Conception (May 12,1996, Hibiya Yagai Ongakudo, Tokyo)
GAMMA RAY の前座で登場したCONCEPTION。私はデビューアルバムしか聴いたことがなくて、そのときには特に印象に残らなかったので、たいして期待もしていなかったんだけど、ばらばらとステージに現われたメンバーを見て、度胆を抜かれてしまった。
最初はドラマー。彼はまあ普通のミュージシャンで、みんなに手を振って愛想をふりまきながらドラム台に登っていった。次にキーボードとベース。これがめちゃくちゃダサイ。 キーボードのほうは、メンバーのお父さんと言われても信じてしまいそうな、短髪ヒゲのおじさんで、ベーシストは長いストレートの赤毛にサングラス、ぴったりしたシャツに皮パンツとかっこはそれなりに決めているんだけど、どことなく変。
でも、次に現われたギタリストを見て、いきなり目がハートになる私。 背格好はクリス・デガーモ、髪と顔立ちはリッチ・ロビンソンといった感じのなかなかにラブリーな方。
しかし、この日のインパクト大賞はなんといったってヴォーカルでしょう。黒い長袖Tシャツに黒の光る生地の巻きスカートで登場した彼は、髪は坊ちゃん刈り、目はぱっちりとラテン系の濃い顔立ちで、おまけに裸足。巻きスカートの裾をひらめかせながら、ステージを右へ左へと歩き回って客席を煽る。
3〜4曲やったところで、ドラムとキーボードだけを残してメンバーがいったん引っ込み、少ししてからオレンジ色のトレーナーに黒いスパッツ、オレンジ系のバンダナで頭を巻いた男が登場してスピーカーによじ登り出したときには、最初みんなローディがセットを直しにきたのかと思ってたみたいだけど、実はヴォーカルが着替えて出てきたもので、スピーカーの上に座ってバラードを歌いだした。
歌い終わって、どうやって降りるのかなあと心配していたら、日本人スタッフがあわてて脚立を持ってきたのには大笑いしてしまった。
なんて、すっかりお笑いバンドみたいに書いてしまいましたが、音自体は予想以上によかったです。ギターが1本のわりには音に厚みがあったし、なかなかにヘヴィー。時にPANTERA みたいなリフで始まる曲があっても、ヴォーカルが正統派ハイトーンなものだから、そっち方面には行ききらないところがかえって新鮮。ギターも下手すると様式系にころびそうなところを踏みとどまってたりして、気持ちよく頭が振れたのがよかったです。
あのコンセプト不明の衣装とか、ちょっととっちらかり気味の音楽性を整理すれば、きっといいバンドになるんじゃないかなあ。前座であれだけ楽しませてくれたら、もう充分だって気がしました。
なにしろ楽しかったです。
そうそう、アンコールでやった曲がめちゃくちゃかっこよかったっけ。