Kix (June 4,1995 at Club Citta Kawasaki, Kanagawa)
結局、セットリストはおとといと同じだったので、両方を総合したレポートにします。ただ、さすがに年季の入ったライブバンドだと感心したのだけれど、おととい客に受けなかった部分や言葉が通じなかった部分は大幅にカット・修正されていたので、全体にMCは短めになっていました。
きょうの衣装は、スティーブが白いドレスシャツに黒のベスト、破れ放題のブルージーンズ。ドニーは赤のTシャツに黒のジャケット、黒のジーンズ。ロニーは上はスティーブと同じで、下は紫色のベルベットのパンツ。新人のパット(?)はサイケ模様のシャツに黒のベルベットパンツで、きょうはTESLA のギターみたいでした。ジミーはやっぱりベストを着ていたみたいだけど、よくわかんない。
場内が暗転すると、KIXのライブではおなじみのSEとダミ声のバンド紹介。これってほんとにクラブギグに似合うオープニングだと思う。これ聞いただけで、「あー、KIXが始まるんだー」ってワクワクしてきちゃうもの。
「NO RING AROUND ROSIE」あたりからかなあ、なんて漠然と想像してたのが大はずれで、1曲目は新譜からの曲。一瞬体勢がくずれかけたものの、何しろどの曲をとってもノリのいいKIXだからすぐに立ち直り、一気に縦ノリ気分に突入。
ひさしぶりに見るスティーブは、体形はまったく変化なしだけど、近くで見ると顔には多少の年月が感じられる。でも、声や動きにはまったく衰えが感じられない。「踊るカニ」も「氷の上のスヌーピー」もやったのよ。
日本にはひさしぶりだけど、そういうバンドにありがちな、本国ではほとんど活動してなくて練習不足、みたいな部分は微塵も感じさせない。向こうでクラブギグを地道に続けているんだろうなあ、ってしみじみ感じてしまった。
新譜からの曲をたて続けに3曲やったあとは、『HOT WIRE』からの「GIRL MONEY」。
この曲にはいろいろと趣向があって、まずはスティーブが後ろ向きになって、長い手を体の後ろに回し、まるで女の子の手が抱きついているみたいに動かす、ちょっとえっちなパフォーマンス。
で、次にスティーブが袖からバケツを持ち出してきて、客席に水をぶちまける演出が……。これって毎回、「実は中身は紙吹雪だよーん」っていうのがお約束のパターンだったから、2日はわりと前のほうで見ていたにもかかわらず、安心してたのね、私。
ところが! 今回はスティーブが、ミネラルウォーターのペットボトルを使って、**小僧みたいなパフォーマンスをいたしまして(まあ、お下品!)、そのときにステージにぶちまけてると思った水がバケツの中に溜まっていたのだ。
ここでようやくMC。ひと息ついて1stからの掛け合いソング「THE ITCH」に突入します。若いファンが多かったけど、ライブ盤に入ってるせいで「I GOT IT」の掛け声はちゃんとみんな叫んでる。客を真ん中と右・左で分けて、掛け声合戦をさせるやり方も相変わらずだったけど、KIXの場合、日本のファンってやっぱり女の子が圧倒的に多くて、声がどうしても黄色くなっちゃうんですよね(人のことは言えないんだけど)。
そのあとスティーブがステージ袖に引っ込んで、大きなスパンコール(ほんとに大きくて、まるで大蛇のウロコ)付きのジャケットとシルクハットをかぶって登場。そうか。HYPNOTIZEに引っかけて催眠術師のつもりなのね。
暗いステージに赤いピンスポットが当たり、キラキラ衣装のスティーブが浮かび上がって、不思議な動きを見せると、ほんとに催眠術にかかりそうな気分になっちゃう。うしろのメンバーもキメの部分でストップモーションをかけたりして、この曲は彼らにしては複雑な構成で、アルバムで聴いても「あれっ?」と思わせるんだけど、ライブで聴くとほんとにかっこいい。
この人たちは、ありきたりなギターソロはやらないバンドで、ロニーとブライアンがステージでぶつかり合う(文字どおり体をぶつけ合う)のが目的みたいなギターバトルがちょこっと入るんですが、今回はやっぱり新人君とのコンビネーションがまだこなれていないみたいでした。ロニーのほうに遠慮というか気遣いみたいなものがあったような。でも、新人パット、おとといはアガッてたのか、あんまりうまくないなあ、と思ってしまったけど、きょうは結構がんばってた。
1stからの「THE KID」 のあとは、ロニーのアコースティックギターが入って、スティーブが前のほうに来てステージに腰を降ろし、他のメンバーは後ろに腰かけてのアコースティックセットで「IF YOU RUN AROUND」。 バラードがあまり好きでないバンドならではの料理法かな、って納得。アルバムよりずっとのんびりした感じの、ほのぼのソングになってたと思う。
でもって、静かな曲はいっぺんにすましちゃえば、クール・ダウンするのが1回ですむという考えからだと思うけど、そのまま「DON'T CLOSE YOUR EYES」に。しかし、これはやっぱり名曲よねえ。ライティングもぴったりで、最後にスティーブがマイクスタンドを頭の上に掲げるエン
ディングなんか、ほんとに絵になってたぁ。
余韻にひたる間もなくスティーブが、「なんだか汗くさいなあ。このへんでにおってるのかな、クンクンクン」とか言って客席に鼻を近づけて匂いを嗅ぐまねをしてふざけたあと、「あ、ごめん。くさいのは僕だったんだ。ちょっと冷たいシャワーでも浴びてこようっと」と言って袖に引っ込み、大きな傘を持ってもどります。
そう、私の大好きな「COLD SWOER」です! KIXのロゴ入りの大きな傘の下で、スティーブとドニーが頬を寄せ合って歌う姿は、何度見てもほほえましい。(最初のスローな部分、歌っている間じゅう、ドニーが指でスティーブの肩をトントン叩いてリズムキープしてるのよ)
でもって、途中でドニーが奥からステージ前に歩いてきて、ひとりで歌う(?)あの場面では、思わず興奮してひとりで騒いでしまった私。でも、おとといもきょうも、ドニーのとこのマイク、音が小さくて声が聞こえにくかったのがすご〜く残念。あそこのドニーの低音って、死ぬほどセクシーなのにぃ。
お次は大ヒットした「BLOW MY FUSE」というわけで、会場は一気に盛り上がり状態。おとといは「LIGHT UP MY HAIR」のところで客席にマイクを預けて歌わせようとしたのに、ものの見事にこけてしまったもので、きょうはひとりで歌うスティーブなのでありました。
「COLD SWEAT」では、またまた客席を分けて「COLD BLOOD 〜」のとこを歌わせる。しかし、ここでも聞こえるのは女の子の黄色い声ばかり。
おとといはスティーブも、「うーん、どうもこのへん女の子の声しか聞こえないなあ。男も声出してくれよ」みたいなこと言ってましたが、きょうは客の入りもよかったせいか、まあマシだったかな。。しかし、スティーブの高音ヴォーカルに合わせて歌える男の子っていうのも、そうはいないわよねえ。
ここで本編が終わり。アンコールは「RED LITE,GREEN LITE,TNT」 かと思っていた私の予想を裏切り、新譜から、ビデオクリップにもなった「9・1・1」がアンコール1曲目。 これ、ライブで聴くと歌いやすいしのりやすいし、なるほどシングルカット向きかなあ、と納得。
でもって、相変わらず「言葉が通じないのがつらいけど、やっぱり最後はこれだよね」ソングの「YEAH,YEAH,YEAH」。これはねえ、おとといと比べて大幅にカットされていました。だって、ほんとにおとといはみんな目が点状態だったんだもの。ライブ・アルバムに入っているとはいえ、少しずつ言葉が変わってるし、なにしろ早口でまくしたてるのが売りなわけだから、日本人にはほんとに辛いのよねえ。
で、おとといは前のほうの客に向かって「日本語でSPEWS ってなんて言うの?」って聞いたんだけど、誰も答えない。英語がわからなかったのもあると思うけど、前のほうにいたのほとんど女の子だったから、まさか大声で「ゲ*」なんて叫べないわよねえ。私も言えなかった。
で、引っ込みがつかなくなったスティーブは、「そうか、みんなはそういう経験がないんだ、うらやましいなあ」とかごまかして歌に戻っていったんだけど。きょうは、名誉挽回(?)とばかりにカンニングペーパーを持ち出してきて、自分から「ゲ*?」とか言ってました。現物の紙を見た友人の話によると「GERO=HAKU」って書いてあったらしい。勉強熱心なバンドだと思う。
で、最後の最後は、またまたお約束通り、でっかい風船がたくさん入ったビニール袋を引きずって出てきて、体ごとぽーんと乗っかって押し出し、客席にばらまいてました(^_^)スキダナア。
個人的には「COLD CHILLS」とか「GET IT WHILE IT'S HOT」とか、まだまだ聴きたい曲はいっぱいあるけど、贅沢を言っちゃいけないわね。彼らがまた来日してくれて、元気いっぱいのステージを見せてくれただけでも幸せだと思わなくちゃ。
それが無警戒の頭の上に降ってきたものだから、見事びしょ濡れになってしまった私。ふたつ目のバケツのほうにおもちゃのお金が入ってたのでした(このお金を山ほど手にして「ほら、これがスティーブが手渡してくれたお金で、こっちが拾ったお金」と嬉しそうに見せてくれた友人がいた)。
1.BABY TIME BOMB
2.PUT MY MONEY WHERE YOUR MOUTH IS
3.FIREBALLS
4.GIRL MONEY
5.THE ITCH
6.BOOK TO HYPNOTIZE
-GUITAR BATTLE-
7.THE KID
8.IF YOU RUN AROUND
9.DON'T CLOSE YOUR EYES
10.COLD SHOWER
11.BLOW MY FUSE
12.COLD BLOOD
-ENCORE-
13.9・1・1
14.YEAH,YEAH,YEAH
*KIXはその後解散。ヴォーカルのスティーブ・ホワイトマンは FUNNY MONEY というバンドで精力的にライブ活動していることが確認されています。ギタリストのひとりブライアンは、元BANG TANGOのメンバーと一緒にバンドを組んでいるらしい。その他のメンバーについては不明です。なにかご存知の方がいらしたら、ぜひ教えてください。 |