1.風とは?

風が吹くという。

風はどのようにして起こるのか?

自然に起こる場合は、温度差により空気が移動するからである。

温度差は、どこで起こるのか?

まず、地球規模で考える。

季節風っていうのがある。

季節風を大辞林第二版で検索すると、

「一般に夏は海洋から大陸に、冬は大陸から海洋へと、季節によってほぼ正反対にかつ範囲に吹いている風系。日本付近では夏の南東風と、冬の北西風とが季節風である。 モンスーン。」

と出てくる。

つまり、大地の方が海に比べて、暖まりやすく冷えやすい性質がある。

理科の言葉でいうと、大地の比熱が、海(水)の比熱に比べて小さいのである。

夏の間は、太陽の熱で、大陸の温度の方が海の温度に比べて高くなる。

そうすると、大陸の空気の温度が高くなるから膨張して軽くなる。

理科の言葉でいうと、大陸の空気の比重(単位体積あたりの重さ)が小さくなり、周りの空気から浮力を受けて、上昇する。これを対流という。

大陸の空気が軽くなり上昇するので、海の空気が流れ込み、風が起こる。

風の向きは、夏の間は、海から大陸へ向く。

これを季節風と呼ぶ。

冬になると、大陸の空気は冷えやすく、海の空気は冷え難いので、海の空気の温度の方が、大陸の空気の温度より高くなり、膨張して上昇する。

そこに大陸の冷たい空気が流れ込み、風が起こる。

これが冬の季節風である。

台風は、熱帯性低気圧と呼ばれるように、熱帯地方の海洋上で局所的に発生する渦巻きである。

風の起こる原理は、南洋の島の空気が周りの海の空気より温度が高くなり、上昇気流を引き起こし、これが渦となって台風の種となる。 理屈は、大地が水よりの暖まりやすいことからくるので、季節風の場合と同じです。

海岸近くの場所では、一日の内で、同じ変化が起こります。

昼間は、夏と同じで、海から陸へ風が起こり(これを海風という)、夜は、冬と同じで、陸から海へ風が起こる(これを陸風)という。

その途中の風が止む時を凪(なぎ)と呼び、風の省略体の中に止を書きます。
風が止まることを表すので、何となく意味が通じます。

パラグライダーをやる時利用するのが、山風谷風です。

谷風は、昼間、太陽の熱で山の斜面が暖められることで起こる上昇気流で、谷から山側に吹く風をいいます。 夜になると、山の斜面が急に冷えるので、谷の空気の温度の方が高くなり、谷から上昇気流が起こり、山から谷に向かって風が吹きます。

これを山風といいます。

これも海はありませんが、温度差によって風が起こることは、季節風と全く同じです。

以上まとめると、自然界で起こる風は、温度差により空気が移動するからといえます。

理科の言葉でいうと、空気の対流現象であって、お風呂を沸かすときに、熱い湯が上のほうに上り、冷たい水が浴槽の底に下るという水の対流現象の空気版と考えてよいわけです。

<水の>風は家庭内でも毎日起こっているわけです。

一方、人工の風はどのようにして起こすのでしょうか?

温度差を作るという面倒くさいことはしないで、ファンを回して空気の移動を力づくでやります。 うちわ、扇風機、クーラー、換気扇、ヘリコプターなど。

風をどのように利用するかに関係しますが、人工の風は、基本的に人間が制御しているので、利用したいときだけ風を起こすことになります。

好きな時に風が起こせるので便利ですが、エネルギー源が、原子力燃料や化石燃料の場合は、環境を考えて節約しなければいけません。


最終更新日: 2002.1.08

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