6.風に託すもの

自分がタンポポなら、風に託すものは、生命である。
次の世代への命のバトンタッチである。
タンポポの綿毛は、種が風にのって出来るだけ遠くに飛ぶようにできている。
同じ環境にいたら、環境の変化で種が絶滅するかもしれない。
だから、できるだけ異なった環境に命をばらまく。

自分が渡り鳥なら、風に託すものは、旅の平穏無事である。
寒い土地から温暖な土地への旅の途中、嵐に出会わないことである。
家族の誰もが生きて旅を終えられることを願うだろう。

自分が人間なら、風に託すものは、夢と希望だろう。

夢と希望は風が運んでくれるものではない。
しかし、いつか風とともにやってくると信じ、自分の風を起こすことで、流れは生まれてくる。

流れは、自分の風だけでは生まれない。
自分の風が、全体の風のなかで揉みくちゃにされながら、変貌を遂げて生まれてくる風である。
結果は、自分のデザインどおりの風にならないかもしれない。
でも、出発はまず自分の風を起こすことから始まる。

自分の風を起こしつづけることが、夢と希望に通じる。
そう信じて生き続けることが、風に乗るということだろう。

風は、「温度差により空気が移動すること」と、1の「風とは?」で述べた。
温度の高い方に吹き込んでくる。
静かなこころと熱い思いをもって行動すれば、風は自然と起こる。
自然と起こる風は、思わぬものを運んでくれる。
そんなハプニングから、夢と希望は膨らんでいく。


最終更新日: 2002.1.05


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