SHOH's LIVE REPORTS

Power Station (Dec 7,1996 at Shibuya Kokaido,Tokyo)


じめにお断りしておきます。私はTHUNDER のルーク目当てで行った不純な観客でした。生粋のPOWER STATION のファンの方の気に障ったらごめんなさい。

渋谷公会堂は満員。2階席までしっかり埋まっていました。きょうはソールドアウトだったみたいですね。大阪でも満員だったみたいだし、やはり一世を風靡したプロジェクトだけのことはあります。年齢層はけっこう高い。でも、若い人も多い。ルークのファンは何%くらいいるのかなあ?

アルバムも聴いたことがなくて、果たして間がもつのかとの不安を吹き消すように1曲目になんとあんな曲をもってきてしまうものだから、もうびっくり。しょっぱなからルークのコーラスが聞こえて、頭の中が真っ白になってしまった。

ローディと間違われたのがこたえたのか、きょうのルークは黒っぽいジャケットを着て、いつもとは違う大人の雰囲気。アルマーニ(?)のロバート・パーマーと比べると落ちるけど、タッパがあるだけにかっこいい。途中でジャケットを脱いでしまったら、黒の半袖Tシャツに黒いジーンズでごく普通のロックミュージシャンだったけど。

ちょっと短めにした髪もいつもよりさらさらフワフワしていて、顔にかかったそれを「フーッ!」と吹く仕草も、きょうはまた格段に素敵。

アンディは黒の上下の上に白と黒のプリント柄のロングコートを羽織っていて、このコートがものすごく目立つ。見ていても何の柄かよくわからなかったんだけど、途中のロバート・パーマーの紹介で「コートに熊がいるギタリスト」と言ってたので、なんだ熊柄だったのかと判明しました。

私はアンディの若い頃をあんまりよく知らないので、見ていてもただのおじさんとしか思えないのだけれど、でも、とっても元気でお茶目なおじさんでした。モニターに乗ってギターを弾いてみせたり、足をぶんぶん振り上げたり、最後にはルークやベーシストを誘って(というか強制して)そろってダックウォークをしてみせたりと、はしゃいでいました。

曲もさすがにMTVとかでかかりまくってた曲が多いから、ほとんど聴いたことがあって、心配していたような地蔵状態にはならずにすみました。

ただ、JAMES BROWN の曲をやったときに、ロバートが歌詞をほとんど覚えていなくて、床に張ってある歌詞を必死に見ながら歌う姿がなんだか辛かったです。ああいうのって、見ていてハラハラしちゃうから、音楽を楽しむまでの心のゆとりがなくなっちゃうのよね、小心者の私は。

どの曲だったかなあ、ギターチェンジがあって、アンディが黒、ルークが白のレスポールを持って、ステージの左右でツインギターを決めたときには、心の中で「キャアキャア」言ってしまいました。あれはほんとにかっこよかった。

ルークは、サポートギタリストながら、少しずつだけどソロを弾かせてもらったりして、さすがアンディと親しいだけのことはあるなという参加ぶり。アンプの上にビールの缶を何本も並べて、1曲ごとに飲んでいたのは相変わらず(というかTHUNDERのときより飲んでたかも。仕事量少ないもんね)。

ベーシストは2回くらい入るところを間違えて、2度目にはロバートに「またお前か!」って怒られていましたが、うまかったです。あのベースラインをいきなり弾かなくてはならなかったんだとしたら、そりゃあルークは大変だったでしょう。

でも、それよりもっと大変だったのは、あのルークが弾いてたパートを、アルマーニ着た姿で弾かなくてはならなかったロバートだったのではないか、という話が、きょうのライブ後の飲み会でのトピックスでした。

いちばん驚いたのがトニー・トンプソンのドラム。いやもうかっこいいのなんのって。跳ね方が全然違いますね。やっぱりああいうのって天性のリズム感ってものなんでしょうか。あれを聴けただけでも、きょう行った甲斐がありました(ほんとはルークがかっこよかったから、120%満足したんだけど)。

全体としては、やっぱり旬のバンドというより、過去を懐かしむための寄せ集め的な感じがしてしまいましたが(だって、演奏者の5分の2が余所者なんだものねえ)、昔を知ってる人は熱狂し、そうでない人もそれなりに楽しめたいいライブだったと思います。


1996 I INDEX I Pの目次へ