SHOH's LIVE REPORTS

Monster Magnet (August 8,1999 at Shibuya On Air East,Tokyo)


ワーロック・トゥデイで彼らのライヴをずっと流していたので、それを4〜5曲聴いた限りではライヴがなかなかよさそうなバンドと思えた。とはいうもののそのためにだけ富士急ハイランドに行くのはちょっと・・・と思っていたら 単独東京公演、しかもショウケースギグで3500円という、願ってもない展開となり、大喜びでチケットをとった。

ほかにチケットを買った友人の番号を聞くと、あまり売れていない印象があったので、どうなることかと思っていたが、前日のラジオでのプッシュが効いたのか、当日渋谷ON AIR EASTに行ってみるとかなりの人出で一安心。

うしろのほうでゆっくり見るつもりだったが、整理番号が割合よかったので、入ってみたら右端の最前列が開いている。ON AIRは後ろのほうだとほとんど何も見えなくなってしまうので、どうせだったらラジオで話題になっていたデイヴの怪しい動きを見たいなと思い、思わずスススと前のほうに・・・。押されたらすぐに後ろに引っ込もうと気弱なことを考えていたが、様子見の客が多かったせいか、端のほうはそれほど押されることもなく、最後までゆっくり見られた。

で、肝心の中身だが、結論から言ってしまうと、70点くらい。悪くはないのだが、やはりフルセットのショウを見せるには曲不足、経験不足かな、という気がした。

割合似た感じの曲が多くて、メリハリがないのがつらかった。4曲くらい同じようなのが続いて、ちょっとダレたかなあ、と思った頃にガツンとくるかっこいい曲があって目が覚め、また4曲くらい退屈してガツンという繰り返しだった。かっこいい曲はめちゃくちゃかっこいいだけに、よけいにコントラストが気になったのかもしれない。もっとも友人に言わせるとそういうカッたるさが彼らの特長なんだそうで、そう言われてしまえば単なる好みの問題かな、という気もする。多分、彼らのようなバンドを私が聴くときには、お酒でも飲んで半分くらい酔っ払った状態でフラフラ踊りながら見るとちょうどいいのかもしれない。

それにしても、私がいたところはそれほどでもなかったが、真ん中あたりの前のほうは人の上を転がっていく人が多くて、何人も係員に引き連れられて目の前を通っていった。ああいうノリのバンドじゃないのでは?とちょっと不思議な気がした。

話題のデイヴのパフォーマンスは本当に凄くて、ああいう怪しさというのは初めて経験したような気がする。決してヴィジュアル的に素敵なわけではないのだが、彼の動きから目が離せないって感じ。モニターの上に正座して目を剥き出して腰を振っているさまは、昔見た前衛演劇の白石加代子(古い!)を思い出してしまうような面白怖さ。MCも何を言ってるかほとんどわからないような早口&独特の節回しで、それはそれで雰囲気が出ていて面白かった。「Steppen Wolf をもうちょっとへビィにした感じ」と言う友人もいたが、まさにそういう感じ。やってる音楽はストレートなロックなのに、パフォーマンスにいかがわしさがあるところがよく似ている。

もともと多くはない髪がすぐに汗でべしょべしょになり、それをぶるぶる振り回しながら動き回るので、こっちに来そうになると汗が飛んでくるんじゃないかとちょっと引いてしまった。 私だけではなくて、最後のほうで歌いながらステージの何ヶ所かで客席のほうに身を乗り出しながら叫んだときなど、普通だったら前に押し寄せるはずの客が、ほとんど後ろに引いていたのが笑えた。客を脅してど〜する(^^;)>デイヴ

私の目の前には髪の長いギタリストがいたのだが、非常に地味で、リードを弾いているにも関わらず、スポットライトもほとんど当たらず、本人もニコリともせずに必死に弾いている感じで、いまひとつ華が感じられなかった。もうひとりの左端にいるギタリストとふたりで、何度かモニターの上に載って、THIN LIZZY のようなパフォーマンスを見せているのはなかなかの見物だっただけに、それ以外の部分でももう少し見せ場を考えてほしいと思ってしまった。あと、私がいた位置のせいかもしれないが、ギターの目の前にいるにも関わらずドラムとベースの音がやたらと大きくて、ギターの音がほとんど聞こえないというのもちょっと残念だったかな。ドラムの音は、いわゆるHM系とはちょっと違ったタイプで、新鮮に感じられたのだが。

それとラジオでしきりと言われていたスクリーンの映像だが、これまた前に行き過ぎたせいか画面が暗すぎてあまり効果的とは思えなかった。もっとはっきり見えていれば、それなりにビジュアル面でのメリハリがついたかもしれないが。富士急ハイランドでは本国でのショウと同様に水着の女性も出てきたようだが、渋谷ではギャラの関係からかナシ。

3500円(しかもワンドリンク付き)でこれだけ見せてくれれば満足、という内容だった。デビューしたばかりでフルセットのショウをするほどの曲がなかったり、ライヴ経験が浅かったり、日本での認知度が少ないバンドの場合、ショウケースギグという方式はバンドにとっても客にとっても最適の形ではないかと思った。


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