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会場はフランスの南のほう、モンペリエの郊外にある6500人収容のアリーナでした。道に貼ってあったポスターに8時開演と書いてあったので、とりあえず6時45分頃に行ってみたのですが、会場の外にはすでにいくつもの列が出来ていました。まわりに何もないポツンと立った会場で、入口前の広場のまわりは林に囲まれ、灯りもほとんどないような感じで、とても寂しい感じがしました。
でも、並んでいる人達の気合は充分。年齢層はほんとうに幅広くて、ティーンエイジャーから50代、60代までといった感じ。いちばん多いのはやはり STING と近い30〜40代でしょうか。
日本からFAXを送って予約してあったチケットはちゃんと用意されていたのですが、どこをどう見ても席番号がない。あちゃあ、スタンディングのチケットにされちゃったかと思いながら、開場と同時に中に入っていったのですが、どうやら椅子席もすべて自由席みたい。だから、あんなにたくさんの人が並んでいたのかも。
ほとんどの人がカップルかグループかで来ている中、ひとりの私はラッキーなことにステージ正面の椅子席の最前列の端っこに空いている席をみつけました。心配で周囲の人に「ここ、自由席ですよね? 空いてますよね?」と聞きまくって、ようやく安住の地を確保。うん、これならものすごくよく見える。ステージの前の空間はスタンディングのスペースになっていて、それを丸くとり囲むように椅子席が階段状に設置されています。まあ、スタンディング以外はどこで見ても見やすいかも。
席を確保したので安心してマーチャンのチェックと食料の確保に向かいます。Tシャツはジャケ柄のとかいくつかあったのですが、多分着ないだろうからパス。パンフだけ買いました。が、このパンフ、日本円にして2000円近くしました。高すぎる〜っ!
トマトとモッツアレラ・チーズ、バジルのパニーニはちゃんとその場で焼いてくれます。これにビールを買って席に戻り、腹ごしらえをしながら開演を待ちました。
ポスターには何も書いてなかったので前座はなしかなと思っていたら、8時になってすぐ若い女性が3人出てきて、アカペラで歌いだしました。歌詞はフランス語ですが、シャンソンではなくて、もっとフォークソングっぽい、とても味のある歌でした。3人のハーモニーがとても見事で、観客もみんなひきこまれていました。
彼女たちが8曲くらいやってひっこむと、バックの音楽は BEATLES に変わりました。
ほどなく客電が落ち、歓声が上がるとともにステージの幕がさっと落ち、ステージ上に照明があたります。STING は黒い上着に黒いパンツといつも通りの服装。で、お約束通り、2曲めにはもう上着を脱いでタンクトップ姿になり、鍛えあげたお体を見せてくれました。
編成はギター(もちろんドミニク)、キーボード、ドラム、トランペット、女性コーラス、男性コーラス、それに STING の7人。
1曲めはアルバムでも1曲めの "A THOUSAND YEARS。トランペットが効いていて、すごくすてきな幕開けでした。STING はここではギターを持っていました。
2曲めは "IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE" で、新譜を聴いていない客も盛り上げる。でも、いるのかなあ、そんな人。次の "AFTER THE RAIN HAS FALLEN" の受けようを見ても、みんな新譜を聴いて気に入ってるというのがよくわかる。私も「あれ、これって新曲だっけ、昔の曲だっけ?」と思うほど、もうどの曲も体になじんでしまっている。
"WE'LL BE TOGETHER" の次はフレンチラップを織り込んだ "PERFECT LOVE...GONE WRONG"。誰がラップの部分をやるのかな、と思っていたら白い半袖Tシャツにだぼっとしたパンツの細身の黒人ドラマーがドラム台を降りてきて、ハンドマイク片手にSTING 相手に堂々たる掛け合い。これはもうすごく受けてました。なんてったってフランス語だしねえ。フランス語といえば、STING、MCのかなりの部分をフランス語でこなしていました。私には上手なのかどうか判断はつきませんでしたが、フランスの観客にとても好印象を与えたことは確か。こういうところも外さない男だよなあ、なんてひとりで感心していた私です。
"ALL THIS TIME" の次は私の大好きな "MAD ABOUT YOU"。このときばかりは周りの景色はすべて消え、私と STING だけの世界に(=^^=)。いやでもフランスのファンもこれはお気に入りとみえて、始まったときに会場がため息で揺れました。
"SEVEN DAYS"、"FILL HER UP" とノリのいい曲がきて、お待ちかねの "FIELDS OF GOLD"。聴衆を完全に手中に収めたところで繰り出したのは"EVERY LITTLE THING SHE DOES IS MAGIC"。いやあ、これは凄かったです。何がってオーディエンスの反応が。やっぱり POLICE の頃からずーっと聴いてきたのね、というのがよくわかる大歓声。なぜかこっちの観客は熱狂すると足踏みをする習慣らしく、会場の床が抜けるんじゃないかと思うほどのステップでした。
古い曲だけにいつもとはちょっと違ったアレンジで、STING がナット・キング・コールみたいな歌い方をしてトランペットと掛け合いをするのがすごく決まっていてかっこよかったです。
熱くなりすぎた聴衆をクールダウンさせるように、しっとりした "TOMORROW WE'LL SEE" とアルバム・タイトル曲 "BRAND NEW DAY" の新曲2曲を披露、せっかく落ち着きかけたのにまた "ENGLISHMAN IN NEWYORK" と "ROXANNE" で騒がせます(^_^)。
次に私が新譜の中でいちばん聴きたかった "DESERT ROSE"。アラブの歌姫の部分は女性コーラスがとても上手に歌ってくれましたが、残念なことにアルバムよりはかなり短めにアレンジされていました。この曲のとき、ステージのバックに赤々と燃えるかがり火のようなライティングがされて、曲の雰囲気とあいまって実に素晴らしかったです。
"WHEN THE WORLD IS RUNNING DOWN" ではいつもと同様、プレイヤー同士の火花を散らすような掛け合いが繰り広げられ、そんな中ひとりでステージの上をゆっくり歩きながらベースを弾く STING が妙にお茶目で可愛かった。
ここで本編終了。もちろん鳴り止まない拍手と足踏みでフランスの観客はアンコールを要求します。
アンコール1曲めの "IF I EVER LOOSE MY FAITH IN YOU" で、歌詞の "AND YOU" のところを "ET VOUS" に替えて歌ったらおお受け。いやあ、芸が細かい。お約束の "EVERY BREATH YOU TAKE" の大合唱でアンコール1は終わり。しばらく待っていると STING がギター1本で登場。「ああ "FRAGILE" で終わりかあ」とちょっとがっかりしかけたら、さにあらず。"MESSAGE IN A BOTTLE" でした。しかもこれが素晴らしいの一語。彼のつまびくギターだけで、彼と観客の掛け合いでそれはもう感動的な曲になったのです。フランス人はふだん英語をあまり話しませんが、こういうときは別ですね。もう全員が歌詞を知っていて一緒に歌っていて、それが曲に命と力を与えてくれたのでした。あんなに素晴らしい "MESSAGE IN A BOTTLE" を体験したのは初めてでした。
で、おおいに満足したところでバックの面々が全員登場。ドラムはなしで今度こそお約束の "FRAGILE" でした。夜空に星が光る背景や、最後に幕がさっと降りる演出は前回と同じでしたけれど、不満はありませんでした。もう100%満足できたショウでした。ほんとだったら 「あの曲をやってない」とか「この曲も聴きたかった」 となるところなんだけど、不思議と STING のライヴってそう感じさせないんですよねえ、いつも。今回も新譜からの曲を7曲もやるという大胆なセットリストでしたが、それがちっともマイナスになっていない。凄いアーティストだと再確認しました。
- A THOUSAND YEARS
- IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE
- AFTER THE RAIN HAS FALLEN
- WE'LL BE TOGETHER
- PERFECT LOVE...GONE WRONG
- ALL THIS TIME
- MAD ABOUT YOU
- SEVEN DAYS
- FILL HER UP
- FIELDS OF GOLD
- EVERY LITTLE THING SHE DOES IS MAGIC
- TOMORROW WE'LL SEE
- BRAND NEW DAY
- ENGLISHMAN IN NEWYORK
- ROXANNE
- DESERT ROSE
- WHEN THE WORLD IS RUNNING DOWN
- Encore 1 -
- IF I EVER LOOSE MY FAITH IN YOU
- EVERY BREATH YOU TAKE
- Encore 2 -
- MESSAGE IN A BOTTLE
- FRAGILE