Harem Scarem (Sep 9,1997, Club Citta Kawasaki, Kanagawa)
とにかくステージに登場したメンバーが、ドラマー以外短髪になっていたのがなにより驚きで、しばらくは前座かと思ってた(^^;)。 雑誌も見ないし、新譜も買ってないしで、情報からすっかり遠ざかっていたのがいけないんだけど、HAREM SCAREMといえばあのカーリーヘアのヴォーカルを思い出していた私としてはかなり悲しかった。短い髪がいちばん似合っていたのはベースかな? 若い頃のチャーリー・シーンみたいで白のTシャツがよく似合ってた。性格もすごくお茶目というか暴れん坊みたいで、少しもじっとしていない。ステージを動き回り、ドラマーやギターに話しかけ、とハイパーな奴だった。でも、彼のコーラスの声はとってもきれい。意外に高い声なので驚いた。
ギターはちょっとおじさんくさかったけど、でも、彼のギターの音はすごーく好き。聴いているだけで、心の中が洗われていくような気持ちになる。ソロらしいソロはやらない控えめなところも好き。
ヴォーカルのハリー(でしたっけ?)は、髪も短いし、着ているのも若草色のジャージ(肩に黒い線が入っている)だしで、そのへんを歩いている好青年みたいなんだけど(おまけに地味〜な結婚指輪までしてる)、ステージパフォーマンスはメタルそのもので、こぶしを振り上げ客席を煽る姿が新鮮だった。
途中で客席からの「ハリー!」「ハリー!」という掛け声に、「どうしてみんな僕の名前を呼ぶの? 僕、なんて答えていいのか困っちゃうよ」と言っていたのが印象的だった。私も時々、好きなミュージシャンの名前を叫んじゃったりするが、考えてみれば、あちらからすれば名前だけ呼んでそのあとの言葉がないというのは不気味なものかもしれないなあ。
ステージ慣れしたアメリカのバンドなんかだと、それにも慣れちゃってて知らんふりしているか、「いえーす」とか返事しちゃったりしてるけど、彼らはまだそういうところが素人っぽくて戸惑っちゃうのね。いい人なんだろうなあ、なんてほのぼのしちゃった。
いけね、音のことをなんにも書いていなかった。今回はPAの調整がうまくいかなかったらしく、バランスが悪かった。私は前回の来日公演のとき、BON GROVEのあとに出てきた彼らが最初の1フレーズを演奏したとたんに、その音に魅了されてしまったという経験があっただけに、今回もそのレベルを期待していたから、その点ではちょっとがっかりした。彼らの演奏がよくなかったというわけではなかったので、よけいに残念だなあ。まあでもライブは水物だからそういうこともあるさ、ということで次回に期待しよう。
アンコールでだったかな、ギターとヴォーカルだけが出てきてアコースティックを1曲やったのだが、そのとき客席からの「ちーぷとりっく!」という声に答えてギターが何かの曲のリフを弾きはじめ、ヴォーカルがそれに合わせて1フレーズ歌うというシーンがあった。どこかで聴いたことのある曲だったんだけど、曲名が思い出せなくて気持ちが悪い。CHEAP TRICKだったのかしらん?
CHEAP TRICKといえばアンコールの最後の曲の1つ前に"SURRENDER"をやったっけ。
すべてが終わってメンバーが全員ひっこんでも、ベースのお兄さんはステージに残っていて、客席を眺め回していたかと思ったらいきなりダイブ。しかも3回も。ひきずりあげるためにステージに出てきていた若いローディは大笑いして見てたが、年配のマネージャーらしき人は「またか」という顔で苦虫をかみつぶしたようだった。きっと、どこに行ってもああなんだろうなあ。