SHOH's LIVE REPORTS

Rage (Oct 4,1995 at Gotanda Kani-Hoken Hall, Tokyo)


ャーマン・パワーメタルバンド、RAGEの最終公演。前回の来日はTHUNDERHEAD との激突3時間ライブで、終わって外に出てみたら大雪が降っていたという、恐ろしいものだったが、内容は最高だったので、今回も迷わずチケットをゲット。

五反田ゆーぽーとは、ほぼ満員。ひょっとしてソールドアウトだったのかな? なにしろTシャツ売場に長蛇の列で、開演時間前にスウェットパンツとウェストポーチ以外は売り切れてしまったとのアナウンス。こんなの初めて。

ステージ奥には、黒っぽい僧院のようなシルエットのバックドロップ、両脇に新譜のジャケと同じ模様とRAGEのロゴの入った衝立(?)。場内が暗転すると、正面に青いステンドグラスのような窓がライティングで浮かび上がり、雷鳴が轟く。稲妻のような光が点滅し、やがてメンバー登場。

ピーヴィーは黒い長袖のTシャツ(ほとんど無地で、胸のところに小さく文字が入っていたみたい)に黒のジーンズ。十字架のペンダントというシンプルな服装。ツアーTシャツを来ていないところに、意外な洒落っけを感じてしまったのだけれど、たまたま今日だけだったのかな(^^;)? 例のバンダナは当然額に巻かれている。少しシェイプアップしたようで、前回来日時よりもひきしまったイメージ。

新加入のギタリストはふたりとも初来日のはず。右側の彼は、ESPの文字が大きくプリントされた黒のTシャツ、左側の彼は前回のツアーTシャツ。ふたりともドイツ人にしては小柄で、ちょっと小太り。左側の彼はSKID ROWのスネイクを汚くしたような感じ。ふたりとも髪は長いけど、はっきり言ってダサイ。まだまだステージ慣れしていないせいで、あか抜けていないのでしょうね。

ドラマーは豪華な胸毛をみぜびらかすように上半身裸で、下は(最後に前に出てきたときに判明したのだが)紫色に白のラインが入った、サテンのボクサーパンツという、場をわきまえない服装。でも、彼のドラミングはものすごくパワフルで気持ちいい! RAGEの魅力って、このパワフルなドラムに疾走感のあるギター、それにピーヴィーの下手うまヴォーカルだと思うんだけど、特にドラムはバンドの要(かなめ)かなあと思う。

初めのうちは、少しピーヴィーの声が出にくそうで、全体のバランスもしっくりこなかったのだけれど、3曲目あたりからは本来のRAGEらしい疾走感あふれる演奏が立て続けに繰り出された。

さらに今回感心したのが、曲構成。緩急をうまくおり混ぜ、つなぎもスムーズ。客をだれさせない努力が感じられた。アコースティックのギターソロ(わりと下手)かと思わせていて、すぐにメンバーが戻り、ピーヴイーの裏声を使ったヴォーカルで始まる唯一のバラード「ALL THIS TIME」 も、全体の流れをこわすことなく、しっとり自然に聴かせてくれた。エレクトリックギターへとつながる展開は鳥肌もの。アルバムで聴いてるときには、おまけみたいに感じた曲だったのに。

ピーヴィーって意外に、「心は二枚目」かもしれない。歌いながら、ベースを弾きながら見せるちょっとしたポーズのキメ方がマジでかっこいい。暗いステージで逆光の中に浮かび上がってたりすると、ミーハーな私の心は簡単にときめいてしまうのであった。

曲名をきちんと把握していないので、セットリストは省略。アンコールに入る前にSABBATH のカヴァーが出たのにはびっくり。アンコールは2回で、最後の最後はIRON MADENの「TROOPER」。大盛り上がり大会で日本公演最終日の幕が降りた。2時間たっぷりのショーだった。

最初から最後までエネルギー全開、ひとりで歌いきったピーヴィーを評価したい。最後に前のほうの客ひとりひとりと握手をし、プレゼントされたタオルで律儀に汗をふいてみて、何度も何度も「ありがとう」を言って帰った彼を見てると、「ほんとうにいい人なんだなあ」としみじみしてしまった。

正直言って、新譜はあまり新鮮味が感じられなくて聴き込んでいなかった。実際のライブでも、新曲よりも前作以前の曲のほうがノレると思った。でも、彼らの曲ってやっぱりライブ映えするし、それぞれの曲が引き立て合うようなセットリストを組んで、きっちりこなれたライブを見せてくれたことは素晴らしいと思う。

しかし、疲れたなあ。会場を出るとき足がよろよろしてしまったのはひさしぶりだった(単にライブ行き過ぎという声も)。


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