SHOH's LIVE REPORTS

Slayer with United (April 8,1995 at Shibuya Kokaido, Tokyo)


NITEDは前から評判だけは聞いていて、興味があったんですが、第一印象は「あ、尊師!」。日本人が髪と髭を伸ばすと、みんな似たようなタイプになっちゃうみたいですね。

でも、あのヴォーカルの人は声がいい。厚みもあるし、シャウトしているときの声と、歌っているときの声と全然違うんだけど、どっちもいいと思っちゃった。ただし、MCのときは妙に可愛くて、雰囲気がヘン。

前座のつくライブって、あまり見たことがないので比較のしようもないのですが、「おまけ」というにはもったいないくらい、いい演奏でしたね。ステージングも堂に入っていて、客をのせる技も持っている。

可哀そうだったのは、やはり前座の宿命で、照明やら音響やらのテストに使われているから、とんでもないところで赤や緑の光が降ってくるし、ヴォーカルがあらたまって感謝の言葉を述べている最中にピンスポットが消えちゃうし、音のバランスもあまりよくなかったです。特に残念だったのが、ギターの音がよく聞こえなかったこと。曲の途中で「おっ」と思わせる展開でギターソロに入ることが何回かあったんだけど、その都度肝心のギターが聞こえなくてイライラしちゃいました。

このままSLAYERも同様だったらやだなあ、と心配していたんだけど、さすがにそんなことはなくて、ツインギター、ぎんぎんでしたね。

ケリー・キングの頭って、ただツルツルしてるだけかと思ってたら、後ろに髪を束ねて縛ってるような刺青がしてあって、とってもお茶目。赤いライトが頭上から当たってるときなんて、「やさしい赤鬼さん」みたいでほのぼのしちゃいました。

それにしても音の厚みが圧倒的でした。特にアンコールのいちばん最後の曲。なんか、いろんな音の集合体が頭の上からばりばり降ってきて体中を叩きまくっているような、そんな衝撃。

ライティングはほんとにすごかった! ただ、ちょっと感じたのは、トムのMCの雰囲気や彼らの音楽性から考えると少しお洒落過ぎるんじゃないかなあ、ってこと。特にアンコールで、暗いステージに紫と青の光が交錯する中にファンの拍手とSLAYERコールが響いて、やがて暗やみの中から音が聞こえてくるという演出などは、ちょっとやりすぎなんじゃないかと思ってしまいました。素晴らしいことは素晴らしい んですが、SLAYERというバンドのカラーと合わないような……あの人たちだったら、なんにもないステージにただ楽器を持って出てくるだけのほうが、ずっとかっこいいんじゃないかなあ。

それにしても、トムって本当に丁寧な人ですね。最後にプロモーターやらスタッフやら観客やらにいちいちお礼の言葉を述べるところなんて、「ほんとにここはメタルのライブ会場?」って思っちゃった。


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