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This Perfect Day/Eggstone (June 17,1994 at Roppongi R Hall,Tokyo)


本木Rホールって、初めて行ったんですが、すごく小さいのね。はるばるスウェーデンから来て、こんなに小さいとこじゃ、ちょっと気の毒だなあ、と思っちゃった。でも、今回はどちらかというとプロモーション来日みたいなものなんでしょうね。そういえば、会場にはスーツでばっちり決めた渋いおじ様が、忙しそうに歩き回っていましたが、彼はSNAPのお偉いさんかな?

で、7時開演から少し遅れただけで THIS PERFECT DAY が始まりました。最初にステージに出てきたのはローディで、なんだか PANTERA みたいな人だったんだけど、驚くなかれ、そのあとに続いて出てきたギターもベースもこれまた頭剃ってて、CROWBAR みたいだったので、「ひょっとしたら THIS PERFECT DAY が来られなくなったので、別のバンドが来たのかしら?」なんて思ってしまった私です。ヴォーカルのマッツとリードギターのリカードが出てきたところで、ようやく胸をなでおろしたのでした。

マッツは、すごく緊張してたみたいです。MCとかでも神経質な咳ばらいをしながらで、日本のファンが静かなことをとても気にしてました。 自分たちが受けてないと思ってるみたいで、かわいそうでした。

しかし、スウェーデン人ってこんなに酒飲みばかりなのぉ? マッツはずうっと缶ビールを飲み続けているし、MCで 「エッグストーンが楽屋にあったアルコール全部飲んじゃったんだ」 なんてぼやいてたし、ステージの端でビデオカメラを回してたおじさんも、最初から最後まで缶ビールを離さなかった。

マッツの声ってほんとに魅力的。曲の感じとか歌い方とか、だれかに似てるなあと思ってたんだけど、ちょっとデヴィッド・バーンに似てますね。ルックスは抜群。まわりがまわりだから、よけいそう見えるのかもしれないけど、TOAD THE WET SPROCKET のグレンみたいな短い髪で顔立ちのよさがくっきりしてました。

でも、なんか変。と思ったら、ひとり足りなかったみたい。ヨハンでしたっけ? キーボードとギター兼任の人。彼がいなかったんじゃないかなあ。かわりにキーボードの位置にいたのは件のローディ君で、彼がまあよく働くこと。ギターのチューニングをしては、リカードに渡し、マッツが何か耳元でささやけばステージ裏に走っていき、ヒマができるとステージから客席の写真を撮り、といった具合に大活躍でした。キーボードも弾いてたのかなあ?

アルバムよりずっとヘヴィーで、迫力のある内容でした。ただ、ヴォーカルに比べてギターの音が引っ込み気味なのが残念だったなあ。明日はもう少しバランスがよくなることを期待しましょう。

THIS PERFECT DAY が終わってから30分ほどして EGGSTONE 登場。なにしろ小さい会場だから、かっこつけて出てくるわけでもなく、なんとなくバラバラと出てきていきなり始まりました。

ペールは、グレーのシャツに黒っぽいブレザーという、まるでひと昔前の学生みたいなかっこ。ギターの人(名前知らない)は銀色のラメのぴったりしたセーター、ドラマーは若草色のシャツ、となんだかバラバラのかっこなのがおかしい。

はっきり言って、最初の印象は 「ペールっておじさんくさい」 というものでした。でも、だんだんと白熱してきて、ジャケットを脱ぎ捨て、汗まみれになって熱唱する姿を見ていたら、すごく若者らしいすがすがしさがあふれていて、「かっこいい!」 と心から思えてしまった。

それにしても、3人とは思えない迫力でした。どうしてあんな音が出せるんだろう。ギターもベースもドラムも、すべてがぴったり息が合っていて、だから音の重なり具合が完璧なのかも。

それに、なにより驚いたのがペールの声。初めに登場したときのMCは、ちょっと甲高い声で調子が狂ったけど、歌い出してみたらものすごく強力な声をしてるんだもの。「七色の声」 という表現が、昔シンディ・ローパーに対して使われていたけれど、きょうのペールの歌を聴いて、七色で、しかも地響きを立てて迫ってくるような声、って感じました。とにかく説得力がある! 歌詞の意味なんかわからなくても、聴いてるだけでぐいぐい曲の中に引き込まれていくような感じ。ステージングも、さっきのマッツとは対象的に、リラックスしてて安心して見ていられる。前のほうのファンが 「ペール!」 って声をかけると、ふつうだったら無視するか手を振るくらいなのに、「イエース?」 とか 言ってその子のほうに歩いていって、かがんでみたりする。そういうのがすごく自然体でできるのって、性格なんでしょうね。

最後は狭いステージを暴れ回って、盛大なエンディング。ほんとに楽しいライブでした。

そういえば、日曜日、新宿のスタジオ・アルタで両バンドのプロモーションがあるそうです。急に決まったらしく、ステージからマッツもペールも 「来てね」 って呼びかけてました。ライブもやるみたいだから、今回チケット買ってない人、ぜひ行ってみてね。

あ、あと、EGGSTONE のステージを、THIS PERFECT DAY のメンバーは、ビール片手に客席からずっと見てました。


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