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素晴らしかったです。「これが本物のメイデンだったんだ」 と頭を振りながら思いました。
ブルース時代に1回(1991年)、ブレイズ時代に2回(1996年と1998年)見てはいるのですが、初回は音が酷すぎて曲がひとつも認識できず、ブルースの声も聞こえませんでした。ブレイズ時代のライヴはどれも楽しく見ていたのですが、「まあ歌はこの程度でも曲がいいし、他のメンバーがみんなかっこいいからいいや」 というとらえ方でした。
が、きょう初めて、きちんと聞こえるブルースの歌を聞き、全員が縦横無尽に動き回るステージングを見て、「これが足りなかったのか」 と思い至りました。これに魅せられて多くの人たちが今日まで支持し続けてきたのですよね。9年かかってようやく見ることが出来た私は運が悪かったのか、それとも遅れたとはいえ最終的には知ることができてラッキーだったのか・・・。
しかし、ブルースのあの動きはただ者じゃないですね。場数を踏んでいるからとだけは言えないものがあります。運動神経かな。あれは努力して身につけられるものではないです。客の煽り方にしてもそうですが、一瞬にしてオーディエンスをつかんでしまうカリスマ性のようなものは、ブレイズがどんなに経験を積んでも決して得ることはできなかっただろうな、とブルースを見て思いました。とても小柄なのに、動いていると存在感が倍くらいに見せています。
注目のトリプルギターは、これまた素晴らしかったです。ハモるところはもちろん悶絶ものの気持ちよさでしたが、それぞれが音色の違う音を交互に聞かせてくれるだけでも、「ああ、やっぱり3本なんだなあ」 と感動してしまいます。いちばん最初に暗いステージにライトがつき、エイドリアンにスポットが当たって、彼のギターが聞こえてくるのですが、彼のいるメイデンは初体験の私にはとても新鮮で、かっこよく感じられました。ヤニックも今まではどちらかというとビジュアル重視という印象があったのですが、今回はけっこう仕事してるなと思いました。もちろんビジュアル的には相変わらず派手でしたけれど。デイヴも顔だけ見てると穏やかで優しげなので、なんとなくじっとしてるような気がしてしまうのですが、はっと気づくと右に左に動き回っているんですよね。
で、動くと言えば、なんといってもスティーブ。短パンで可愛らしい膝小僧を見せた彼が、ステージの端からダッシュして走っていくと、そのたびに顔がほころんでニコニコしてしまいます。この人たちって、みんな本当に楽しそうに演奏してくれるので、見てるこっちまでずっと笑顔になっちゃうんですよね。
セットも今まで見た中でいちばん凝っていたし、演出もバラエティに富んでいて、文句なしの2時間でした。古くからのファンの方は選曲面で不満もあるのかもしれませんが、私には充分すぎるくらいの内容でした。
そうそう、満員の国際フォーラム(ブルースが 「屋根までぎっしりだね」 と感激してました)を埋めたファンの歓声と歌声が本物のメイデン・ライヴを完璧なものとする最後の仕上げを行っていたことを忘れてはいけませんね。