Dokken (June 11,1997, Akasaka Blitz, Tokyo)
DOKKENは、曲は好きだったけどバンドとしての思い入れはなく、今回は特にGREAT WHITEを見にアメリカに行ってきたばかりの抜け殻状態だったので、それほど好きでないバンドのライブを見る体勢としては最悪のパターンだったと思います。そういう意味で、ふつう以上に厳しい評価になってしまいました。ですから、「DOKKENにどこまでもついていくぞ〜」というファンの方は読まないほうがいいです(^^;)←言い訳モード全開)
新譜を聴かずに行ったDOKKENのライブ。 前日のチッタは客の入りも悪く、ドンも声が出ていなかったという噂を聞いて、ちょっとびびってた。気にするまいと思いながらもBURRN!誌に掲載されていたドンの後ろ向きな発言も気になったし。←しかし、来日公演前にああいうインタビューをそのまま載せてしまうということには、編集部のある種の意図を感じてしまう。考えすぎかしら?
ゆっくり全体を見たかったので2階席をとった。初めてだったが、端のほうがちょっと見切れてしまうのを除けば、まあまあ見やすい。年齢層の高い客が多い中でも、2階の客はさらに上だったかも。
登場したメンバーの雰囲気は、見事にばらんばらん。アステカ風というのか、オレンジの輪切りをプリントにしたみたいな派手なジャケット(あれ、ニットだったのかしら?)に黒の革パンツのドン、黒のTシャツ、黒のスリムジーンズ、スニーカーのジェフ、だぼだぼのブルージーンズにタンクトップのジョージ。ミックはよく見えない。
ジョージは髪がさらにグレーになったのを除けばあまり変わっていなあい。相変わらず筋肉ムキムキ。
ジョージのパンツがあまりにもかっこ悪いので、どーして?と思ったのだが、途中のギターソロを見て、ちょっと納得。彼ってギターソロのとき、すごい内股になるじゃない? 痩せて華奢な頃はあれでもよかったけど、鍛えてムキムキになってからは、みょうになよなよして不気味なのよねえ。前回来日時に激しく思ったのを思い出した。だぼパンだとそれが目立たない。
ドンは途中まで黒のサングラスをかけていたが、髪が短くなったせいか、子どもっぽく見えた。衣装のせいもあり、メタルを歌う人間には全然見えない。かといってオルタナ系にも見えず、強いて言えばダンス系かなあ。
ジェフは長い金髪もそのままで、いちばんメタルっぽい雰囲気を残していたが、やはり年は隠せない。華やかさがなくなり、渋くなってしまった気がする。
ミックは、ドラム台のところから、しきりと喋りまくる。コーラス用のマイクをつけているから、その声は響きわたり、はっきり言ってうるさいったらない。場をなごませるという目的をかなりはみだして、酔っ払いが勝手に騒いでるといった趣があった。
さて、音楽の話。最初の2曲は新譜からの曲だったので、客席の反応はやたら鈍かった。2階の客は一応立ってはいたものの、じっとたたずんで見てるという感じ。
私自身は、思っていたよりはいいじゃないかと思った。なかなかヘヴィーでグルーブ感もあったし、ドンの声にも合っている。ドンが、今ああいう曲をやりたいという気持ちはよくわかる。ただ、想像はついていたけど、ジョージのギターがまったく合ってなかった。やりたくない気持ちがもろに出ていて、曲からギターのリフが浮いてしまっている。弾いてる間もずっと端のほうに立ったままで、時には後ろ向いちゃってることもあったし、当然ながらドンとのからみなんて皆無。ちょっとだけドンが話しかけている場面があったかな。
それはともかく、3曲目の"KISS OF DEATH"から客が一気に盛り上がった。まったく現金なんだからあ。
途中、"JUST GOT LUCKY"ではジェフがリードヴォーカルをとり、ドンがベースを弾くという変則技。このときのジェフは見事だった。ハンドマイクを手にステージ上を走り回り、客を煽り、まるでほんとうのリードヴォーカリストのような張り切りよう。
"INTO THE FIRE"がレゲエみたいになっていたのにはちょっとびっくり。ほかの曲もけっこう昔とは変えてたみたいだ。ドンの声の出具合によるのだろうか。
アンコール1曲目はドンは登場せず、ジェフが"HERE I STAND"のヴォーカルをとった。このときはなんと、あのジョージがステージ中央に出てきて、ジェフと一緒のマイクに顔をよせ、コーラスをつける! あいた口がふさがらないとはこのことだ。ほんとにびっくり。しかも、とっても楽しそうに笑顔まで見せるんだからあ、ジョージ。ジェフ、ミック、ジョージの3人でバンドをやれば、あんなふうに仲良くやれるのね。売れないだろうけど。
ジェフは歌うまいけど、華がない。1曲2曲ならともかく、フルステージをもたせるだけの器ではないと感じた。3人でやってるステージは、まるでテクニック抜群のアマチュアバンドみたいに見えたもの。細いドンの声に、ジェフとミックのコーラスが映えるところがDOKKENの魅力なんだと改めて確認。
最後の曲は予想通り"IN MY DREAMS"。うーん、やっぱりDOKKENのハーモニーは抜群にきれい。イントロのところでは鳥肌が立った。いろいろ不満のある公演内容だったけど、まあこの曲が最後に聴けたから「金返せ」とまでは言う気はなくなった。ただ、次の来日にはもう行かないと思う。