SHOH's LIVE REPORTS

Sting (June 17,1995 at Yokohama Arena, Kanagawa)


好調の初日を終え、さて2日目はいかに……期待と不安で出かけた横浜アリーナでしたが、結論から言ってしまうと、きのうを上回る調子のよさでした。

きのうはちょっと不安を感じさせた1曲目も難なくクリア。どの曲でも思い切り叫び、歌い、弾く彼の姿は、きのう買ってかえったライブビデオで見た、POLICE時代の彼とほとんど変わっていないように見えました。←いやいや、歌はずっとうまくなってますけど

ドミニク君も御機嫌で、きのうはやらなかったピック投げをけっこうやってました。端っこのほうに来てギターソロを弾くときも、きのうはわりとクールに弾くとすぐに客席も見ずに引っ込む感じだったのに、きょうはちゃんとこっちを見て笑ってくれたりしてたし。

圧巻は「WHEN THE WORLD IS RUNNING DOWN」でのインプロビゼーション部分。いやもう長い、長い。きのうと同じくらいかと思って拍手するタイミングを待っていたのに、いつまでたってもケニーのキーボードソロが終わらない。おまけにそのあともドラムが、ギターが、ベースが次々に乱入して、なんというかもう狂乱のセッションという趣きでありました。

きのうもきょうも、ドラマー以外の3人は同じ衣装。スティングは襟のついた袖なしのシャツ。薄いブルーで、背中におリボン(!)がついている。下はだぼだぼっとしたグレーのパンツ。きのう一緒の人たちと話していたんですが、彼の場合、体を鍛えて腕が太くなり過ぎているから、袖のあるシャツだと動きにくいんじゃないかなあ。

ドミニクは、きのうも書いたよれよれっとした白のオヤジTシャツで、黒に黄色と赤と紺の水玉の入ったパンツ(なんとも言えない趣味ですな)に編み上げブーツ。このブーツをきのうは両方ともパンツの上にぐずぐずに出していたんですが、きょうは左足はパンツの中、右足は外に出すというかっこ。あれは絶対おしゃれなんかじゃなくて、たまたま足を突っ込んだらそうなっちゃった、という感じだな。ほんとにギター以外のことには気が回らない子なのね。

キーボードは、黒いスーツにサングラスで、ひとり決めている。ドラマーは紺のタンクトップに紺のパンツで、相変わらずのお掃除かぶり。この人、アンコール前にみんなが袖に引っ込むときにも、ドラムセットを直したり、座ってるところの座布団みたいなのを敷き直したりして、なかなか奥に引っ込まない。意外に神経質で、人に任せられないところがあるのかしら?

セット・リストはきのうと同じ。多分ずっとこれでいくんじゃないかなあ。スティングの場合、ステージングが完成されていて、あまり日替わりで曲を変えるメリットがないような気もするから。ライティングなんかも、曲に合わせてぴったりのタイミングにしてあるし。

このライティングが、実に美しいんですよねえ。セット自体はすごくシンプルで、ライブの雰囲気はほとんどライティングで作り上げてるといっても過言ではないくらい。色とりどりのスポットライトが何本も使われたり、バックにステンドグラスや花火みたいな模様が描かれたりと、ほんとうにきれい。特に「WALKING ON THE MOON」 で、真っ暗なバックに紫色の花火みたいなのが描き出される幻想的なライティングは、 とっても気に入ってしまいました。

アンコール以降の演出は、前回と同じ感じ。薄い布にドレープを寄せたものがバックにかかっていて、それが内側からの風でふわふわと揺れます。これが最後の「FRAGILE」 で真っ暗な中に豆電球がいっぱいついて星空のようになり、曲の最後で布が一気に落とされる、というもの。このあたりは、何度見てもうっとりして、はっと息を飲んでしまいます。

あ、でも、最後の曲は前回と同じ「STING ひとりアコースティックFRAGILE」 かと思っていたら、なんとドミニク君がベースを弾いて(弾き方がスティングそっくりという声あり)、スティングがエレキギターを弾き、ちゃんとドラムもキーボードも入ったフルセットでした。スティングが弾くギターの音って好きだなあ。

で、最後に全員がステージ前に出てきて御挨拶するんですが、きょうはスティング、こっちの端に来たときに、誰かが投げた薔薇の花1輪を拾うと、カルメンみたいに口にくわえて挨拶していました。おまけに、ドミニク君をステージの外に押し出すようなことをしてふざけるし、なんかもう、うれしくてうれしくて仕方がないやんちゃ坊主状態だったみたい。

向こうの端で誰かが渡していた花束が、ひまわりとかの黄色い花ばかりでまとめてあって、すっごくお洒落でした。スティングにもぴったりだし、いいアイディアだなあ、と感心しちゃった。←中におもちゃの蜂なんかがいたらもっとお洒落?


1995 I INDEX I Sの目次へ