SHOH's LIVE REPORTS

Iron Maiden (April 11,1996, Nakano Sun Plaza, Tokyo)


はMAIDENに関しては素人です。

「THE X FACTOR」、試聴だけして買わなかったくらいですが、きのうのライブを見て「あのアルバムはなんだったんだ?」と思ってしまいました。きっとスタジオ制作のアルバムって、彼らにとっては料理の材料みたいなものなのかも。 とりあえず切った野菜とか、下味つけた肉とかをセットにして売り出して、料理そのものはライブに行かないと味わえないという……。新鮮で良質な材料でも、店頭での見せ方が悪いと売れなかったりしますが、「THE X FACTOR」もそんな材料だったのかな。

でもとにかく、料理のほうは極上でした。まさにメタル料理の鉄人。

ブレーズってちゃんと歌えるじゃないですか。緊張のためか、しっかりマイクをにぎりしめたまま直立不動になってしまうことが多いのは、なにしろ新入りということで許してしまいます。それに第一、ロックコンサートであんなに一生懸命に真面目に歌おうとしてるヴォーカリストってひさびさに見たような気がして、ちょっと感動してしまいました。まあ、ちょっと音はずしそうになるとそばにスティーブが寄ってきて一緒に歌うんだもの、あれはプレッシャーよねえ。

しかし、顔はこわいです、ブレイズ。 あの顔で右手の指を開いて上に向けたポーズをされると、あの指の間に血まみれの心臓がすっぽりはまってるような気分になってきます。それもまたMAIDEN らしいと言えば言えるのですが。

なによりも驚いて感動したのは、スティーブ、ヤニック、そしてデイブまでがステージをびゅんびゅん走り回っていたことです。とにかく一瞬たりともじっとなんてしていない。

中野サンプラザの狭いステージで、お互いにぶつかりそうになりながら動き回っている姿を見ていると、「この人たちにとってライブは決して《お仕事》なんかじゃなくて、かといって友人同士の《趣味》でもなくて、まさに天命なんだろうなあ」って思えてしまいました。

あれだけキャリアがあって、もう何千回もライブをやってきていて、それでまだあんなエネルギーが発散できるのって、ただただ凄いとしか言えません。なによりも、心から楽しそうにニコニコとしながらやってくれてるのが素晴らしいです。

それにしても、ヤニックがあんなにかっこいいとは思わなかったわ(=^^=)ミーハーモード。ステージ前に出てきて手をひらひらさせながら弾き始めると、「こ、こ、濃い〜 」とか思いながらも目が釘づけ状態に。ふわふわの金髪を後ろに流すように顔をのけぞらせてギターを弾く姿はまさに王子様状態。ギターはぶん回すは、スピーカーによじ登るわ、デイヴにちょっかい出すわで、ほんとにお茶目で可愛かったです。

18日も買っておいて、ほんとうによかった。


1996 I INDEX I Iの目次へ I TOP PAGE