SHOH's LIVE REPORTS

Mansun (April 17,1997 at Shibuya Club Quarro,Tokyo)


ってきました。渋谷クアトロ。

客の入りはこの間の DISHWALLA よりは多めで、9分の入りといったところ。超満員までいってないのがいい感じ。きょうは横のほうの、椅子に座っている人の後ろに貼りついて見ていました。

客層はさすがに若い。10代〜20代前半といったところがメインかしら。でもって、この手のバンドではもうお決まりみたいになってるけれど、女の子が多い。その子たちが、メンバーが登場したとたんにキャアキャア叫ぶわ、声かけるわで、なんかもうアイドルバンドのノリ。

BLURのデーモンにおじさんがちょっと入ったようなポールは確かに可愛いし、ギターもベースもそれなりにサマになってるけど、でも、あんなに騒ぐほどのルックスではないと思ったのだが・・・若い子の好みについていけなくなっただけかも。

演奏はなかなかタイト。この頃のバンドって、たとえ新人でもかなりきっちりしたライブを見せてくれるから、安心してチケットが買えますね。ベースがASH みたいに暴れるタイプで、ひとときもじっとしていないのに、ドラムともども、すごくしっかりしたリズムキープをしている。

ギターのドミニクは、服装から髪型からアクション(腕を大きく振り回して弾いたりとか)まで、すべてがもろピート・タウンゼントなんだけど、この子もいい音を出していました(そういえば彼のギターにはアルバムジャケのあの模様がペイントしてあった)。しかし、途中で膝をそろえてジャンプしたときには、大笑いしてしまったぞ。よっぽど好きなのねえ。アルバムを聴いてる限りでは THE WHO の影響なんて全然感じなかったのだけれど。

ライブで聴くとかなりヘヴィーなのはこの間の DISHWALLA と同じ。

ポールのヴォーカルは、最初のころちょっと調子が出ていなくて、期待してたわりにはこんなもんかな、なんて思っていたんですが、3曲目くらいから独特の裏声がかなりよく出るようになり、さらに、よく響く低音もすごく魅力的で、ああ、やっぱりこのバンドの魅力って彼の声なんだな、といまさらながらに納得。ライブの途中、彼の歌い回しを聴いてるだけで背中がゾクゾクしてしまったことが2〜3回ありました。

ポールはずっとギターを持ち、ほとんどの曲でしっかり弾いていました。どの曲だったか、すごくドラマチックな展開の曲で彼が赤と黒のツートンのギターを抱えて歌う姿がすごく絵になっている瞬間があり、「ひょっとしてこの人、演劇なんかにも興味があるのかも」なんて想像してしまった。

ライティングがなかなか演劇的だったというのもあるのかも。ギターのドミニクが長くて印象的なソロを弾いているときに、グリーンのスポットライトを3本くらい当てたりとか。

私が最初に気に入った曲 "WIDE OPEN SPACE" が始まったときは、さすがに場内から歓声が上がりました。この曲、やっぱりすごく素敵でした。ひとつのストーリーの中に引きこまれるような感じで、聴き入ってしまった。

MCはほとんどなくて、ポールじゃなくてドミニクが「アリガト」と言うくらい。ポールは1回くらい曲名を口にしたくらいかしら。シャイなのかと思っていたのですが、アンコールになって、どうやらそうじゃないらしいことがわかってきた。

まあ、けっこう激しい曲ではあったのだけれど、でも、かといってそれほどキレてしまうほどの曲ではなかった。それなのに、ポールは加速度的にブチ切れていって、ギターをぶんぶん振り回し、アンプにひっかけて弾いたり、ドラマーの後ろからドラムに叩きつけるようにしたり、客席に向かって差し出したり、マイクスタンドを振り回したり、あげくにはギターを機関銃のように構えて客席を撃つような仕草までしてみせた(ライナーの写真にもありましたね)。あのねえ、スティーブ・ハリスじゃないんだから(^^;)。

でもって、缶ビールをぐいぐい飲み、残りを客席に撒くんだけど、その撒き方も、なんかこう普通の人と違う。「おーい、いくぜーっ!」とかいう明るいノリじゃなくて、「ほら、ビール・・・」という感じの、まるで朝のパチンコ屋の店先で、アルバイトの店員が眠そうな顔していやいや水撒いてるみたいな、とーっても不健康な感じだったんですねえ。

そして、特に挨拶するわけでもなく、他のメンバーがまだ演奏を続けている間にさっさと退場。続いてベースもこれは愛想をふりまいて引っ込み、ドラマーが挨拶なしに去り、最後に残ったギターがしっかりマイクに向かってシメの挨拶をして帰りました。

天才肌でアーティスティックなヴォーカル、人はいいけど頭が軽いベーシスト、実力はあるけどマイペースのドラマー、そういう人間たちを気配り満点のギタリストがまとめている・・・そんな人間模様が見えたような気がした夜でした。

でも、音はほんとによかったです。


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