SHOH's LIVE REPORTS

Sting (June 16,1995 at Budokan,Tokyo)


年の悪夢がいまだ脳裏から消え去っていなかったもので、1曲目で声がかすれて高い部分をフェイクしたときは、「げ、またか」と思ったのですが、なんのなんの、STINGの底力を見損なっていましたわ。

はっきり言って、きょうの彼は絶好調でした。あんなに声が出て、のびのびと歌えたことって、ここ何年もなかったんじゃなかしら。←少なくとも日本でのライブでは

だから、ファンはもちろんうれしかったんだけど、誰よりも喜んでいたのは、ほかならぬSTING 自身で、言葉が通じない(と思ってるんだろうなあ)日本のファンが相手なのでMCはほとんどなかったにも関わらず、曲が終わるたびごとに、実にうれしそうに「どうも、ありがとうっ!」と日本語で挨拶する姿が、喜びにあふれていたのでした。

真骨頂を見せたのが「ROXANNE」。 「あの曲は、いまの彼には無理な声域なんだから、もうライブではやらなければいいのに」と、恐れを知らぬ発言をライブ前にしていた私ですが、きょうの歌を聴いて、「おそれいりました〜m(__)m」とひれ伏してしまいました。

高音がよく出ていただけではありません。低いほうの声がすこ〜し嗄れて、裏返りそうになったときの、あの背筋が寒くなるほどの感動は、そんじょそこらの若造では絶対にできない芸当ですよねえ。

「FIELDS OF GOLD」 や「SHAPE OF MY HEART」で、身動きもできないくらいの金縛り状態になってしまい、頭真っ白、鳥肌ぼつぼつ状態で凍りついていた女が3人、アリーナの2列目にいた、という伝説がすでに囁かれています。

ギターのドミニク君は、髪を少し短く切ってパーマをかけ、相変わらずほっそりとして少年みたいでした。しかし、あの白いオヤヂTシャツはやめてほしいなあ。ドラマーも前回と同じ。黒づくめで髪をバンダナで包んだおばさんスタイルも変わらず。キーボードは、デビッド・サンシャス君ではなくて、ケニー・カークランド氏。←確か、NOTHING LIKE THE SUN TOUR のときに来た人じゃないかしら?

全体の構成は、前回とあまり変わり映えはしてませんでしたが、これだけ最高のコンディションで聴けたので、ほんとうに行ってよかったです。まさに至福の時でした。


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