記念講演
「テレビとスポーツ中継」
〜テレビ放送50年。
  これまでスポーツの制作現場は何をしてきたのか
    またこれから何をしようとしているのか〜

中尾 嘉伸氏(時習29回生)
TVプロデューサー/株式会社フジテレビジョン勤務

 テレビ放送が始まって50年、これを普及・発展させてきたのはスポーツ中継でした。
創生期の白黒テレビ時代、力道山のプロレスに“街頭テレビ”は黒山の人だかりでした。
カラー放送時代の主役はプロ野球、長嶋や王が大活躍する姿を見て、全国の少年達は
プロ野球選手に憧れました。

そして衛星放送が始まりハイビジョンテレビが登場します。
世界のスポーツを、臨場感あふれるライブ映像で楽しむことができるようになりました。
ヤンキースの松井、セリエAでプレーする中田の雄姿を茶の間で見ることができます。
テレビとスポーツ中継の蜜月時代が絶頂期を向かえた観すらあります。
もちろん物事には光と影があります。
テレビの発展はスポーツのプロ化と商業化を促しました。

プロ化によってスポーツは“魅せる”スポーツに生まれ変わり有名選手には
高額な年俸が保証されました。
商業化によってスポーツ団体は財政的に潤いました。国際的な大型スポーツイベントを
日本で開催するゆとりすら出てきたのです。しかしそれは一部のスポーツだけでした。
マネーは野球やサッカーに集中し、テレビに取り上げられることのないマイナースポーツには
恩恵はなかったのです。コンビニでバイトをしながら練習に励む選手、
手弁当で大会を運営する団体はたくさんあります。
一方メディアの絶対的存在であったテレビ自体も大きく変わろうとしています。
インターネットに代表される新しいメディアの登場です。
通信(インターネット)と放送(テレビ・ラジオ)はすでに様々な面で衝突していますが、
やがてこれが融合に変わりまったく別なものに進化していくでしょう。
“放送環境の変化とスポーツ界の影”、さまざま矛盾や不確定要素を含んだのが
現在のテレビスポーツです。

 いま、テレビは何をしなければならないのか、私の働くスポーツの制作現場も
当然それへの対応を迫られています。
フジテレビのスポーツを例に取りながらお話できればと思います。

(註)講演の内容は突然予告なく変更することがあります。あしからずご了承ください。