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総合知学会2010ネットワーク経済学−自己組織化による倫理と効率の統合を図る−芝尾紘一 |
アダム・スミスの利己主義に基づく自由経済は、近代経済の発展と、今日の物質的に豊かな文明を齎した。自然、生命の持続のための秩序形成の原理である自己組織化を利用した効率のよい市場原理を採用したためと考えられる。しかし、過度の市場原理主義やグローバル経済は、環境問題、金融破綻や失業、所得の不均衡をもたらし、何等かの倫理、利他主義を取り入れて経済を制御する必要がある。しかし、文明、社会や経済のような巨大なシステムを上からの指令で制御するのは官僚主義などモラル・ハザードを起こし破綻し続けたのが歴史である。やはり、自己組織化=市場原理を利用し、経済活動を多数の要素が相互作用するネットワークと見做し倫理を制約と考え、効率と制御(倫理)を両立させることで倫理性と効率を両立させることが可能になる原理を報告する。
Rev. July 26, 2010