SHOH's LIVE REPORTS

Kansas (March 15,1999, Shinjuku Kosei-Nenkin Kaikan, Tokyo)


んまりお客さん入っていないかなあ、なんて思っていたのだが、ぎっしり入っていた。ふだんのライヴより年齢層が高いのがさすが、という感じ。

場内が暗くなっても立ち上がる人がいなかったので(最前の2〜3人が立ち上がったけど、うしろの人が座ったままなので座ってしまった)、あまり思い入れがなく体調もいまいちだった私としては、「しめた、途中までは座っていられるかもしれないぞ」などと期待したのだが、甘かった。メンバーが登場してきて、ロビーがステージ中央でヴァイオリンの弓を振り上げたとたんに、みんな立っちゃった。

でも、最終的には KANSAS って座ってじっくり聴くバンドなんじゃないかと思う。立って体を思いきり動かしたり、首を振ったりという音楽性じゃないし。実際、立っている人たちもたまに手拍子を打つくらいで、あとは微動だにせず立ちつくして聴き惚れていた。

有名な曲は聴いたことがあるものの、曲名も知らないまま行ってしまい、ちょっと不安だったのだが、初聴でもまったく問題なく楽しめた。3曲目の後半は、すさまじい演奏に思わず首が振れてしまい、興奮状態に。

最初にメンバーを見たときには「あまりにもオヤジすぎる(・_・) 」と思ったのだが、ロビーもスティーヴも動きは軽やかだった。特にロビーは見事に出っ張ったお腹にも関わらず、ヴァイオリンを弾きながら右に左に動き回り、弓をヒュンヒュンと振り回し、とかっこいいったらありゃしない。ロック魂を残した長髪の振り乱し方も決まっている。ヴァイオリンの音色が期待していたほどには迫ってこなかったのが残念だったが、あれはエレクトリック・ヴァイオリンだから、という面もあるのだろうか? それとも単にPAの問題?

スティーヴは踊るキーボーディストと聞かされていたが、そこまで派手ではなかった。 でも、片手で弾きながらもう片方の手を前に差し出 し、指をひらひらさせ、髪をかきあげ、とひとときもじっとしていない。それでいてしっかり歌っているんだから、もうびっくり。でも、オレンジ色の迷彩柄のピチTにふつうのおじさんズボンをはくのはやめてほしい。おまけにウエストの上のほうにベルトまでしてるし。 でも、最後にステージ前に出てきて観客に挨拶するときに、必ず眼鏡をかけて(演奏中はしていない)、客席のひとりひとりを見るようにしていたのが、すごく感じがよかった。

"ELEANOR RIGBY" のカヴァーをしているとは知らなかったので、曲が始まったときにはびっくりした。なかなかかっこいいアレンジだと思ったが、練習不足だったのか、タイミングがぴったりとはいかなかったのが残念。曲のあとでロビーがこの曲をレコーディングしたときの話をしていた。オーケストラを使ってレコーディングをしたとき、イギリスのスタジオを使ったのだけれど、そこが BEATLES も使ったところだったので、その記念にみたいなノリで入れたとかいう話だった。

個人的にドラムソロとかギターソロとかが好きではないので、この日のドラムソロも休憩タイムにしてしまったが、出来としては決して悪くなかった。退屈したり「ソロやる器じゃないでしょ」と思ったりするケースが往々にしてあるが、そんなことはなかった。ソロをはさんでやった "PLAY THE GAME TONIGHT" と "PORTRAIT" がどちらもかっこよかったせいもあるかな。特に "PORTRAIT" は本編最後にふさわしい盛り上がりのある曲だと思った。

"NOBODY'S HOME" は、ロビーが言ってたところによると、日本でやるのは初めてだということだった。1週間の来日の間、まわりから「また明日」と言われてきたので、同じセットリストでは悪いと思ってエクストラ・ソングを入れてみたんだ、みたいなことを言ってたように思う。毎日変えていたのか、東京最終日だけなのかはわからない。

> 見た目若いB(&G)の方も数ヶ所で見事な歌声を > 発揮してました。 ベーシストは若くはなかったが、コーラスの声がきれいだった。彼の高い声が加わって、あの美しいハーモニーが完璧になっていた ように思う。"CARRY ON WAYWARD SON" のコーラスは予想通り、うなじの毛が逆立つほどのキモチよさだった。

ロビーは最後のほうでステージから降りて、前の通路をずーっと歩いていって最前の客たちと握手をして回っていた。あと、途中でハンドマイクを持ってステージ右端のほうまで行き、そこでステージ後方左端のキーボードの後ろにいスティーブとハモっていた姿も印象的だった。

あれだけオヤジ化していながら、なおかつステージをビジュアルにも訴えるように構成できるというのは、並大抵のキャリアではないな、と実感した。聴いても見ても楽しいライヴだった。

  1. FIGHT FIRE WITH FIRE(INCL.SPARKS OF THE TEMPEST)
  2. SONG FOR AMERICA
  3. MIRACLES OUT OF NOWHERE
  4. THE WALL
  5. CHEYENNE ANTHEM
  6. HOLD ON
  7. NOBODY'S HOME
  8. ELEANOR RIGBY
  9. POINT OF KNOW RETURN
  10. PLAY THE GAME TONIGHT
  11. PHIL EHART DRUMS SOLO
  12. PORTRAIT(INCL.MAGNUM OPUS)
    -ENCORE-
  13. DOWN THE ROAD
  14. DUST IN THE WIND
  15. CARRY ON WAYWARD SON


1999 I INDEX I Kの目次へ I TOP PAGE