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2012.09.10. 掲載
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昨日(9月9日)堺市民会館で行われたヤング@ハートの公演を観た。それは、私の76年の人生で経験したことのない種類の楽しさと感動を与えてくれた。その興奮の記憶がうすれてしまわない間に、記録に残しておく。
ヤング@ハートは、Wikipediaによると、1982年に結成されたアメリカ合衆国のコーラス・グループ。音楽監督と指揮を担当するボブ・シルマン(Bob Cilman)が、地元ノーサンプトンの公営住宅ウォルター・サルヴォ・ハウスに住む高齢者を集め、ロックやR&Bを歌うというコンセプトで結成された。
メンバー・チェンジを繰り返しながら活動を継続して、1996年にはロッテルダム公演を行い、その後ヨーロッパ、オーストラリア、カナダでも公演を行った。2007年、ドキュメンタリー映画『ヤング@ハート』が制作され、2010年3月に初の日本公演が行われた、ということだ。
今回は2回目の日本公演で、9月7日の名古屋から始まり、全国6カ所で7回の公演がある。また、映画『ヤング@ハート』のDVDがポニーキャニオンから発売されている。
メンバーは、プログラムで調べると、男11名女15名の26名で女性が多く、平均年齢は80.7歳、最低年齢は73歳の男女が各1名づつ、最高年齢は90歳の女性2名である。
ロックのことはよく分からないが、ビートの効いたロックが約3分の1、スローなロックバラードが約3分の1、普通のロックが約3分の1くらいの割合だったように思う。
日本の曲を何曲か、良く分る日本語で歌った。その中で、私の知っている曲は、上を向いて歩こう/ 坂本九、TOKIO/ 沢田研二、ファンキー・モンキー・ベイビー/ CAROLだったが、立派な歌い方であった。
一番多かったのは、図2のようなソロ+コーラスで、ソロは男性の方が多かった。
その次に多かったのは、図3のようなデュオ+コーラスで、トリオ+コーラスとか、図4のようなコーラスのみのスタイルはわずかだった。
楽譜を持たず、2時間の公演を暗譜で歌い通した。
ロックを大声で歌うだけでも体力を極度に消耗するものだが、15分の休憩を挟んだ2時間の公演を、立ちっぱなしで歌った。一人だけが、第2部の途中から椅子に腰掛けたが、礼をするときには立ち上がり、ていねいにお辞儀をした。
観客聴衆はノリノリで、ヤング@ハートのロックを楽しみ、最後まで会場が一体化し続けた。
声質、声量、リズム感、音程、歌の表現力とも見事だと感嘆した。 ソプラノ、テナーが少なく、アルトかメゾソプラノ、バスかバリトンだった。それが、高齢による傾向なのか、たまたま、このメンバーがそのような構成になったのかは分からない。
姿を見ずに声だけを聴けば、50代と間違えるほどで、音楽的に素晴らしい。
姿勢や体型で、猫背の人が多く、年齢を感じさせた。それよりも年齢を決定的に教えたのは歩き方で、すり足に近い人がたくさんいた。
公営住宅に住む平均年齢80歳の、音楽教育を受けていない高齢者が、歌い慣れていないロックやR&Bを、見事に歌うことができることを示したこのグループの存在は、高年齢になっても、新しいことに取り組むことができることを教えてくれた。
年齢とともに記憶力が著しく低下するという事実の中で、暗譜で2時間歌ったということは、それに対処する方法があることを教えてくれた。
公演を鑑賞し、会場で購入したDVDを見て、このメンバーの多くが、人生を肯定しエンジョイしていることを知り、ユーモアと活気あるこのメンバーの生き方を素晴らしいと思った。
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