Skunk Anansie (April 3,1997, Shinjuku Riquid Room, Tokyo)
う〜んもう、かっこいいったらないっ!
ソールドアウトだと聞いていたのに、30分前くらいに着いたリキッドルームは、珍しくエレベーターも使えて、1階入口付近にも人がたまってなくて、ひょっとしたら中止になったのではないかと心配になるくらいの閑散度。
中に入ってみても、フロアが広々として見えるほど人が入っていない。えーっ、これじゃあSKINがダイブしたら怪我しちゃうよ〜、としょーもない心配をしてしまう。なんてったってマーチャンも売っていないのだ。
やっぱり日本での認知度はまだまだなのかなあ。第一ライブの告知も地味だったし、その後のプロモーションもほとんど見なかったしなあ・・・
不安を募らせながら開演を待つ私たちなのだった。客入れの音楽には、何とRADIOHEAD なんかが使われている。でも、よく考えてみると、"CHARITY"の雰囲気なんてRADIOHEADに近いものがあるかもしれない。
そうこうしているうちに客電が落ちた。暗いステージに登場したSKINはなぜか髪があるように見える。伸ばしたのかしら? なんて思いながら見ているとライトがつき、それが毛糸の帽子であることが判明した。
上半身は腕に3本線が入ったスポーツジャンパー、THUNDER のダニーが着ていて大不評をかったジャージの上みたいだけど、SKINが着てるとめちゃくちゃかっこいい。下はあずき色のダボダボのパンツ。時々ジャンパーを持ち上げて素肌のお腹を見せるのだけど、これがもう引き締まりまくりっ! あんなにむだな肉がついていない人って初めて見たような気がする。3曲目くらいでジャンパーを脱いじゃって、赤いタンクトップ(って言わないのかなあ、お腹の部分がないから)姿になると、さらにその引き締まり具合が強調される。うー、すっごーくかっこいいぞー。パンツの下はどうやら黒のTバックみたい。
それにしても、私、SKUNK ANANSIE というバンドを全然ちがうとらえ方をしていたことに気がついた。SKINというエキセントリックなヴォーカリストの魅力でもたせているのかな、なんて思っていたのだ。そのわりにアルバムやフェニックス・フェスのライブ映像で聴いた彼女のヴォーカルが意外に線が細かったので、いまいちのめりこめないでいた。
が、が、が、実際にライブを聴いたら、このバンドってとんでもなく巧い! 曲の最初にドラムのバスドラが「どどんっ!」と叩かれるその音を聴いただけで、背筋がゾクゾクするくらい感動してしまったのだけど、ドラムの音はシンプルなのに力強くて、しかもグルーブ感がある。ベースはものすごくファンキー&ヘヴィー。ギターは、モダンかと思うと叙情的、かと思うとハード&ヘヴィーという具合に変幻自在に弾きまくる。かといってギターだけ目立ったりは絶対しない。あくまでもSKINのヴォーカルを支えるバックの演奏として成り立っている。これほどタイトでヘヴィーなバンドって、ここしばらく聴いたことがなかったような気がした。
SKINのヴォーカルも、アルバムやTVで聴いたのとは大違い。というか、私に本質を見抜く力がなかっただけだと思うけど、とにかくエモーショナルでパワフルで、声域が何オクターブあるのかと思うほど驚異的だった。
ライブ中盤でやって2SHE'S HELLOWEEN" という曲での、途中で転調して高音を張り上げる部分でのヴォーカルは、ライブだというのに完璧な出来で、鳥肌が立ってしまった。あそこまで生で歌える歌手って、ちょっといないんじゃないだろうか。もちろん、アンコールでやった"CHARITY" も最高。最後の呟くように終わる部分なんて、涙なしには聴けない。
客が少なかったので、メンバーが気を悪くしたらやだなあ、なんて心配していたが、ほんとに彼らを好きな人だけ集まったという感じの客のノリだったもので、メンバー全員すっかり御機嫌。「WE'LL BE BACK!」と言って去っていってくれたのが、なによりうれしかった。
しかし、SKINのパフォーマンスは、ビデオクリップなどで見るのと同様過激だったなあ。ギタリストの耳を舐めたり(中耳炎にならないかと心配になっちゃった)、ベーシストの肩を噛んだり、客(女性)の指を舐めたりと、期待通りの動き。途中でギターを弾いたのには意表をつかれたが、あれもかっこよかったなあ。ギターのネックをまるで恋人の腕のように抱きしめて歌う姿は、映画の1シーンみたいだった。
かなりコワモテで激しい人だと思っていたもので、MCなんかがとても女性的で可愛らしいのにもびっくり。小さな女の子が年上のお兄さんたちと楽しげに遊んでいるようで、とってもラブリー(彼女も連発してた言葉ですが)だった。
行ってよかった。もっと見たかった。また絶対に行くぞ。と思った夜だった。