SHOH's LIVE REPORTS

Jonny lang (Dec 10,1997, Shibuya Club Quatro, Tokyo)


みたいな音楽は、座ってお酒でも飲みながらじっくり聴きたいなあ、と思っていたら、届いたチケットの整理番号が15番。というわけで、望み通りステージを正面に眺められる席に座って聴くことができました。

定刻ぴったりにメンバー登場。ジョニー君はビデオクリップで見たときは、髪も服もよれよれで、いかにもいまどきの若者風でしたが。ステージを意識してか髪はサラサラにブロウしてあり、ライトに映えるきれいなブロンドでした。ベルベット風の生地の黒い長袖シャツがその髪をより栄えさせていて、けっこうお洒落にも気を使っているのかも。下は70年代風の白っぽい縞のベルボトムジーンズでした。

最初の1〜2曲ではちょっと気合が入りすぎた感じで、がなり声に近い歌になっていたので、「うーん、やっぱりまだ時期尚早だったのかなあ」と思いかけたのですが、3曲目の"A QUITTER NEVER WINS"が始まったとたんに気持ちは360度転換。すごい、すごすぎる。歌もですが、とにかくこのギターの泣き具合といったらもう・・・とても16やそこらの小僧(失礼!)が弾いてるなんて思えません。

2曲目の"GOOD MORNING LITTLE SCHOOL GIRL"で、"I'M A HIGHSCHOOL BOY"と歌う彼を見て、「そうよねえ、この歌詞ってB.B.KINGみたいなおじいさんが歌うより彼が歌うほうがぴったりなのよね」と思ったのでしたが、そんなこともすっかり忘れてしまうほど、この曲での彼は大人の男が人生の哀歓のすべてをギターに語らせているというふうで、気づかないうちに私の目には涙がにじんでいました。

これですっかりステージに引き込まれてしまい、あとはもう彼のギターと歌に翻弄されっぱなし。彼の音楽って、確かにブルースではあるんですが、ライブで聴くと、むしろR&Bに近い感じ。どブルースはちと苦手(というか理解するにはむずかしすぎる)な私にとって、より親しみを感じられる音だと言えます。

メンバーはレコーディングのときと同じなのかしら? もうひとりのギターの人は背も横幅もジョニーの倍くらいありそうな大男で、彼のギターのほうがロック寄りの音でした。ベースのおじさまはお腹のうえにベースを乗せて弾いてるし、キーボードはサングラスをしているので顔はいまいちよくわかりませんでしたが、3人ともジョニーのお父さん、あるいはおじさんという年齢の人たち。ドラマーだけは20代くらいかな。長髪でちょっとかっこよかったです。でも、みんなそれぞれにテクニシャンで、ジョニーのギターをうまく引き立てる演奏に徹しているのがプロらしくて気持ちよかった。キーボードの音が、ブルースというよりも昔のクラブ・ピアニストみたいな音(知ってるかなあ、カーメン・キャバレロとか)だったのが、ちょっと合わないような気がしましたけど。

「次のシングルだよ」と紹介して歌った"MISSING YOUR LOVE"は、しみじみと聴かせてくれるバラードでヒットを予感させました。もうビデオクリップとか流れているのかしら。

私が彼のアルバムを買うきっかけになった"LIE TO ME"は、早いうちから声がかかっていましたが(4曲目くらいでこれをやるはずがないと思うのだけれど、ほかに声のかけようがないのかね(^_^;)ゞ?)、当然のように本編最後。始まったときにはひときわ高い歓声が上がっていました。でも、こうしてライブで聴くと、この曲だけ妙に華やかで売れ線狙いという感じがしないでもないです。確かにかっこいいんだけど、他の曲たちからは微妙に浮いてしまう気がしました。

本編が終わり、楽屋にひっこんだものの、拍手に迎えられてあっという間に再登場。16じゃお酒も飲まないから、楽屋に戻ったってやることないものね。で、始まったのがジミヘンの"SPANISH CASTLE MAGIC"。これはもう、めちゃめちゃ激しくてロックしててかっこよかったあ(*^_^*)! さすがにジョニー君、若い!って感じ。もう、好きでたまらないという雰囲気を全身ににじませて弾きまくっていきました。最後に前のほうの人にピックをあげる様子もういういしくて「どうぞこのまま素直ないい子でいてほしい」とおばさんくさいことを考えてしまった私なのでした。


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