房総
愛宕山・鋸山
2015年11月19日、久里浜の「ペリー記念公園」
から対岸の金谷方面の丘の上に光り輝く住宅地が見えた。地図で調べると富士見ヶ丘の住宅地の
ようだ。その奥に少しかすんで見える山並みが見える。二ッ山(376m)、愛宕山
(408m)や峯岡浅間(336m)ではないかと見当をつけた。それを確かめるのが本登山の目的となった。愛宕山は千葉県の最高峰であるという。この山頂
には航空自衛隊のレーダードームがある。
レーダードーム建設・維持のため自動車道路が山頂近くまでつけられているため自家用車で基地に乗りけられるが、バス停から時間をかけて上りたい。
自衛隊は月曜日は受け付けてくれないので決行予定日は2016/2/16(火)とした。
路線バス利用の計画
釜沼バス停からの登山ルートは下図のように水平方向6.1kmだから時速3kmとして水平移動に2時間かかる。高度差350mであるから登坂速度
250m/hとして1.4時間かかる。ベクトル合成しても2.4時間かかることになる。したがって12:38着で門限の12:45にぎりぎり。したがっ
て昼食をゆっくりとっている暇はないのでおにぎり持参とする。
バス停から南に向かって道なりに歩くとと小さなトンネルを通過する。トンネルを出ると、道は次第に西に向かうが左手南側に大山千枚田が見えてくる。道は次第に南に回り込むと棚田倶楽部(棚田カフェ)がある。鴨川市がNPO法人大山千枚田保存会に管理を委託した施設だ。更に南下すると農家民泊の「五郎兵ヱ」(04-7098-0758)がある。以後「鴨川自然王国」に入り込まないように注意して二ッ山に向かう。二ッ山を大きく巻いて、稜線を東に向かい。愛宕山に向かうというルートだ。
帰路は最終バスの釜沼バス停15:50発まで2時間50分なのであまり時間はないし、日本酪農発祥の地という嶺岡牧場に立ち寄るのは無理。
路線バスの本数が少ないのでまことに窮屈ということで鎌倉在住の安井さんがバンで参加し、適宜乗せてくれるというので甘えた。
出発時刻は同じ、鎌倉組は久里浜からフェリーでJR浜金谷駅に向かった。東京組は浜金谷集合。
愛宕山
浜金谷で全員バンにのって大山千枚田へ移動、棚田倶楽部に駐車。愛宕山頂まで登るという案
だ。そうすると日本酪農発祥の地という嶺岡牧場も訪問でき、鋸山にも自動車登山できる。全員フェリーで帰り、鎌倉駅解散というプランだ。
フェリーからは潜水艦が浮上して劔崎沖を横須賀港に向かって全速航行している。スクリューが半分水面上にでているので盛んに水をはねている。
劔崎沖を母港に急ぐ潜水艦
7名全員がワゴンに乗り、NAVIに航空自衛隊嶺岡山分屯基地を入力して走っていると鴨川保田線に入らず、その南の谷を走る鴨川富山線に入ってしまった。
確かにこちらが航空自衛隊嶺岡山分屯基地への正規ルートだ。そこで伊予ヶ岳を過ぎたところで愛宕山のある山脈を横断する富津館山線で鴨川保田線にシフトす
る。釜沼バス停で右折して大山千枚田 棚田倶楽部に向かう。冬の方が棚田が明確に見えてよい。棚田の南に航空自衛隊嶺岡山分屯基地のレーダードームが逆光
の中に見える。
大山千枚田 棚田倶楽部から東方をのぞむ 愛宕山は右手方向
ちょうど10:15だ。7名中3名はここから歩き出す。残りは二ッ山から歩くという。かなり急いで登る。途中、梅と紅梅の林床にうっすらと積もる雪を見た。昨夜までの春一番で三原山に降雪があったが、ここも同じような気象条件だからであろう。
紅梅と雪
結構いそいで二ッ山を大きく巻いて平らな道に入ったところで車で先行していた2名と合流。予定より30分早く基地に着きそうなため、途中で小休止、エネルギーをチャージする。
ゲートでチェックインし、時間待ちする間、東南の方向に広がる山並みはかって散策した烏場山であろうと見当をつけた。写真を撮らせてくれというも守衛は案内人がくるまで写真撮影は待ってくれという。ヘリパッドがいやがうえにも視野に入ってしまうからかもしれない。
案内人は制服着用の広報オフィサーの渡辺氏だ。こちらも意識してCVN-73の紋章月の帽子を着用してきた。このレーダーサイトは日本の敗戦後、
米軍が作ったもので、米軍撤退時に自衛隊に移管されたものだという。移管60周年を祝ったという。日本は敗戦間際にようやくレーダーなるものが開発さ
れた試作品が1-2基、軍艦に搭載されたくらいで戦争には間に合わず負けた。このような技術的劣勢でよくも開戦を決意できたものだと後知恵ながらばかばかし
く思う。
隊員総勢150人中、25名が基地内の居住区で生活し、残りは鴨川市からの通勤だという。この基地は太平洋から飛来するミサイルを監視するのが目的だと説明あり。基地でトイレを借り、愛宕神社に向かう。この林のなかにつけられた石
段の参道だけは昔の雰囲気で、鳥居も、梵字を掘った五輪塔など昔のままだ。途中タヌキ君に出会う。
タヌキ君 和田さん撮影
山頂には木製の三角点標識があった。ここで記念撮影。

山頂にて記念撮影
山頂の北側には通信アンテナが林立しているため、渡辺氏はそれを背にして南東を背景に撮影した。撮影後今年度1592番目の登山者であることの証明書をいただいた。だいたい年間1700名くらいの登山者を案内するという。
レーダードームのある山頂より少し低い広場に移動する。非常用発電機の空気吸入、排出ダクトからの騒音が聞こえた。この広場からの北側の眺望は素晴らし
い。はるか遠く鹿野山がゆったりと横たわる。左手には鋸山が見える。
レーダードームのある山頂よりの北方の眺望 和田さん撮影
鋸山の方向を見ると鋸山の右手の低まったところに久里浜の石油火力の三本煙突がみえる。しかし波打ち際まで見えない。ということは久里浜のペリー上陸地点
からは愛宕山は見えないという結論になる。鋸山に連なる鋸南町の北辺の山脈と津森山などが前山として見えていたのだろう。逆に観音崎らしきものがみえるので観音崎からは愛宕山が見えるかもしれない。3月の観音崎には双眼鏡を持参しよう。
遠く鋸山とその向こうの久里浜の石油火力の三本煙突
嶺岡牧場
基地にはお暇して、車で山を下り嶺岡牧場に移動する。ヤギを放牧しているだけだが、千葉県酪農資料館に入って認識を新たにした。そもそも愛宕山のあ
る東西に走る断層で形成された嶺岡山地は 戦国時代に国守里見氏が軍馬を育てる目的で嶺岡牧場を創ったところだという。
その後、江戸幕府が嶺岡牧場を直轄する。 8代将軍吉宗は馬の改良に力を入れ外国産の馬を輸入した。
その際に印度の白牛3頭が入ってきた。白牛は年々繁殖し、1793年からは搾った牛乳から白牛酪が作られるようになった。
日本の酪農のはじまりである。森永乳業も明治乳業もここが発祥の地だ。明治、大正、昭和を発展したが戦争で解体し、その後、復興することはなかった。「いきいき館」で昼食。
嶺岡牧場
鋸山
鋸山に向かう。登山自動車道から振り返ると奥からなだらかな「愛宕山」、急峻な「伊予ヶ岳」、双耳峰の「富山」の三山が見える。ちなみに安房三名山は「御
殿山」、「伊予ヶ岳」、「富山」であるが、この地点からは「御殿山」は、「伊予ヶ岳」にさえぎられて見えない。海に目を向けると大島の左手に三宅島とその
向こうに御蔵島が見えた。
愛宕山、伊予ヶ岳、富山
聖武天皇の勅詔で行基が開いたという日本寺で入場券を買い、真っ先に向かったのは山頂展望台である。昔の採石場の垂直の壁と自然の崖に挟まれたナイフエッ
ジ様の地形につけられた急階段をのぼりつめると展望台である。ここから「地獄のぞき」をみることができる。石切りで残った岩盤がオーバーハングしているの
である。
地獄のぞき
地獄のぞきの頭越しに三浦半島方向を望むと久里浜の火力発電所の三本煙突がもっとも近い地点だということがわかる。
地獄のぞき越しに三浦半島を望む 和田さん撮影
山頂展望台から階段を降りて石切り場に掘られた百尺観音に向かう。金谷に下る車力道はここから始まっている。切り出した80kgの石3個を載せたネコ車を女性が運んでいたという。
百尺観音
更にくだって大仏広場に向かう。高さ31mの巨大な石仏である。
石仏
全員金谷港からワゴンのままフェリーで久里浜に渡る。葉山の森戸神社近くのデニーズで夕食をとり、鎌倉駅で解散。安井さんのおかげで充実した1日でした。
七里ヶ浜からみた森戸神社近くのデニーズ 2016/9/2
路線バスの場合の詳細
集合場所:東京湾フェリーターミナルの鴨川日東バスバス停
集合時間:9:30(9:40にバス出発)
東京の住人は東京6:52発⇒着9:09内房線浜金谷駅
横浜の住人はアクアライン経由の高速バスで内房線木更津駅⇒着9:02内房線浜金谷駅
鎌倉の住民2名は7人乗りワゴンででかける。
鎌倉高校前6:51発⇒(江ノ電)⇒着7:10鎌倉7:10発⇒(ワゴン26km逗葉新道と横須賀道路)⇒着8:00久里浜港8:20発⇒(東京湾フェリーA)⇒着9:00金谷
フェリーは片道40分
金谷から全員ワゴンで棚田カフェまで移動。以後徒歩で登山
金谷以降路線バス利用の場合は
鎌倉高校前6:51発⇒(江ノ電)⇒着7:10鎌倉7:19発⇒(横須賀線)⇒着7:45久里浜→京急久里浜7:56発⇒(京急バス)⇒着8:
05久里浜港8:20発⇒(東京湾フェリーA)⇒着9:00金谷9:40発⇒(鴨川日東バス)⇒着10:14釜沼バス停→大山千枚田→
二ッ山(昼食)→着12:30愛宕山入り口→山頂→愛
宕山入り口13:00発→釜沼バス停15:50発⇒(鴨川日東バス)⇒着16:24金谷解散
金谷17:20発⇒(東京湾フェリーA)⇒着18:00久里浜
鴨川日東バスの時刻表
帰りのバスに乗り遅れた場合は「かずさ交通」にタクシー配車の電話をかける。0438-36-2211または 0120-36-2211
航空自衛隊への手続き
この山に登るには機密維持のために事前に入山者の住所・氏名を明記して予約を取る必要がある。
見学可能日:毎週火曜日及び木曜日、並びに第1、第3土及び日曜日)見学時間12:00-13:00
予定日の1週間前までに以下の内容を
「航空自衛隊峯岡山分屯基地」の広報係(下記)までご連絡。
@ 予定日
A 団体等名
B 見学者(全員)の住所、氏名、年齢
C 代表者の連絡先(電話番号)
D 車種及びナンバー(私有車で乗りつける場合)予約先は航
空自衛隊嶺岡山分屯基地 tel.0470-46-3001)。そして、当日は運転免許証・健康保険証など身分を証明する書類が必携という。
連絡先
〒299−2508
千葉県南房総市丸山平塚乙2−564
第44警戒隊 総括班 広報係
基地
入り口に着くと一人一人身分証明書のチェックを受けた上でゲートを入る。案内の自衛隊員がトップとラストに一人ずつ付き、
山頂に歩いて向かう。10分も歩くと頂上。遠くからはよく見えるレーダードームは樹木にかくれ、頂上からは見
えない。408.2m三角点の前でシャッターを押してもらい下山。ゲートに戻ると三角点の写真がプリントされた名刺大の「千葉県最高峰登頂記念」が
貰える。「今年度X番目の登山者です」と記されたものをくれる。
Novemeber 24, 2015
Rev. September 3, 2016