【お知らせ】
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コニー・ウィリス『航路』、全国書店で発売中(大森望訳/
ソニー・マガジンズ/上下各1800円
→オンライン書店で購入:
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『航路』ネタバレ感想・議論用掲示板を設置しました。あんなことやこんなことを心おきなく語りたい人はどうぞ。
【12月11日(木)】
ディプトリーおたくには伝説の本だった
メアリー・H・ブラッドリー『ジャングルの国のアリス』(宮坂 宏美訳/未知谷 \1,600)がなんと翻訳で登場。ティプトリー母が6歳の娘アリスを連れてアフリカを旅した探検記で、アリスが描いた絵も一部収録。主人公はアリス・ブラッドリー、のちのジェイムズ・ティプトリー・ジュニアなので、SFの人はマストバイのアイテムでしょう。しかしなぜかamazonでは扱ってない模様。このへんをすばやく仕入れるのがbk1の強味か。
すっかり元気になったトキオが明日退院なので、最後の夜遊びチャンスってことで、馬場でひさしぶりに朝までカラオケ。さかえ通りの奥にできた、夜中までやってる和風創作イタリアンの店
《井戸坊》に初めて入ったんだけど、穴蔵風のつくりで値段も安く、かなりいい感じ。打ち上げ宴会とかに最適。しかしこんな店がここにあっても……。
【12月13日(金)】
映画秘宝のベストテンを滑り込み送稿。今年はドンパチ(弓矢含む)系のセレクションでこんな感じでした。
1 ブラックホーク・ダウン
2 ロード・オブ・ザ・リング
3 サイン
4 実録・安藤昇侠道伝 烈火
5 トリプルX
6 ゴースト・オブ・マーズ
7 バイオハザード
8 WXIII 機動警察パトレイバー
9 刑務所の中
10 ジョンQ
W杯イヤーの記念に「少林サッカー」入れたいところだけど、「オフサイドがないフットボールはゲームとしていかにつまらないか」を確認しただけだったからなあ。韓国でつくればもうちょっとサッカーらしくなったかも。
表参道のカフェ《LOTUS》でアウルズ・エージェンシーの忘年会。ユニ時代の下野誠一郎氏とは面識があるものの、アウルズになってからは全然つきあいがないんですが、別ルートから呼ばれたので見学に参加。大混雑だったものの、扶桑社・金子/富田、東京創元社・小浜、小山正など各氏が奥のテーブルに陣どってたのでそこに混ざって楽ちん。しかししゃべるのに声を張り上げなきゃいけないのでちょっとたいへん。
パーティは出版社系と映画会社系が入り乱れ、非常に不思議な感じ。上のフロアに徳間勢や角川勢がいるかと思えば、下にはアスミック・エースとかギャガとかアルバトロスとかの人々が。最近、出版社系のパーティではめったに名刺交換しないんだけど、今日ばかりは山ほど名刺をもらいました。
9時ぐらいに着いてから午前1時半まで会場で過ごし、それから新潮社組&『航路』組(ってソニマガM山嬢とデザイナーの大久保嬢)でラーメン食べて、さあ帰ろうと思ったら全然タクシーがつかまらない。結局アスミックの人が捕まえてタクシーにあとから乗っけてもらい、なんとか凍死を免れて帰宅。不況不況と言ってても12月の金曜日は例外らしい。13金なのに。
【12月14日(土)〜15日(日)】
翻訳SF短篇ファン度調査 は160作品中、半分の80本。最近のSFマガジンをまじめに読んでないのがバレバレ。やっぱり考課表に参加するなどの努力が必要かも。
一方、
翻訳SF短篇ファン度調査(98年オールタイムベスト版) のほうの50本はさすがに完読してました。オレの年代の海外SFおたくなら全部読んでてふつうでしょう。しかしディレイニーの最高傑作というか、メリルの年刊SF傑作選でも屈指の名作「スター・ピット」がこんなに読まれていないとは。いや、もう十数年品切で読めないんだけど。年刊SF傑作選復刊希望。というか、ベスト・オブ・ザ・ベストも含めてメリルのベスト版出せばいいのに。たとえばこんなの。
「闘士ケイシー」リチャード・M・マッケナ
「なんでも箱」ゼナ・ヘンダースン
「賛美歌百番」ブライアン・W・オールディス
「たんぽぽ娘」ロバート・F・ヤング
「跳躍者の時空」フリッツ・ライバー
「カシェルとの契約」ジェラルド・カーシュ
「ユダヤ鳥」 バーナード・マラムッド
「おぼえていないときもある」ウィリアム・S・バロウズ
「伝道の書にバラを」 ロジャー・ゼラズニイ
「数理飛行士」ノーマン・ケーガン
「オートマチックの虎」キット・リード
「旅人の憩い」ディヴィッド・I・マッスン
「コーラルDの雲の彫刻師」J・G・バラード
「去りにし日々の光」ボブ・ショウ
「冬の蠅」フリッツ・ライバー
「スター・ピット」サミュエル・R・ディレーニー
オールタイムベスト短編なのにいま読めない(あまり読まれていない)短編でアンソロジーをつくる手もあるな。20位以下からざっと選ぶとこんな感じ。
23 「フェンデッセンの宇宙」エドモンド・ハミルトン 18 56.3%
27 「ジョナサンと宇宙くじら」ロバート・F・ヤング 17 53.1%
27 「タンゴ・チャーリーとフォックストロット・ロミオ」ジョン・ヴァーリイ 17 53.1%
27 「無常の月」ラリイ・ニーヴン 17 53.1%
33 「無伴奏ソナタ」オースン・スコット・カード 16 50.0%
33 「伝道の書に捧げる薔薇」ロジャー・ゼラズニイ 16 50.0%
37 「スロー・バード」イアン・ワトスン 15 46.9%
37 「鏖戦」グレッグ・ベア 15 46.9%
43 「サンドキングズ」ジョージ・R・R・マーティン 14 43.8%
43 「死の鳥」ハーラン・エリスン 14 43.8%
46 「去りにし日々の光」ボブ・ショウ 13 40.6%
48 「時の声」J・G・バラード 10 31.3%
49 「サンディエゴ・ライトフット・スー」トム・リーミイ 9 28.1%
50 「スター・ピット」サミュエル・R・ディレイニー 8 25.0%
MONDO21の「侵略放送ヴァンドレッド」流しながらネットサーフしてたらアルバトロス叶井氏が登場。「キラー・コンドーム」のコンドーム型プレスキットとか、過去の労作の数々を披露してて爆笑。大評判の自伝、
『ビッグヒットは五感でつかめ!―何があってもめげない仕事術 「10年後なんて考えられない」という君へ』も買わなきゃ。M山嬢が持ってたのをちょっと見せてもらったけど傑作の予感(笑)。
【12月16日(月)】
キネ旬のベストテンが今日締切なので、新宿文化シネマ3まで『阿弥陀堂だより』を見にいく。この小屋は設計が間違ってるのでは。片側にしか通路がないし、スクリーン側にしか入口がないので、遅れてやってくる客がいると落ち着いて映画が観られません。映画はあまりにストレートな田舎暮らし礼賛もの。北林谷栄を見にいったようなもんだからべつにいいんだけど、田舎に住んでると映画は観られません。amazonでDVD買うからいいのか。オレの許容限度は『白い犬とワルツを』までかな。
というわけでベストテン投票は以下の通り。
●日本映画ベストテン
1 実録・安藤昇侠道伝 烈火
2 たそがれ清兵衛
3 DEAD OR ALIVE FINAL
4 WXIII 機動警察パトレイバー
5 刑務所の中
6 とらばいゆ
7 突入せよ!『あさま山荘』事件
8 仄暗い水の底から
9 AIKI
10 白い犬とワルツを
●外国映画ベストテン
1 ブラックホーク・ダウン
2 ロード・オブ・ザ・リング
3 サイン
4 ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
5 カンダハール
6 トリプルX
7 活きる
8 ザ・リング
9 ゴースト・オブ・マーズ
10 バイオハザード
●外国映画監督賞
ピーター・ジャクスン
●日本映画個人賞
監督賞 三池崇史
脚本賞 とり・みき
主演女優賞 宮崎あおい(「害虫」「パコダテ人」「富江 最終章 禁断の果実」)
助演女優賞 北林谷栄(「阿弥陀堂だより」)
主演男優賞 真田広之(「助太刀屋助六」「たそがれ清兵衛」)
助演男優賞 美木良介(「荒ぶる魂たち」「新・仁義の墓場」「実録・安藤昇侠道伝 烈火」)
新人女優賞 市川実日子(「とらばいゆ」)
新人男優賞 長瀬智也(「ソウル」)
SFオンラインが休刊になったので、SF/ファンタジー映画ベストテンも勝手に選出。分母はキネ旬レギュレーションに従い(02年の一般公開作で、一週間以上興行した映画に限る)、純粋なホラーははずしました。
1 ロード・オブ・ザ・リング
2 サイン
3 WXIII 機動警察パトレイバー
4 DEAD OR ALIVE FINAL
5 ゴースト・オブ・マーズ
6 バイオハザード
7 マイノリティ・リポート
8 リターナー
9 ドッグ・スター
10 クィーン&ウォリアー
次 タイム・リセット 運命からの逃走
書くのを忘れてましたが、角川NEXTの3冊がすでに発売中。内容については
11月7日の日記参照。
●深見真『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』→
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bk1
●谷川哀『リベンジ・ゲーム』→
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●川上亮『ラヴ☆アタック!』→
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bk1
あとは恩田陸の時間SF『ねじの回転』(
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bk1)とか福井晴敏『終戦のローレライ』(
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bk1)とか。
『ねじの回転』はふつうに分類すると歴史改変ものなんだけど、改変しない(本来の歴史にもどして修復する)ことが目的。時間SFとしては新機軸なんですが、非常に謎めいた方法でタイムパラドックスが棚上げにされているので疑問は残る。
『終戦のローレライ』は、上巻読みながら『ソリトンの悪魔』のアレを思い出してたんだけど、下巻になって印象が一変。これって福井版ガンダムかも。不正規部隊が乗り組む《伊507》がホワイトベースで、ニュータイプの搭乗する秘密兵器がガンダムね。折笠征人がアムロ・レイでパウラがララァ――というのは半分冗談にしても、ガンダムおやじ感涙の冒険小説であることはまちがいない。
海戦シーンは抜群の迫力だし、この破天荒な話をリアルに成立させるための手続きもよく考えられているが、登場人物たちの長すぎる演説まで含めて、富野由悠季の呪縛を感じる。でも小説の場合、地の文では歴史や日本を語らないほうがよかったのでは。浅倉がタイムトラベラーだったという設定なら(物語的には)まだ納得できたかもしれないが……。
エピローグも、やりたい気持ちはわかるけど、中年読者にはちょっとナマすぎる感じ。まあそうした欠点を考慮しても、今年の日本ミステリ/SFのベスト5には数えられるレベル。100億ぐらいかけて実写で映画化してほしい。