SHOH's LIVE REPORTS

The Wildhearts (Oct 10,1995 at Shinjuku Liquid Room,Tokyo)


う、なんと形容していいかわからないくらい、「最高」 で、「万歳」 だった!

元 QUIREBOYS のジンジャー率いる THE WiLDHEARTS の初来日公演。クワイアーのときは、スパイクばっかり目立ってた(私がそっちしか見てなかった?)のだけれど、きょう改めて見て、ジンジャーの存在感にびっくりしてしまった。

生姜ショウガと書かれた白いTシャツは、首元がよれよれのおやじシャツみたいだし、髪の毛も短くてもしゃもしゃしていて、頭のてっぺんに貼りついているみたいだし、MCの声はけっこう高くて間が抜けた感じだし……およそ、かっこいいとは言えないパーツばかりなんだけど、これがステージで動き出すと、もう信じられないくらいかっこいいんだっ!

声だって、どっちかというとおじさんのしゃがれ声みたいで、特にセクシーとかいうのでもないと思ってたんだけれど、生で聴くと時々じーんとしてしまうとこもあったりして、訴求力がすごい。

でもって、コーラスがめちゃくちゃ決まる! 両側のふたりがきちんとマイクに向かって、アルバム通りに声を出してくれるから、厚みが半端じゃない。

曲が素晴らしいのは当然なんだけど、アルバム聴いてるときは、正直言って 「なんでもかんでも取り込み過ぎで、いまいち焦点が定まらないんじゃないの?」 なんて思ってた私。ところがどっこい、ずぼーんと大きな芯がちゃんと通っていたのんだなあ。

ヘヴィーでタイトなドラムとベースに2本のギターが気持ちよくのって、それでいて変に湿っぽいソロなんかは一切なし。歌だって、お世辞にもうまいとか魅力的な声とは言えないのだけれど、のせるのせる。とにかく曲が始まると、なにもかも忘れて首を振り、跳ねまくり、一緒に歌い、叫び、腕を振り上げてしまう。すべてが自然、作り物なし。

曲間のMCもほとんどなくて(ジンジャーが 「サイコウ!」 とか 「アリガトウゴザイマス」 などと丁寧に挨拶するくらい)、次から次へと休む間もなく曲が繰り出され、スローなバラードで休憩タイムなどという常套手段もなし。最初から最後まで突っ走りぱなしの1時間半だった。

曲はどちらかというとハードロックというよりパンクなんだけど、パンクと言い切ってしまうには、あまりにも演奏がうま過ぎる。ギターバンドと言ってもいいんだけど、ここまでヘヴィーだと、いわゆるギターバンドファンには荷が重いかも。

とはいうものの、このへんのクロスオーバーさを如実に表して、客層はじつにバラバラ。メタルTシャツを着た人は少なくて、長髪も少なめ。ライブ中のノリも、ヘッドバンギングというよりはジャンプがメイン。メンバーが出てくる前からステージ前に詰めかけていた客は、最初から最後までうごめき続けて、ローリングする奴(中にはスカートの女の子も!)数知れず。終わってから見たら、怪我をしてる人もいたみたい。

まあ、どのライブに行っても、前のほうには暴れたい人たちが押し寄せるものなんだけど、その後ろには微動だにしない人の層ができるのも普通だと思うんですね。きょうは、その動かない層というのがほとんどない、ごくごく珍しいライブだったと思う。一応、前のほうの暴れゾーンとは距離を置いているんだけど、後ろは後ろなりにぴょんぴょん跳ぶし、一緒に歌うし、ちゃんとタイミングを合わせて叫ぶし……。なんだか感動してしまいました。

スローな曲でクールダウンすることなんかいっさいなしで、突っ走りっぱなしの1時間半。見ている間じゅう、心の中で 「最高!」 って叫び続けていた私です。バンドに対する思い入れなどがいっさいなくて見て、これほど満足できたライブは今年初めてかもしれない。1回しかチケットとらなかったとこを大後悔した夜だった。

1.S.I.N.
2.I WANNA GO WHERE THE PEOPLE GO
3.GREETINGS FROM SHITSVILLE
4.NITA NITRO
5.EVERLONE
6.CAPRICE
7.WOAH SHIT, YOU GOT THROUGH
8.DO THE CHANNEL BOP
9.THE MILES AWAY GIRL
10.SUCKERPUNCH
11.TV TAN
12.LOVE U TIL I DON'T
-ENCORE-
13.WEEKEND
14.MY BABY IS A HEADFUCK
15.GETTING IT

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