SHOH's LIVE REPORTS

Train Station ( September 11, 2000, The Roxy, Hollywood, CA )



GREAT WHITE のギタリスト、マーク・ケンドールが結成した新バンド TRAIN STATION がバンドとして初めてのライヴをサンセット通りの THE ROXY で行ったので見てきました。


シンガーの Todd Griffin とベーシストの Frank McCalan は GRAVEYARD TRAIN で10年一緒にプレイしてきたという仲、キーボードの Dicky Sims はエリック・クラプトンの10枚のアルバムに参加し、ツアーにも同行していたベテラン、ドラマーの Pride Hutchinson は SLASH'S SNAKE PIT のシンガー Steve Pryor のアルバムに参加しています。


彼らはすでにアルバムのためのデモを完成しており、現在契約を探しているところです。この日のショウもレコード会社へのデモンストレーションのためのものでした。告知もつい2週間くらい前にされたくらいですので、この日会場に集まったのは関係者とインターネットで彼や GREAT WHITE のサイトを見ているファンくらいだったのではないでしょうか。


5バンド出る中で彼らの出番は2番目。8時すぎの開演で最初のバンド(女性ヴォーカルで HOLE をおとなしくしたような感じ)が終わって30分くらいの入れ替えがあり、9時ちょっとすぎに始まりました。THE ROXY は東京でいったら渋谷のクアトロくらいの広さで、ステージ前がスタンディングフロアになっており、その回りを一段高くなったテーブル席が囲むような形になっています。最初のバンドのときはフロアにはほとんど人がいなかったのですが、TRAIN STATION が登場するとたちまちフロアに人がたくさん降りてきました。


注目の音は、まさにブルーズロック。とはいっても渋すぎるというほどではなくて、適度なロック色が加味されていて、自然に身体が揺れて踊ってしまうような音です。トッドの声はジャックとはまったく違う、ちょっとかすれ気味の乾いた声なので、ひそかに危惧していた物足りなさは感じませんでした。そのへんはマークも考えてのことでしょうね。それでもやはりギターの音はマー ク・ケンドールそのもの。どうしても GREAT WHITE を思い出してしまいました。特にマークとトッドが1本のマイクで顔を寄せ会って歌うところなど、見ていて寂しい気持ちは否めませんでした。


トッドは曲によってはギターを弾きながら歌い、これが音に厚みを加えています。ステージパフォーマンスもけっこう派手で楽しませてくれるのですが、ステージが狭いので、たまに他のメンバーにぶつかったりしていました。THE WHO が好きなのか、マイクをぶんぶん振り回したり、MCのときにわざとどもるような話し方をしていました。


たったの7曲、30分強のライヴでしたが、オーディエンスの反応もよく、これからを期待させるいい内容でした。会場にはレコード会社の人たちも何人かきていたはずで、これをきっかけに契約がまとまればいいなと思います。


しかし、今回、2年ぶりにアメリカに行き、MTVを見たのですが、いわゆる大人のロックというものがほとんど消えてしまっているのにはショックを受けました。これでは GREAT WHITE や DEF LEPPARD が苦戦するわけです。若者向けの音楽を否定するわけではありませんが、どちらか一方だけがメインストリームになっているという状態はあまり健康的とは思えません。TRAIN STATION などはさらに大人向けの音楽だけに、これからも苦労はたえないでしょうが、なんとかがんばってほしいものです。


会場には今年の GREAT WHITE のヨーロッパ・ツアーでサポート・ギタリストを務めたマット・ジョンソン(ジャックのソロに参加していた)と、いま現在の GREAT WHITE のサポート・ギタリストであるタイ・ロングリーが来ていて、ショウのあとマークと談笑しているのが、なにやら不思議な光景でした。



1. Rock The House
2. Daddy's Got It
3. Must Be The Weather
4. Angels
5. White Lightning
6. Every Little Wonder
7. Devil On Fire





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