北八ヶ岳

天狗岳

2004年8月10日、wakwak山歩会の加賀白山登山計画は台風11号の直撃 で流れた。メンバーの半分はお盆などのために参加できなかったが、残念会として北八ヶ岳の天狗岳(2,645m)に遊ぶことにした。まえからまえじま氏に天 狗岳は安直に楽しく上れるよと勧められていたところだ。まえじま氏は西尾根を登って黒百合平経由下山するルートを勧めているが、我々はよりやさしい黒百合 平経由で登り、西尾尾根を下るルートをとることにした。上り、下りとも標高差は750mである。


第1日

小田急線新松田駅集合。グリーンウッド氏のジープで一路、唐沢鉱泉に向かう。小淵沢ICから鉢巻道路にはいり、美濃戸口に向かう。ここから勝手知った、未 舗装のダート道を走り、三井の森に入る。なかなか大きな別荘地である。三井の森を通り過ぎ、1本道をまっすぐ走れば、やがて再びダート道となり、その奥に 唐沢鉱泉はあった。唐沢鉱泉はイノシシ牧場を持って いて、そこでイノシシを育て、しし肉を客にご馳走すると聞いてはいたが、子イノシシが愛嬌たっぷりに出迎えてくれるとは。トホホ!(Hotel Serial No.286)

夕食までの時間は足慣らしとして鉱泉裏より十字路に上り、尾根を下って八方台に出て、林道を帰る計画である。天狗岳の北側にある中山の西尾根の末端に八方 台はある。一般に北八ヶ岳は表土が少ないため、シラビソやトウヒの幼木が密生しているが、直径60センチ位になると枯れてしまい枯れ木の株 が残る。この株と岩がコケに覆われて湿気を含み、キノコが多い。

森の中のキノコ

八方台からは明日上る天狗岳が見える。東天狗岳は西天狗岳の影に隠れてみえない。右手にある南八ヶ岳の硫黄岳は雲の中だ。左手、一段と低くなったところに 大きな岩が2個見えるが、これは黒百合平と天狗岳の間にある天狗の奥庭の岩であろうか?

八方台からの天狗岳遠望

唐沢鉱泉に帰る林道で散策中の一家に八方台への道を聞かれる。彼らが持っていた絵図は見覚えのあるものだ。まえじま氏が唐沢鉱泉の女将に頼まれて描いたと いう絵図に違いない。「八方台といわず、峰を十字路まで登って鉱泉に下 るルートもありますよ」などとネジを巻いたが、そのうちに夕立に襲われてしまった。宿に戻るとくだんの子イノシシ君は遊び疲れて、玄関の土間に敷かれた毛 布の上で午睡中であった。猪の首といわれるが、猫や犬のように丸くなれないのでまるで丸太棒のようにまっすぐに転がっている姿が傑作である。

唐沢鉱泉は山小屋というより旅館で完全個室である。鉱泉は硫黄炭酸泉とか。口に含むとかすかに硫化水素の匂いとともに、炭酸飲料の味がしてなかなかうま い。胃腸病に効くという。鉱泉が流れた跡はカルシウムが析出して岩が白くなっている。

風呂上りに生ビールは格別のものがあった。客は22人であった。


第2日

7:00朝食をとり、7:30出発。まえじまさまの紹介で来たと自己紹介したため、生ビールは女将のおごりということになった。朝食のとき、天狗岳に上る という塾年夫婦に道を聞かれたが、そのご婦人が帳場に積んであったまえじま氏の絵図を見つけて3枚もわしつかみにし、うれしそうに1枚くれるという。

宿を出て登り始めると、登山路脇に鉱泉の湧き出し口が見える。かすかに硫化水素の匂いがする。唐沢と渋の湯の分岐からは沢伝いの道になるため、大きな石こ ろ伝いに歩かねばならないが、勾配は緩やかで3時間で黒百合平につく。wakwak山歩会の標準速度、すなわち健常者の1.5分の1の速度である。大山で 元気だったパートナーが過去3回と同じく胸が苦しく、吐き気がするといつもの症状を訴える。顔面蒼白で頭が熱いという。食欲はないらしい。原因究明のた め、ドックにまで入ったが、この症状を直接説明できる原因は肺の老化しかないという。登頂は断念し、黒百合平で30分ほどゆっくりする。昼食にはまだ早い と中山峠まで歩き、八ヶ岳の東側を覗き込む。雲でなにも見えない。天狗の奥庭と言われる高台まで今回初めて岩に手をかけてよじ登る。ここからの東西の天狗 岳はすぐ目の前だ。あと200m登れば山頂という2,450m地点まで更に登るが、無理をしないでここで引き返すことにする。唐沢鉱泉

天狗の奥庭で (クリさん撮影)

黒百合平にもどり、昼食とするが、パートナーは宿が作ってくれた弁当は口に入らないという。持ってきたミカンと牛乳をなんとか流し込む。黒百合平の山小屋 はソーラーパネルを大規模に採用している。ゼファーの風車も1台だけある。この山小屋は麦草峠からの縦走者や唐沢鉱泉に前泊しての日帰り登山をしない人が 使うようである。風呂にこだわらなければ、山頂近くでの一泊登山は老体にはむしろ楽である。

天狗の奥庭の最高到達点で

唐沢/渋の湯分岐から中山の尾根を下った。緩傾斜の尾根で、散策の気分で下る。パートナーは下るに従い元気になり、2時間15分で唐沢鉱泉まで下ってし まった。唐沢鉱泉の湯で、汗をながす。女将は「まえじまさんが7月団体でやってきて、帰って早速長い書き込みをいただきました。まえじまさんによろしく」との言葉をいただいておいとまする。子イノシ シが何かくれとやってくる。手持ちのハルスを与えると鼻を使って器用に空中に放り上げて口に入れるが、強いミントの香りに驚いてすぐ吐き出してしまう。

本日のルートは総長8.08km、累積登り628m、累積下り625mであった。

帰路は諏訪ICから中央高速に入り、河口湖で手打ち蕎麦の夕食とした。

スケジュールとパーフォーマンス

日付

場 所 予 定時刻 実 時刻 歩 数 毎 時高度差(m/h) 毎 時歩数

第1日目

小田急新松田駅

9:30集合

9:30 集合 - - -
8月 10 日( 火曜日) 唐沢鉱泉 (1,900m)

13:30着、14:00発

13:40着、14:10発

0 - -

-

十字路 (2,006m) 14:30着、14: 40発 14:40着、14: 40発

-

- -
- 八方台 (1,800m) 15:20着、15: 30発 15:20着、15: 40発 4,951 - -
- 唐沢鉱泉 (1,900m) 16:30着 16:40着 8,590 -

4,295

第2日目 唐沢鉱泉 (1,900m) 7:30発 7:30発 0 - -
8月 11 日( 水曜日) 黒百合平 (2,500m) 10:30着、10: 40発 10:30着、11: 00発 5,260

200

1,753

- 中山峠 (2,420m) 10:50着 11:10着 6,134 - -
- 天狗の奥庭 (2,450m) - 11:30着 6,724 - -
- 黒百合平 (2,500m) - 12:00着、昼食 12:30発 8,188 - -
- 唐沢/渋の湯分岐 (2,200m) - 13:30着 10,687 - -
- 三叉路 (2,120m) - 13:50着、14: 00発 12,146 - -
- 唐沢鉱泉 (1,900m) - 14:45着 15,977

300

3,895

装備

山行装備:ストック2、雨具、スパッツ、サポーター、暑さ対策、懐中電灯、着替え2着、洗面用具タオル、日焼けクリーム、健康保険証。

食糧

食糧:チョコレート、ビタミンCドロップ、水2リッター、非常食

August 12, 2004

Rev. November 24, 2017


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