SHOH's LIVE REPORTS

Thin Lizzy (Nov 18,1994 at Lilia Main Hall, Kawaguchi)


う夢の中にいるんじゃないかと思った。THIN LIZZYのメンバーとしては、一生会えないと思っていたスコットが、すぐそこでギターを弾いているなんて・・・。

彼は全然変わってなかった。

21 GUNS のプロモーションで来日した頃は、わりと短めで段のついたスタイルだったけど、いまではかなり伸びて、多少段が残ってはいるものの、かつてのティモテ・ヘアを思わせるストレート・ロングにもどっていました。

でもってそれを左右に激しく振りながらステージ前方に出てきたときには、私はほんとに息が止まるかと思ったぞ。

あの独特の苦しそうな、それでいて美しい表情を見せながらソロを弾く姿。

「SUICIDE」のときは、ステージ前を動きまわってのソロ弾きまくりで、ものすごいはりきりよう。

そうなんだ。今回のライブでは、メンバー全員がほんとうに楽しそうで、それが見ていてすごく気持ちよかった。

そのせいかもしれないけど、スコットは昔よりギターが上手になったような気がしてしまった。

服装はTHIN LIZZYのころに比べるとかなりラフ。黒とグレーの横縞のヘンリーネックTシャツ(長袖)に黒のスリムジーンズ。前身頃が黒で背中が白のサテンになったベスト。薄茶のスエード・ブーツ。

サイクシーは、袖を切った赤と紺のチェックシャツに褪せたブルージーンズという、これまた飾らない服装。ゴージャスな髪は相変わらずで、むちむちの腕もそのまんま。

実はねえ、今回私はすっごく不安だったんですよ。だって、フィルが歌わないTHIN LIZZYの曲を聴いて、果たしてシラケないでいられるかどうか、自分でも自信がなかったんだもの。

しかし、杞憂でした。

サイクシーはよくやった!

こんなこと言ったらなんだけど、はっきり言ってBLUE MURDERの曲よりうまかったです、ヴォーカル。ときどき出ない声もあるけれど、うまくアレンジしてあるし、「COWBOY SONG」で低い声が出なかったときは、照れちゃって例の「鼻をピン」とするジェスチャーを見せてくれました。

「ANGEL OF DEATH」では、語りの部分でマイクに何かをつけて声を変えたもので、まるでフィルがいるのかと思うほど。

相変わらずのシールドをさばきながらのギターも最高! 「STILL IN LOVE WITH YOU」や「BLACK ROSE」でのギターソロなんてもう鳥肌が立つかと思いました。

「EMERALD」では、ふたりがモニターの上に乗って、ツインギターを聴かせてくれるし。もう死んでもいいと思っちゃった(でも、25日までは死にたくないな)。

そうそう、今回の選曲を聴いて、サイクシーを見直しちゃった私です。おとなだなあ。

ブライアンは、すっかり髪短くしちゃって、サングラスかけてたので、変わってるのかいないのか、いまいちわからなかったなあ。ドラミングは全然変わってなかったです。タイトで切れがよくて、私が大、大、大好きなドラマーなんだけど、「BAD REPUTATION」でのドラムソロがすごく短かったのが不満といえば不満。

そういえば、きょうはソロと言えるものは誰もやらなかった。でも、それがいかにも「まとまったバンド」、という感じでかえってよかったと思う。

ダーレンは、テレンとしたプリントのシャツを着て、ずっとにこにこしたままキーボード弾いていました。時々、スコットが後ろに向かっていくときに、ふたりで何か言い合って笑ったりして、ほんとに楽しそう。

そういえば、サイクシーとスコットが背中をつけて頭を寄せ、一緒にギターを弾く姿もようやく生で見られました。その姿勢でサイクシーがなにかスコットに耳打ちする姿も「いとをかし」。

マルコは、ひとりだけTHIN LIZZYのツアーTシャツを着て、相変わらず怪しげに腰を振っていましたが、きっちりベースラインをキープしていて、うるさすぎることもなく、「職人」という感じで好感がもてました。

販売されていたグッズは、半袖Tシャツが3種類、長袖Tシャツが1種類。それにキャップとバッジです。

しかし、いくら川口とはいえ、1階が3分の2くらいまでしか埋まっていなかったのはすごく悲しかった。

客の反応はものすごくよかったから、メンバーはみんな満足そうではあったけれど、やっぱり初日は大入り満員で迎えてあげたかったよー。

あ、そうだ。でねえ、アンコールの最初、出てきたサイクシーが「WHAT DO YOU WANNA HEAR? 」と聴くので、みんなでリクエストしよーねえ。間違っても「イエー!」なんて間抜けな返事をしないようにね・・・。


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