鈴鹿8時間耐久レース
〜文:丸山 浩選手(原文のまま)〜

7月28日 金曜日計時予選終了!

やっと予選が終わってゆっくりしています

予選A,Bグループに分かれ、路面コンディションの変化のため両グループ頭取りとなったが、第一ライダーの走る時間帯が2回とも、セミウエット。
そこで第二ライダーである、僕に責任が重くのしかかってしまった。
一回目のセクションは15秒台でクラス8番手。そして2回目のセッション、こいつで予選順位が決まるとわかっていたので、本当に責任重大であった。
(これじゃセカンドライダーの意味ねーじゃん。今回は楽できると思っていたのに)
サインボードで自分の順位を知らせてもらいながら走っていたが、なんと言っても狙いはスペシャルステージ!
(何たって、これに出るだけでファイトマネーが出るかんね!)
周回前半で15秒台は出していたものの、ポジション的には総合26番手。
スペシャルステージは20番手以内なので、ラスト3周、がんばった丸山…。何とか14秒5出し、チェッカー時には

総合19番手に。
ぎりぎりだけど、スペシャルステージ明日走ります。うちトップバッターだかんね!よく見ておいてね

    

今回ツナギが、ハニービー仕様。う〜んWITH MEカラーのブルーとはイメージの違うWITH ME丸山だが、これも八耐っぽく涼しそうでいいでしょ。
夜間走行でも、丸山絶好調!あんまり昼間とかわんないっつー事は、ドライで、一生懸命はしっとらんのかな?
さすがに2年ぶりの8耐なので、マシンとコースになれるのが、今回は遅かった。
近頃4輪でしかはしっとらんから、感覚違っちゃったのかな…焼きが回ったのかな…
まぁまだまだいけそう!!

  

予選終了後、ほっと一息。明日のスペシャルステージに備えて、ピット裏で弁当を食べる、ハニービースタッフ。
ライダーにとっては、この夜のピットの雰囲気が「8耐!」を感じさせる。
ちなみにコース側では、TRFのロンゲとその一味が、リハーサルでダンスしとった。(よく体がグニャグニャ動くやつらだな)
全然関係ないけど、我がチームスゥィートは、テクスポと一緒。コニタンや前ジュンがいっしょで
ついでにYM編集長まで現れ、もう部屋んなかヤングマシン状態。真ん中にいる女の子はYMに出ていた寺田夏芽ちゃんだよ。


7月29日スペシャルステージ


フォトby黒田写真事務所

いつ行ってもスペシャルステージは緊張するなぁ(WITH ME MARUでも緊張するんだよ)
今回は、予選で14秒台であったので、13秒狙いといきたいところだが、
過去のスペシャルステージでは、計時予選タイムを越えられたことがないので、ちょっと難しい。
それよりもトップバッターでのスペシャルステージなので、(よく考えたらスペシャルステージに出るの4年ぶりだぁ)
なんとおいしく2周もフルにスクリーンに登場。ここは一発見せるしかないでしょう。ウイリー!!
本当はキットVTRはトラクションコントロールが付いているので、ウイリーしないようになっている。確かに、やろうとしてもほとんど出来ない。
しかしWITH MEは黙って練習はしていなかった。密かにデグナー立ち上がりで練習をしていたのだ。
そして見事スペシャルステージ、フルスクリーンに映されたウォームアップランでデグナー立ち上がりから、ヘアピンまでの長距離ウイリーを披露!
帰ってきたらみんなタイムアタックの走りよりもウイリーのことばかりほめていた。
肝心のタイムは2分14秒5で計時予選と変わらず。一人抜いて19位(実際は18位でした)にジャンプアップ。
でもやっぱひそかに13秒台をねらっていたんだけどね。「どうせならタイムでパフォーマンスしろよなっ」てか!
一応タイム一番に考えているんだけど、どうもサービス精神がね…騒ぎ出すんですよ。。。

  

今日も夜遅くまで、決勝に備えた練習が続く。
WITH ME MARUは
遅くなるけど、この練習が好きだから、いつも遅くまでチームと残っています。
他のライダーはほとんど帰っちゃうけどね。

サービス!(意味ねーか)

レーシングチームハニービーの8時間耐久


波乱の8時間

長い8時間の決勝が始まった。
まずはスタート、僕自身9回目の8耐でスタートは8回経験。(でも、今までにいろんなチームで出場してきて一度もファーストライダーとして参加したことがないのだ。8耐はいつも雇われライダーだから…)
今回も、ボク的にスタートライダーは見せ場なのでやっておきたいところだけど、もういい加減楽したいWITH ME丸山は長谷川選手にお願いしてスタートをやってもらうことにした。長谷川選手もテスト中からとてもイイタイムをマークしているので、二人で相談して長谷川選手スタートと言うことに前日の夜に決めていたのだ。しかしスタート10分ほど前に、レギュレーション上はスタートをタイムを出した方が行うものとする事を、当日の朝なって発覚。急遽、あわてて着替えさせられて、心の準備もままならないまま、ルマン式スタートの位置に着いた。しかしサイティングラップを行っていないためペナルティは取られてしまう。どんなに速く走っても、すぐさまピットストップになるだろうと考えつつもWITH MEはとにかく心を入れ替え、いかにして結果を残すかに専念。(そんなことを考えながらも、キャンギャルの綾ちゃんと共に観客席にサービス、サービス!)


攻める気力!

 そしてスタート。 安全に確実に順位を上げていくことを考えながら走っていた。
予選で14秒を出すのがやっとであったが、スタート直後のタイムは15秒台をそろえて、途中外人ライダーの走りに予想が付かず抜きづらかったが5周目までには15番手までジャンプアップ。 ストレートがやたらと速いCBR900RRを後一人抜けば結構前が空いているので、イイペースで走れそうだと思っていた矢先、やっぱりペナルティボード56番が掲示されてしまった。ピットインで20秒のペナルティストップ後再スタート。さて、自分はどのくらいの順位にいるんだろうと、不安感を思いつつも、8時間あきらめずに走っていれば、賞金は稼げるはず!と、自分に言い聞かせながら体力の限界まで毎周攻めていった。(予選タイムの1秒落ち位を1時間通して走るのって、本当につらいのよ。テスト中にやれと言われてもまず出来ない。体力的にも精神的にも、ちょっとでも気を緩めたら、リヤタイヤのスライド量を間違えて飛んでしまいそう。)

さて1時間を終えてピットに帰ってみると、ペナルティ直後に50番以降に落ちていた順位を、30番前後まで盛り返したらしい。さて、このときWITH MEはまだイケルと、「次の時も激攻めダー!」と思っていた。
しかし長谷川選手走行中マシンにアクシデントが。なんとリヤアクスルナットがゆるんではずれかかってしまった。すぐさまピットイン。アクスルシャフトを交換して出ていくが、1〜2周でピットイン。今度は先ほどのが原因で、ホイールが損傷。これもまた交換して出ていくことになった。
この時点で、転んだチームをのぞけばほとんど最後尾、それも数ラップの差を付けられてだった。これはライダーがタイムを詰めていっても、早々は盛り返せるものではない。例えば17秒で走ればチョー楽な物を、15秒で走ったとしても、1時間で走れるのは23周。ライダーがリスクを負って詰められるのは1時間で1分にも満たないのである。しかしこの時点ですでに10分くらいはハンデを背負ってしまった。
この時点で僕の気持ちには、少なからずこの8時間を違う気持ちで走らなければならない決断を自分に下していた。ここまでやってきたのだから、あきらめたくはない、しかし自分一人で走っているわけでもなく、チームの力になるために走っているわけで、むやみに飛ばして転んでしまうよりは、完走を…しかし大勢の見ている前で焼きの入った走りはしたくないっ。そんな心の葛藤の中いかにしてペースを守って走るか…そんな気持ちは長谷川選手も同じだったのだろう。

長谷川選手まさかの転倒!監督から長谷川選手ペースダウンの知らせを聞いたときは、まだマシンがうまく走らないのか?と思ったのだが、ピットに帰ってきたマシンはカウルを含め左側の損傷が激しかった。修理に十数分を要し再び僕が走り始めた。とにかくペースを落としすぎず、そして無事に1時間後ピットにマシンを返すことを考え…。しかしマシンはすこぶる調子がいい。抜こうと思えばトップテンに入っているライダーでも抜けそうだ。しかしむやみに争っても、最後の結果には関係ない。自己満足だけでマシンを走らせるほど経験が浅いわけではない。もう10数年たくさん走ってきた。とにかくたくさんのスタッフ、スポンサーなどが最後のチェッカーをうけることを待っている。


ピットでチェッカーを受けた屈辱

その後は順調に二人で周回を重ね、またピットワークも練習の成果を存分に発揮していた。我々の周回しているタイムは充分トップテンに通用するもの。順調に走っていれば…。しかしこんな思いは、他のチームにもたくさんいるだろう。もちろんワークスチームだって、半分はこんな気持ちなのではないだろうか…。
そして我々のチームに再びアクシデントが待ち受けていた。長谷川選手がラストの走行に出かけたとき、すでに夕闇が迫っていた。ライトオンの表示がされるも、ウチのチームはライトがつかない。転倒時のダメージか?結局すぐにピットに呼び戻し、修理。そして交代間もないボクは、そのまま最後まで走りきると言う指示で、すぐにマシンにまたがり出走した。なんとあわただしいことか。ライダー交換のペースは、ほとんど序盤ですべてが狂ってしまった。休む間もなくコースインしたボクは後1時間…。こいつを走りきれば…。
すでに手のひらが何を握っているのかわからない状態、ハンドルにしがみつくのがやっとなのに走り出せばきちんとアクセルワークをしている。体がきちんと脳に感覚をフィードバックしていないのに、まだマシンを操っている。とにかくミスをしないように…。ラスト走行の、こんな感覚にも、長年走っているので、もうなれてしまった。しかし気を許せば200q/h以上で走行している危険が身に降りかかってくる。「とにかく攻めるんだ!」攻めることこそ緊張感を持続できるのだ。


8耐の感動を再び

しかし再び暗闇のホームストレートに56番のピットボードが提示させられている。最初は目を疑った。後少しなのに…。ピットに戻ってきてみると、なんとボクの休憩時間が不足していたらしい。チームの計算ではライト修理に時間がかかるはずであったが、それが思いのほか簡単に直った。そしてすぐさま交代したので時間がずれてしまったのだ。そのため14分間のピット停止。すでにホームストレートはストロボの嵐。マシンにまたがったままGOサインを待つWITH ME。しかしピットストップ13分経過した時点でチェッカーは振られてしまった。完走周回数は達成していたが、それでもチェッカーをうけずに終わった悔しさは、我々ライダー、そしてメカニックスタッフ、そして監督の菅原社長は忘れることがない。これも8時間耐久。順調に走りあっけなく10位以内にはいることもあるが、全く勝負にならないこともある。しかしすべての力がそろって上位を走れたときの感動を忘れていないからこそ、また走りたくなる。レーシングチームハニービーは「また来年もやろう!」とスタッフ、ライダー、監督、そしてスポンサーが口をそろえて唱えていた。

 

応援していただいた皆さん、本当にありがとう御座いました。