マーカーを使用して事前砲撃を実施、米軍移動ッ敵隣接なら強制射撃戦闘ッ日本軍防禦射撃ッ米軍突撃戦闘ッ日本軍移動ッ日本軍突撃戦闘ッ補充・回復といった流れになっている。注意すべきは日本軍に攻勢射撃は無いという点か。

1986/Rodger Nord製作

●プレイヤー紹介

リプレイ記事文責 山内

日本軍YaG氏

本沖縄の完訳者であり、かつこのOKINAWAを作戦/戦術級SGの最高傑作と絶賛して止まない、YSGAにおける防御戦の権威。今回の日本軍担当者として、その知謀、八原高級参謀に匹敵し、果敢さ、長 勇参謀長に勝る最適任者。また特攻作戦に対する造詣も深く、自ら沖縄へ旅行し戦跡を訪ね歩いた経験を持つ。

アメリカ軍O林氏

旧軍幹部の無為無策、腐敗堕落を厳しく弾劾する気持ち強く、太平洋物では努めて米軍を担当し史実以上の戦果を挙げて、日本軍の無力さを暴露したいという願望を抱く。Game Journal誌に連載している通り「懐疑主義者は判断を控えることが必須条件だ!懐疑主義者は冷静であることが必須条件だ」というデカルト的精神の持ち主でもある。


◆採用した独自選択ルール

  • 特攻機命中艦名決定
  • 特攻機「桜花」
  • 義烈空挺隊

    ◆ルールの確認

  • 迫撃砲ユニットも砲兵扱い

    【第1〜2ターン:1945年4月1日〜6日】2ターン共晴天・選択戦術チット:S撤退/☆浸透

     まず日本軍が開始時に保有する700航空戦力(千四百機)を減殺するため九州、四国、台湾、先島に対して米軍先制爆撃(ゲーム中4回まで行える沖縄周辺の日本軍航空基地に対する航空撃滅戦、最初のみ損害3倍適用)。結果、日本軍航空戦力は700から370にまで減少、日本の菊水航空作戦は2ターン遅延させられた。また米軍は移動前の砲撃フェイズにおいて、日本軍の予想を裏切り、6枚ある砲撃マーカーを一カ所に集中投入する大火力主義で、不用意に道路上に集結していた日本軍機動予備であった精鋭24師22連1・2大隊の2個大隊を相次いで壊滅させた。幸先の良いスタートで嘉手納海岸に無血上陸を果たした米軍は、日本軍の阻止砲撃を物ともせず中飛行場の特設第1連隊(ホントは大隊規模の防衛隊駒)に殺到、しかし特設1連は予想外の粘りを見せ2ターンに渡り米4個大隊の攻撃を吸引、重囲下で壊滅した。米海兵は北飛行場を席巻し国頭方面の掃蕩戦を開始。米陸軍第96歩兵師団の381連隊第1大隊は、南下して牧港に隣接するも、日本軍が足止めの為に道路脇に配備した老練62歩兵師団分遣中隊の、間接砲兵と共同した防禦射撃によってたちまち2損耗(ステップロス)の大損害を被った。

    O林氏「名も無き中隊づれに2ステップロスとは!」
    YaG氏「沖縄の福島正則こと賀谷支隊頑張れ!」

     日本航空機補充により航空515戦力まで回復、菊水1号作戦発動迫る!。


    【第3〜4ターン:4月7日〜12日】晴〜雨・温存/☆準備

     前ターンの航空補充により戦力回復なった日本軍、遂に菊水1号作戦を発動、同時に天1号作戦(大和特攻)を決行して米軍の航空戦力を吸引した。これにより日本航空基地に対する米軍2度目の先制爆撃は戦力が半減した上で九州にB29を投入して重点的に爆撃する他、台湾、四国をも襲って損傷85戦力、撃破45戦力の損害を与えて、稼働385戦力に低下。しかし今、航空攻撃を実施せねば初動の遅れを取り戻す事はできない!かくして稼働全機を以て航空攻撃を実施、半数が特攻、残り半分が通常攻撃を敢行(YSGA自作ルールの桜花神雷部隊も米高速空母群に対して出撃)する。各菊水作戦については筆舌に尽くしがたいものがあり以下の様な表にまとめる。筆者はこの表を編纂しつつ、数十浬も執拗な米迎撃戦闘機の追跡を受け、ようやく敵艦隊上空に辿り着いたものの、たちまち飛行機をつつむ曳痕弾の火線、霰のように乱れくる敵弾のまっただ中を、初陣の若いパイロットが歯を喰いしばり、少し前屈みの姿勢で操縦梗をしっかり握り、スロットルを一杯に開いて突進する、けなげにもまた神々しい姿を思い浮かべて、暫く筆をおいて瞑黙した。

    菊水1号航空作戦 出撃385/帰還150
    悪天候の為、米軍、北部の掃蕩に手間取る。日本軍主戦線の一歩手前で米軍一斉攻撃の準備を着々と進める。頑強な抵抗が予想される主戦線に対して逐次投入を行うのは愚の骨頂であるとして、両軍とも砲撃戦に終始、この砲戦で戦線後方の日本軍機関銃大隊が1損耗を受け、米軍もまた96師直属@大隊が1損耗を被った。


    【第5〜6ターン:4月13日〜18日】晴ッ雨・S温存/☆浸透

    菊水2号作戦 出撃365航空戦力 帰還200
      米軍、遂に主戦線に対して全面攻撃を開始。海兵師2個は未だ北部の掃蕩に従事、陸軍3個師のみで一斉に攻撃を敢行するも、両海岸沿いに一カ所づつ日本軍を退却させて、一歩前進したのみ。中央部に対する米96師の攻撃は4個大隊もの集中攻撃に拘わらず防禦射撃で釘付け(Pin)されて戦闘後前進できず、逆に日本側の移動によって補強された。米軍はこの攻撃で1損害を被っただけだった。日本軍の損害は那覇郊外に控えていた重機関銃大隊が準備砲撃で1損害を出し、62師団分遣隊一つが全滅したのみ。米海兵2個師は6ターンまでに北部の日本軍(国頭支隊)をせん滅し、地図北端をZOCで封鎖すれば任務完了となる。

    ★伊江島上陸
    第5ターンに伊江島に上陸した米77師団は、伊江村と城山に向けて前進。対する日本軍守備隊は城山に正規軍をスタックさせ、押し出された格好の島民防衛隊を友軍地雷原のある伊江村に配置転換「村に帰してやったのだ」。6ターン目にはこの両拠点に対して米軍猛攻、城山の日本軍は制圧されただけだったが、伊江村の防衛隊は射撃を耐え抜いたが突撃を受けて壊滅した。


    【第7ターン:4月19日〜21日】泥濘・反撃/☆準備

     準備砲撃で米軍、浮足だって退却中の62師分遣隊一つを撃滅。しかし泥の為、攻勢継続断念。しかも日本軍に反撃の兆候有りと見抜き、戦線の整理と強化を図る。米軍の慎重な行動を見た日本軍嘆く「このシークエンスだと日本の反撃は難しいなぁ、反撃する前に米軍に準備されるもんな」。泥のため7ターン中に北部地図端のZOC封鎖ならず米軍も地団駄を踏む。伊江島もほぼ掃蕩され、米77師団主力も沖縄本島に上陸してくるも泥のためそれ以上の進出ならず。米軍は直接射撃を行わず6個師共同の間接砲撃12火力で日本歩兵大隊に1損害を与える。これまで防戦一方であった日本軍も10火力もの間接砲撃で牧港前面に迫る米軍スタックを制圧し、そこを62師精鋭2個大隊(63旅団11、14大隊)を以て突撃、米軍に2損害の痛打を与えて撃退したのを皮切りに与那原前面の米軍2スタックに対してそれぞれ62師12、13大隊が突撃、ひとつを退却に追い込み、もう一つは混戦状態に陥れた。日本軍の行った3カ所の突撃は全て成功し「自殺的突撃に見えたのに!」と、米軍を嘆かせた。


    【第8ターン:4月22日〜24日】雨天・隠蔽/☆浸透

     米軍O林氏、悪天候を呪い怪獣の様な咆吼。日本の航空戦力が385戦力まで回復してきたので、米軍2度目の先制爆撃、その結果、地上で撃破60戦力、損傷115戦力を減少させる事に成功。しかし日本側は稼働210航空戦力を以て第3次菊水作戦の発動を決定、次の攻撃を実施した。

    菊水3号航空作戦 出撃210/帰還85
    【地上戦】うち続く悪天候に米軍苦しみながら、前ターンの反撃で突出した日本軍を集中攻撃。最大火力による射撃で確実に日本に損耗を強いるも、日本軍320ミリ臼砲まで投入して米軍の突入はことごとく撃退する。米軍の前進を防いだ日本軍は、陣地線へと撤収、色々あったけど元の戦線にお互い戻ったといったところか。


    【第9ターン:4月25日〜27日】晴天・温存/☆浸透

     米軍待望の晴天。沖縄北部の掃蕩を終えた米海兵軍団第1、第6海兵師団が日本軍側面(砲兵陣地)与那原に対して第2次上陸侵攻を敢行!!日本軍頼りの迫撃砲部隊群が第6海兵@大隊を先鋒とする浸透攻撃を受け4損耗。320ミ臼砲まで強襲され退却。しかし米海兵も日本の防禦射撃により2損耗。調子に乗って単独で突撃を仕掛けた第6海兵@も混乱・撃退された。この2次侵攻を受けて日本軍は、島尻・湊川方面の上陸に備えていた部隊(第2歩兵隊主力)の待機を解き、与那原方面へ投入、浸透された分だけ大幅に後退して戦線の再構築を余儀なくされた。
    この頃、米軍・O林氏は戦線に蝟集する米歩兵師団を眺めて「前線には2個師団で充分、後詰めが張り付いてるとかえって邪魔だ。第27歩兵師団はわざと突撃させて後方へ離脱させるか」と呟き、牧港方面でも2次侵攻に呼応して、米陸軍第27歩兵師団による浸透攻撃を敢行したが、日本軍の2線陣地に阻まれ撃退された。またこの攻撃失敗により米27師は、狙い通り疲労度10に達し戦線離脱が可能となった。


    【第10ターン:4月28〜30日】晴天・撤退/☆準備

     戦線整理で不用意に道路上に集結した日本軍精鋭歩兵大隊が米軍砲火に叩かれ1損耗、しかし日本軍も、2次上陸海岸にいた米第6海兵砲兵スタックに濃密な重砲の火網を送り一挙に2損耗を与えた。2次上陸で戦局の打開を図りたい米軍は、今ターン野戦5個師団による一斉攻撃を実施し、全面的な射撃戦生起。しかし米軍砲兵の前線観測ほぼ全て失敗し、O林氏悲鳴と溜息が交叉す。この総攻撃によって日本軍2損耗、2退却、2混乱の被害。対する米軍は日本軍の激烈な防禦射撃を浴びて5損耗(含む@1損耗)に1退却の大損害。
    効果の上がらぬ射撃戦に業を煮やした米軍は、全面的な突撃を敢行。牧港方面では日本軍陣地を抜いて1損耗を与え、南飛行場への道を開くことに成功したものの、中央部では2カ所で混戦下に置いたのみ。2次侵攻した米第1海兵師は、日本軍陣地に戦車を押し立てて突入、2損耗を与えてこれを壊滅に追い込んだ。しかし先陣の第6海兵師は@共々撃退された。米軍の全面突撃を受けて、日本軍も行動を開始。虎の子第27戦車聯隊を首里より牧港方面へ出撃させ米陸77師に突入、これを混戦下へ置いた。また牛島司令部(第32軍HQ)自ら首里の地下壕を出て与那原の2次侵攻戦線へ移動、軍司令部の直接支援下、日本軍は海兵に対し2カ所で突撃を敢行。先だっての突撃失敗で混乱・退却していた第6海兵@大隊に対する突撃では、320ミリ臼砲の誤爆(このSGでは砲兵支援を受ける日本軍には誤爆の危険が伴う)を受けながらも、米軍@を更に退却させ、片方の突撃では、81ミリ砲迫の支援も成功してこれを混戦下に陥れた。一連の日本軍反攻の結果、その矢面に立っていた米第6海兵師は上陸後2ターン目(6日後)で疲労度19に達した(極限は20)。
    日本軍航空補充の結果、戦力は215まで回復したが、日本軍は第4次菊水作戦の発動を延期して、更なる回復に努めることにした。


    【第11ターン:5月1日〜3日】晴天・隠蔽/☆浸透

    米軍準備砲撃で、牛島司令部目前の日本軍スタックに2損耗を与え、YaG氏の心胆を寒からしめる。対する日本軍も2次侵攻海岸近くの海兵スタックを砲撃で混乱させる。極度の疲労状態に陥った第6海兵師は全速で戦線を離脱。その後を第1海兵師が引き継ぎ、米軍@を追って突出している日本軍スタックに最大火力に達する射撃を喰らわせて2損耗を与える。肉弾突撃を行えば米海兵さえ追い散らす日本軍だが、それは同時に有利な地形を捨て、身を晒す事であり、必ずその後米軍の集中砲火を浴びて大損害を被るのであった。しかし米海兵も、陣地に篭る日本軍機関銃大隊に撃ち白まされて退却するなど、効果的な突撃を行うことができなかった。
     O林氏談「陣地に機関銃大隊がいるとすさまじいなぁ」。また牧港方面でも消耗戦が繰り広げられた。そんな中、日本軍第27戦車聯隊を含む混戦Hexでは、日本軍が突撃戦闘を続行、支援の81ミリ迫砲が誤爆するも米軍に1損耗を与えてこれを退却させる事に成功した。2次侵攻に対する反攻を成功させた牛島司令部は、意気揚々と首里の地下壕に凱旋した。
     YaG氏談「砲撃されたらかなわんからね」。


    【第12ターン:5月4日〜6日】雨天・撤退/☆準備

    米軍、傷ついた前線部隊を後詰めと交替させて戦力の充実を図り、大規模な射撃戦を展開。O林氏も驚くほど戦運(ダイス目)にも恵まれ、日本軍に計6損耗を与え、2カ所で退却を強いた。逆に日本軍の防禦射撃は完全に戦運に見放され、与那原方面の米軍に1損耗を与えた程度に止まった。射撃戦で日本軍に痛打を与えた米軍であったが、続く突撃は行わず。O林氏談「今ターンは日本軍幕僚会議が行われるからね。下手に突撃突出したところに、総反撃が決定されでもしたら、出鼻を挫かれて痛い目を見るから」。そして日本軍の幕僚会議チェックで決定されたのは《総反撃》(最低4カ所で突撃を敢行すべし)であった!

    O林氏談「案の定、総反撃だよ。突撃自粛しといて良かったぁ」
    YaG氏談「確かに今、反撃に出なければもはや組織立った攻撃は出来まい。
          長勇参謀長の気持ちが分かるよ」

     かくして史実と全く同じ5月4日(12ターン)を以て日本軍総反撃開始。反撃の先駆けとして知念半島にいた海上挺身隊が逆上陸を試みるも、上陸地点を決める賽の目は7Hexで、味方戦線後方3Hexの所に恥ずかしながら上陸で、これじゃ陸上移動の方が速かった。しかし気を取り直して牛島司令部、再び前線へ。そして遂に防衛隊も戦線へ投入「学生が行く」。与那原方面の海兵隊に対し3カ所で突撃敢行、320ミリ臼砲・81ミリ砲迫の支援も成功し、6損耗の大打撃を与え与那原の町から海兵を叩き出した。戦線中央でも嘉数の町から突撃した歩兵にが牛島司令部と81ミリ砲迫の支援下、米軍に2損耗を与え、退却させる事に成功。かくして日本軍総攻撃全て成功。YaG氏こと長 勇曰く「チョー嬉しい。特に独立歩兵第44旅団の活躍が、めざましい。でもまた平地に出てしまった」。


    【第13ターン:5月7日〜9日】雨天・温存/☆準備

    前ターンの日本軍総反攻で雪崩をうって退却した米軍であったが、ただちに大隊を入れ替えて突出した日本軍の撃滅を計る。しかし前線観測はあらかた失敗し、全面的な射撃戦も軽微な損害を与えたに留まる。逆に与那原の町に1カ所食い込んでいた海兵が、激烈な防禦射撃を受けて退却し、日本軍に奪回される始末。これに業を煮やした米軍、前線の陸軍師団全てに突撃を命じ、嘉数の町に米歩兵77師@大隊が突入、対する日本軍320ミリ臼砲を支援に投ずるも自軍の頭上で炸裂、米軍と混戦下に陥る。南飛行場前面でも日本軍の81ミリ砲迫支援が裏目に出て混戦下となるなど、激しい争奪戦が繰り広げられた。一連の戦闘で米77師極限の疲労状態に達す。全米軍の中で最も疲労度の少ない米96師は、突撃で日本軍1個大隊と防衛隊のスタックを一挙に壊滅(3損耗)させ、日本軍の突出部を孤立させた。 これを見たYaG氏、米軍の巻き返しを断固粉砕すべく、前ターンに引き続き総反攻を決意。まず海上挺身隊が再び逆上陸を試み、今度は賽の目10でどんぴしゃ第1海兵師の兵站部隊を直撃、これに「万歳」突撃(賽目修正+1なれど必混乱)をかけて壊滅させた(万歳でなければ除去できない賽の目であった)。これによって今回戦闘に参加しないで疲労回復を図っていた第1海兵師は、回復不能となった。
     米軍談「兵站ユニットは幾らもあるけど回復は師団全体に及ぶもんなぁ」。
    幸先良い始まりで日本軍、各所で突撃を成功させ、乱れた戦線を立て直した。


    【第14ターン:5月10日〜12日】晴天・反撃/☆準備

     航空戦力が390まで回復した日本軍、第4次菊水作戦を発動。これに対し米軍も航空撃滅戦を実施して105戦力分を減殺させた。しかし残存戦力全てを投入して4度目の菊水作戦は敢行されたのであった。

    菊水4号航空作戦 出撃285/帰還110
     米軍、極度の疲労にある第77歩兵師を下げ、後方で休養中であった第27歩兵師と交代さす。しかし77師の1スタックが日本軍背後に混戦状態のまま取り残されているので完全な休養は出来ず。お互い今ターンも激しい戦闘を継続して行い、すさまじい損害を被る。逆上陸した海上挺身隊も突撃で壊滅させられ、長期に渡って米軍の進撃を阻止してきた南飛行場方面の独立重機関銃大隊も遂に壊滅させられた。

    O林氏談「重機関銃大隊は捕虜にしないぞ」
    YaG氏談「酷い!リプレイ書記は、今の発言を記録に留めておいて下さいよ」
    O林氏談「戦後もみ消してやる」

     日本軍もこれまでの反撃が上手くいっていたのに気を良くして嘉数の米大隊に対して突撃を継続するも、支援の81ミリ砲迫×2が味方を叩き(O林氏談「米軍の砲兵より心強いね」)、挙げ句賽の目も最悪で精鋭2個大隊が逆に壊滅。これまで善戦してきた日本軍であったが、累積する損害に戦線維持も困難になり、防衛隊も続々と投入される。


    【第15ターン:5月13日〜15日】泥濘・温存/☆準備

     泥濘の為、多くのユニットが1Hex動いただけで終わり。余り動けないので手近かな所で接敵して攻撃を敢行する米軍であった。

    O林氏談「でも、機関銃大隊のいる所へは攻撃しないぞ!!」
    YaG氏談「やっと重機を恐れてくれたか。92式重機の恐さを」

     この頃米軍は前線の師団全てが疲れ切っており、開き直って全面的な突撃を行い、与那原の町に突入した海兵は撃退されたものの、その隣では第7歩兵師@大隊が、初の火炎放射戦車の投入に成功して(泥濘効果と相殺とはいえ)日本軍部隊を壊滅させ、南飛行場前面でも第77師が、またも火炎放射戦車を得て遂に飛行場の一部を占領。これを受けて日本軍は、与那原の町を1Hex放棄し、南飛行場も滑走路後端まで下がって戦線を直線化。


    【第16ターン:5月16日〜21日】泥濘・隠蔽/☆準備

     米軍、連日の激戦で戦線の第7、第77歩兵師、第1海兵師が既に極限の疲労に達していた。そこへ日本軍の砲撃が的中し更に与那原の海兵隊1損耗。

    YaG氏「身の程知らずの海兵隊に喰らわせてやったワイ」、
    O林氏「身の程知らずは日本軍じゃい!」。

     ここが七分三分の兼ね合いと米軍、攻撃の手を緩めず、師団の領域を明確にした上、日本軍が下がった分の開きを埋めるように前進。射撃も好調で与那原の日本軍部隊に3損耗を与えた。中央部の陣地2カ所も犠牲を払って占領、首里前面3Hexの地点に対する米軍突撃では第77師@が火炎放射戦車を使用して2損耗を強要、南飛行場でも1損耗を与えた。これらの日本軍の被った損害は極力、防衛隊で充当されて悲惨さは否が応にも高まる。対する日本軍も防禦射撃で賽の目好調により与那原方面の米7師@を壊滅させ、南飛行場でも米軍を撃退するなど頑強な抵抗は依然変わらず。しかし日本軍プレイヤーターンには戦線の整理に徹し南飛行場方面には小禄の海軍兵部隊を投入する。


    【第17ターン:5月22日〜24日】雨天・反撃/☆浸透

     YaG氏自家製ルール「義烈空挺隊」出撃し、最大効果近い米軍11航空戦力を減殺。これに呼応して、菊水5号作戦発動!
    出撃330/帰還110
     米軍、南飛行場を抜いて、史実では米第1海兵師に四千人近くの戦傷者を出させた52高地こと、Sugar Loaf Hill(那覇・安謝川前面)に達した米第六海兵師(休養を終えて再び投入)は、射撃でその一角を占拠、更に師団司令部直率で突撃を敢行、日本軍は出血を嫌ってSugar Loaf Hillを放棄し2Hex退却、また砲撃フェイズに首里防衛線の1スタックを壊滅させる事に成功、その穴を通って米77歩師@が日本軍81ミリ砲迫部隊だけの首里市街Hexに突入、牛島司令部に隣接した!牛島HQの東側Hexにも米77師の歩兵大隊が突入し、日本軍またしても戦線を全体的に1Hex後退させ、直線化を図る。与那原方面の日本軍善戦し、与那原の町再び奪回成功。撃退された米27歩兵師は、背後に取り残された日本軍孤立ユニットのZOC侵入により1損耗を喰らう始末。


    【第18〜20ターン:5月25日〜6月2日】泥濘・撤退ッ温存/☆準備

     米軍O林氏、天候決定の度、長引く泥濘に嗚呼と叫んで崩折れる。「2しか動けん!」しかも南飛行場後端の道路上に日本軍船舶工兵が孤立しながらも踏ん張っており、米軍の移動を阻害、大いに憎まれる。為に米軍、自軍戦線後方の孤立した敵の掃蕩に力を注ぎ、最良のダイス目に恵まれて、各所で損耗と退却を強いた。対する日本軍の防禦射撃は、首里の一部陥落で士気が衰えたものか振るわず。それでも全体で3損耗(第6海兵@含む)を与え、首里の1Hexからも米77師歩兵を撃退し再奪回成功。しかし米軍も攻撃の手を緩めることなく全面突撃を敢行、那覇前面の日本軍陣地に突入した第6海兵@大隊は混戦下となり、那覇市街に迂回突入した海兵大隊は、防衛隊を叩きだし占領、首里でも突撃を続行、77師戦車によって工兵大隊を壊滅させた。しかし肝心の孤立部隊に対する突撃は、逆に撃退され、怒り心頭に達したO林氏からは「原爆投下やむなしだ!」との、史実で米首脳が辿りついた結論と同じ発言を引き出した。
    しかし那覇市街まで侵入された日本軍も、戦線の維持に苦悩、高い危険を覚悟して混戦下Hexから自軍を離脱させるなど破局が近い。日本軍幕僚会議の結果は《選択反攻》。続く米軍は1Hex戦線を撤退させ、最後の総攻撃の準備。接敵しているのは3Hexのみ。その米軍に対し日本軍防禦射撃で、首里の米77師戦車を撃退し、孤立部隊のZOCを通って更に1損耗させた。米軍突撃で孤立部隊を掃蕩しようとするも再び撃退された。
     しかも南飛行場で孤立していた船舶工兵に対する突撃は、退却で逃げられ、続く日本軍移動で米軍戦線の穴を突いて那覇の友軍戦線に復帰された。


    【第21ターン:6月3日〜5日】雨天・隠蔽/☆準備

    菊水6号作戦発動 出撃320/帰還105
     米軍、砲撃フェイズに日本軍が不注意で平地に配置した第2歩兵隊スタックを猛爆し、その1個大隊を壊滅さす。米27歩兵師と77歩兵師は共に極限疲労にあるも、戦線からの離脱は困難な為、再び全面攻撃を命じられる。勢いに乗る米軍の射撃は、日本軍に計5損耗、各2カ所で退却と混乱を強要した。しかし射撃後前進で進撃しようとした米軍部隊は全て、日本軍の防禦射撃を喰らって足止めさせられた。米軍突撃においては、米77歩兵師が那覇に突入、守るは南飛行場から落ち延びてきた船舶工兵。結果は船舶工兵奮戦スの「混戦」。 首里でも米軍、市街に次々と突入し、与那原の町も遂に陥落した。日本軍は前線に砲兵が露出し、戦線維持の為に混戦下からの部隊引き抜きを強行、しかし臨機射撃を受け次々混乱していったのであった。


    【第22ターン:6月6日〜8日】泥濘・撤退/☆準備

     米軍、砲兵部隊を前線へ直接投入、那覇方面の日本軍2個大隊が猛烈な射撃を受けて壊滅、戦線遂に崩壊。日本軍、首里を放棄して総撤退開始。那覇大橋爆破失敗!。


    【第23ターン:6月9日〜11日】雨天・撤退/☆準備

     米軍、快進撃。知念半島に進入。日本軍独立混成第44旅団の1個大隊、首里で遅滞戦闘を展開し、任務を果たして壊滅する。


    【第24ターン:6月12日〜14日】雨天・撤退/☆準備

     補充休養を終えた米第1海兵師、戦線復帰。米軍、小禄に進入。明治橋爆破成功。孤立していた老練62歩兵師部隊、遂に壊滅。日本軍さらに戦線縮小、知念半島の放棄を決定。


    【第25ターン:6月15日〜17日】雨天・隠蔽/☆準備

     米軍、小禄方面を砲撃で梳き返し、その後で第1海兵師が進撃。日本軍の貧弱な戦線を迂回して糸満の町まで3Hexに迫る。米軍ようやく極限疲労にある第77歩兵師を撤収さす。
    日本軍、さらに糸満ウ湊川の線上まで戦線を後退させる。現時点で掌握せる日本軍部隊16ユニットに過ぎず。嗚呼、敗軍の惨めさよ。


    【第26ターン:6月18日〜20日】梅雨明け晴天

     米第1海兵師、八重岳に突入、その一部を占拠す。また極限疲労の第27歩兵師を撤収させた。日本軍もはや各個撃破され成す術無し。


    【最終*第27ターン:6月21日〜24日】日本晴れ

    菊水7号作戦発動 (出撃280航空戦力)
    3週間毎土曜にYaG氏アパートに集結して行われた沖縄戦であったが、遂に最終ターンを迎えた。米軍第1海兵師団は、八重瀬岳に対する全面攻撃を敢行。摩文仁の牛島司令部に隣接し最後の突撃に胸躍らすも、八重瀬岳の独立重機関銃大隊からの防禦射撃を受け、釘付けとなって無念の突撃頓挫。かくして牛島司令部は、最終ターンを生き延びたのであった。

    《了》

     結果、日本軍295勝利得点。米軍165勝利得点。八重瀬岳頂上に日本軍の独立重機関銃大隊が立てこもっている上に、牛島司令部が機能しているのでキャンペーン上は米軍の敗北が決定した。

    (Wargamer.55)OKINAWA対戦前に是非読んでおきたい参考文献一覧

    ◆特に☆の付いている本は必読。

    ☆早川書房刊「天王山(上下巻)」全910P
    副題:沖縄戦と原子爆弾   ジョージファイファー著

    ☆朝雲新聞社刊「戦史叢書:沖縄方面陸軍作戦」
                  防衛庁防衛研究所戦史室著

    ☆サンケイブックス刊「沖縄」

    ☆美蓉書房刊「新版 失われた兵士たち」
                  野呂邦楊著

    ☆ぎょうせい刊「沖縄戦に生きて」
     一歩兵小隊長の手記    山本義中著

    潮書房刊「丸別冊13:最後の戦闘沖縄硫黄島戦記」

    新人物往来社刊「別冊歴史読本(特別増刊18)沖縄・日本軍最後の決戦」

    朝日ソノラマ刊 文庫版航空戦史シリーズ58「最後の決戦・沖縄」
                  吉田俊雄著

    光人社刊「沖縄・日米最後の戦闘」
                   米国陸軍省編

    沖縄タイムス社刊「沖縄戦トップシークレット」
                  上原正稔著

    岩波書店刊(同時代ライブラリー193)「沖縄84日間の戦い」
                  榊原昭二著

    彩流社刊「沖縄戦・米兵は何を見たか」
                  吉田健正著

    原書房刊「第2次世界対戦史(陸戦史集9)沖縄作戦」
                  陸幹校戦史教官執筆

    ☆同成社刊「つらい真実」虚構の特攻隊神話
                  小沢郁郎著

    光人社刊「ああ神風特攻隊」
                  安延多計夫著

    東京経済刊「神なき神風」
                  三村文男著

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