はじめての障害(ジャンプ)レース
障害(ジャンプ)レースのABC

 

【応用】「負担重量」のルールって?
   
1 「負担重量」って、何?

 「負担重量」とは、レースに出る馬の背中に載る重量のことで、「斤量=きんりょう」、あるいは英訳して「ハンデキャップ(ハンディキャップ)」「ハンデ」とも呼ばれています。具体的には、騎手の体重・騎手の着る服装や馬の装具(鞍・重量調整用のおもりなど)の重さをすべて合わせたものです。ただし、騎手のゴーグルの重さなどはこれに含まないこととなっています。

 「負担重量」がレースにどういう影響を及ぼすかということを最も単純に考えますと、「負担重量」が軽いとよりスピードが出て、重くなるとよりスピードが抑えられる、っていうことですが、障害レースの負担重量については、安全面の観点から平地レースのそれに比べ重く設定されています(負担重量を軽くすると、スピードが出過ぎる結果になり、障害を飛ぶ際かえって危険になるため)。

 また、同じレースにおいて負担重量の異なる馬が出走するときは、負担重量の軽い馬は有利になり、逆に重い馬は不利になるという影響を及ぼすことになります。
 

2 障害(ジャンプ)レースの負担重量ルールは?

 障害レース(平地レースもですが)に出る各馬が背負う負担重量については、一定のルールにより定められています。中央競馬では、大きく分けて4とおりのパターンがあります。

  
(1)馬齢(ばれい)重量戦
 馬の年齢・性別だけによって機械的に「馬齢重量」として定められた負担重量を馬に背負わせるレース。単純に、強い馬に有利です。ただし、「馬齢重量」は2歳・3歳の平地レースのみの設定なので、障害レースに「馬齢重量戦」は存在しません。(注:'02年までは障害レースにも「馬齢重量」が設定されていましたが、'03年から廃止されています。)
  
(2)定量戦
 馬の年齢・性別だけによって機械的に「負担重量」が決まるというのは馬齢重量戦と同様ですが、定量戦では「馬齢重量」に設定のない(あるいは設定と異なる)負担重量を馬に背負わせます。正確には、後述の「別定重量戦」の特殊なものとされているもので、やはり、強い馬に有利です。障害レースにおいては、未勝利戦とJ・G1競走(「中山グランドジャンプ」競走・「中山大障害」競走)がこの「定量戦」です。
定量戦/障害レース未勝利戦の負担重量
性別 \ 年齢 3歳 4歳5月まで 4歳6月以降
オス馬・せん馬 58kg 59kg 60kg
メス馬 56kg 57kg 58kg
※「せん馬」とは、去勢したオス馬のこと。
 
定量戦/障害レースJ・G1競走の負担重量
レース名 負担重量
中山グランドジャンプ 4歳62kg、5歳以上63.5kg
メス馬は、それぞれ2kg減
中山大障害 3歳61kg、4歳以上63kg
メス馬は、それぞれ2kg減
  
(3)別定(べってい)重量戦
 馬の年齢・性別に応じて定められた負担重量をベースに、その馬の過去の競走成績に応じて定められた重量がプラス(またはマイナス)されて、機械的・最終的にその馬が背負う負担重量の決まるレース。プラス分については、過去に得た賞金の額に応じて決まる「賞金別定」の形態が一般的ですが、特定のレース(大レース)で1着した経験を持つと重量がプラスされていく「重賞(じゅうしょう)別定」、あるいはその両者の併用のケースもあります。具体的には障害レースの場合、おおむね60kg(メス馬58kg)をベースに、プラス分を上乗せ(またはマイナス分を差し引き)する形になります。

 障害レースにおいては、オープン平場競走、オープン特別競走、J・G2競走のすべて、そしてJ・G3競走のうち「阪神ジャンプステークス」競走が別定重量戦となっています。

 
別定重量戦/オープン(S)競走の一例
ベース 4歳59kg(メス馬57kg)、5歳以上60kg(メス馬58kg)
プラス分 *年*月*日までの収得賞金700万円ごとに1kg増
マイナス分 *年*月*日以降*年*月*日まで未出走or未勝利馬1kg減
※「ベース」+「プラス分」−「マイナス分」が、その馬の負担重量となる。障害レースぷろぐらむにおいて、「格」らんが「」となっているレースの負担重量設定は、おおむね上のような感じです。
 
(4)ハンデキャップ戦(ハンデ戦)
 馬が背負う負担重量を馬の年齢・性別などで機械的に算定せずに、人間(通称「ハンディキャッパー」)が協議によって決めるレース。障害レースでは、「阪神ジャンプステークス」競走以外のJ・G3競走がハンデキャップ戦となっています。
 過去の実績や最近の成績など、各種データを総合して、「強い」と判断された馬は負担重量が重く、「弱い」と判断された馬は負担重量が軽く設定されるため、「理論的には」全馬横1列でゴールするってことになります。もちろん実際にはそういうわけにはいかないのですが、各馬の差があまりなくダンゴ状にゴールすれば、「ハンディキャッパー、してやったり」となります。

 具体的な負担重量は、同一のレースに出走するメンバーの実力差が大きいか小さいかによって左右されますが、障害レースの場合軽い馬で57kg程度、重い馬で63kg程度となる例が多くなっています。

 

3 負担重量・見習い騎手の減量規定

 中央競馬では、デビューして3年未満かつ通算勝利数(障害レースと平地レースの両方を合わせたもの)が100勝以下の騎手には、「見習い騎手」として機械的に負担重量が本来の規定より1〜3kg減る(=馬に載る重さが軽くなるので、それだけ有利になるんですね)という制度があります。ただし、その適用は平場競走(障害レースにおいては「未勝利戦」と「オープン平場競走」がそれにあたる)に限られ、特別競走・重賞競走では適用されません。

 なお、障害レースの「オープン平場競走」では、過去に多くの賞金を稼いだ馬は非常に重い負担重量を背負わされる設定が一般的であるため、そのような馬に「見習い騎手」を乗せて負担重量を少しでもやわらげるという戦法がとられることがあります。
 

 以上が「負担重量」制度のルールのあらましです。
 う〜ん、やっぱり難しかったですか? もし難しかったら、ごめんなさい・・・。

 
 
「障害レースのABC」スタート頁へもどる  前へもどる
 

「馬のコーナー」 表紙へ