地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議ヒアリング 97年10月27日
意 見
弁護士 小島延夫(日弁連地球温暖化問題COP3対策実行委員会)
1 地球温暖化は、きわめて深刻な影響をもたらす重大な人権問題である。
水没、生態系の崩壊、食糧生産の危機、先住民の生存の危機
しかも不可逆的である。 → 抜本的かつ多様な対策が必要
2 対策1 エネルギー転換部門と民生・産業部門
1)火力発電のエネルギー効率の改善(図1参照)と天然ガスへの燃料転換を(天然ガスから排出されるCO2は、石炭の半分、石油の3分の2) それをすすめるためには、
@ 炭素エネルギー税の導入
A 発電と配送電の分離、電力買取の義務づけ、託送の自由化などの規制緩和措置を
2)風力・太陽光などの大幅導入を そのためには
適正な価格で電気を買取ることの義務づけを(ドイツ・デンマークでは導入前は日本とほぼ同水準だったが、その後数十倍から100倍以上に 図2参照)
3)エネルギー消費の大幅削減を
@ 産業分野における総量規制と排出権売買を
A 中小事業者や業務分野での報告・指導型措置を
B 新築建物・電気製品における規制強化と販売・使用促進策・ラベルリングの拡充を
C 既存建築物や自動販売機に対する規制義務付けを
3 対策2 運輸部門
1)自動車中心から鉄道中心への転換を
現状 自動車からのCO2排出量と他の対比(図4・5) 公共投資の著しい偏重(図6)
ヨーロッパでの対策 道路特定財源制度の廃止 道路と鉄道の整備の投資額を同額(ドイツ) 貨物専用線(オランダ) 都市中心部への乗入規制 LRT(路面電車)の活用
日本で可能な対策
@ 道路特定財源制度の廃止・道路建設の抑制
A 自動車交通総量の抑制 事業所ごとの規制 都市中央部への乗入規制・課徴金制度など
B LRT(路面電車)の建設
C バス走行の改善
D 自転車交通の促進・歩道の整備
E 貨物輸送基地に利用可能な都市内操車場などの売却停止
F 都市部迂回貨物線や大規模な退避線の建設
G 内航海運への接続線の建設
H 大規模な貨物新線の建設
I 都市内地下物流システムの構築 貨物地下鉄
2)自動車からのCO2排出量の削減にむけた規制と誘導が必要
@ メーカー平均燃費規制の実施
A 低排出自動車の販売義務規制
B 自動車取得税・自動車重量税・自動車税の税率の燃費比
C ガソリンや軽油への効率の経済的負荷の維持と増加
4 対策3 地球温暖化防止法の制定を
1)地球温暖化対策の環境担当省庁への権限統合と参加・公開型意思決定
2)温暖化防止行動計画を法定計画に
3)実施にあたっての情報公開と参加のシステムの確立を
4)地方公共団体とNGOの位置づけ強化を