Oasis with Ocean Colour Sean (Aug 16,1994 at The Forum, London)
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どのチケット屋の前を通っても 「SOLD OUT」 だったので、これはもうダフ屋しかないか、と覚悟していたのだが、ラッキーなことにこちらで音楽業界の仕事をしている知人がその前の週、スウェーデンで行われたフェスティバル(これがレディング顔負けのメンバーで PARADISE LOSTから MARIA CAREY までという)に行っていて、そのときに OASIS のメンバーからゲスト・パスを出してもらう約束をしてあった。
もし私の分がなくても、その時はその時でダフ屋から買うからといって一緒に行ったのだが、劇場の窓口で聞くと、ちゃんと3枚置いてあった。律義なバンド。
どうせ前座が3つくらいつくからと、8時半頃にのんびりと行ったら、すでに THE FORUM は満員状態。とても1階のスタンディングの中で揉まれる元気はないので2階へと上がっていき、座って見ることにした。
この時にやっていたバンドは、音のバランスがひどく悪くて、空回りしている感じがする。演奏は下手ではないのかもしれないけど(ギターなんか時々聴かせる部分もあったりするのだが)全員の音がバランバラン。ヴォーカルは、一昔前のアングラ芝居の役者のように、セリフのような語り風の歌を叫ぶように歌うのだが、音が大きすぎて耳がキンキンしてしまう。
多分、前座ということで、サウンドチェックもしっかりできない等という不利があったのだろうが、それ以前にこのバンド、人間関係がうまくいっていないのじゃないかしら?
知人が隣りに座ってた人に聞いたところによると、OCEAN COLOUR SEAN といって、そこそこ知られたバンドだという。彼女も「前はもっとずっときれいな音を出してたんだけどねえ」と不審がっていた。
さて、次はどんなバンドだろう・・・と思っていたら、バラバラと出てきたのはなんと OASIS! まだ、9時過ぎくらいだったのに!
ぱっと見た印象は「地味」。
ヴォーカルのリアムだけは、よく見る雑誌の写真で着ているような、ポケットの大きなスタンドカラーのダボッとしたジャケットを着て(下からシャツ の裾をはみ出させて)、黒いサングラスをかけて、まあまあそれっぽいのだが、そのほかのメンバーは、服装も普通なら髪型やらなにやら全部普通で(ギターののボーンヘッドなんか髪の毛薄いし)、客席にいる連中のほうがよっぱどロックミュージシャンらしいくらい。
曲順はほとんど覚えていない。シングルをあとからあとから出して、軒並ヒットさせているものだから、客の反応はよすぎるほどいい。もう人が飛ぶ飛ぶ。セキュリティは大いそがしで、受け止めては追い出すという作業をほとんど毎分やってたんじゃないかなあ。最前列あたり日本人がけっこういたように思う。2階にも日本人の女の子がけっこういたし。
彼らの曲って、「あ、これは T.REX」とか「これは BEATLES だわ」とかいちいちわかってしまうほどもろコピーなんだけど、なんていうのかバンドにすさまじい勢いみたいなエネルギーがあって、「それがど〜した!」ってねじふせられるだけのパワーを感じる。
リアムは、多分いろいろとアドバイスを受けて服装やらステージングをキメているのだろうが、それが「かっこつけ」じゃなくてちゃんと決まっているのは、やっぱり一種のカリスマ性なんだろうな。
たいていのロックバンドでは、ヴォーカルは歌わないときには演奏に合わせて体を動かしたり、踊っていたりするものだけど、彼はただじっと立っている か、ドラム台に座ってビールを飲んでいる。たまに首をちょっと振る程度。それがまた新鮮に見えたりするんだから、やっぱり今が旬のバンドなんだ。
あらかじめ教わっていたとおり、アンコールは一切なし。最後に「I AM THE WARLAS 」を激しく演奏してさっと去って行った。1時間もやっていなかったと思う。多分45分くらい。
Tシャツは3種類売ってて、よく見る渦巻き模様のだけが背中にツアー場所が載ってたからこれを買ったけど、紺で前が四角く囲んだ OASIS のロゴ、背中にメンバーの写真というのもかっこよかったなあ。
ライブが終わったあと、ゲスト・パスをつけている人だけが入れるスペースでパーティみたいな事が始まった。きょうのお礼だけ言わなくちゃ、という知人にくっついてものすごく混雑してる BAR ROOM に入っていったが、業界人らしき人だらけの人混みで、なにがなにやらわからずにぼーっと見ていた。
「あれは THESE ANIMAL MEN というバンドのメンバー」とか教えてもらっても、そっち方面に疎い私には何がなにやらわからず、「髪がぱさついたお兄さんたちだなあ」なんてしょ〜もない事を考えたりして。
メンバーはスウェーデンから帰ったばかりで疲れていたせいか、結局ノエルがちょっとだけ挨拶に出てきたくらいで、それも10分くらいで帰っちゃった。でも、知人を見つけると、ちゃんと挨拶していた。なんでも、彼らのインタビューを最初にとったのが彼女なんだそうで、そういうことを売れっ子になってもちゃんと忘れずにいるのがエライ。
街のCD屋でも、ニューシングルがどこでも大プッシュで、ほんとに売れてるんだなあという感じだった。